El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ(いずみ)氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Amazon Review

旅する少年

「若くて旅を致さねば、年寄っての物語がない」(狂言「地蔵舞」より) 旅する少年 作者:黒川創 春陽堂書店 Amazon 小説家 黒川創さん(1961年京都伏見生まれ・刊行時60歳)が、小学校6年生から中学卒業までに実行した驚くほど多くの一人旅の記録。12歳から1…

法医学者の使命

医療事故裁判について、法医学者が語りつくす! 法医学者の使命 「人の死を生かす」ために (岩波新書 新赤版 1890) 作者:吉田 謙一 岩波書店 Amazon 著者は法医学の大学教授を退官して大阪の監察医務監になった法医学者。1953年生。この手のよくある法医学OB…

私が進化生物学者になった理由

ただの自伝ではない、人間も含めた進化生物学の入門書としても秀逸 私が進化生物学者になった理由 (岩波現代文庫 学術 440) 作者:長谷川 眞理子 岩波書店 Amazon 紀伊田辺の自然の中で育ち、ドリトル先生(井伏鱒二訳をべたほめ。確かに、ドライで直線的な文…

承久の乱

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」予習三部作 完読 承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 (中公新書) 作者:坂井孝一 中央公論新社 Amazon 本書が三部作の中で最初に書かれたもので文字通り後半は「承久の乱」メイン。 前半は院政の始まりから保元・平治の乱、源…

批評の教室

北村紗衣ワールドへの(やや高齢の)普通人向け入り口 批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書く (ちくま新書) 作者:北村紗衣 筑摩書房 Amazon 「批評の教室」というタイトルで、映画の批評の書き方?蓮見重彦の弟子?というイメージで手に取った…

インド残酷物語

女性のフィールドワーク研究者の書いたインドの今。 インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書) 作者:池亀彩 集英社 Amazon インドのことがそもそもほとんどわかっていなかった。イメージとしての人が多く混沌とした感じは昔から持っていたが、具体的…

ジェネリック医薬品の不都合な真実

驚愕のインド産ジェネリック薬 ジェネリック医薬品の不都合な真実 世界的ムーブメントが引き起こした功罪 作者:Katherine Eban 翔泳社 Amazon インドのジェネリック製薬業の歴史、その発端から興隆の道程、そして世界がそれを受け入れざるを得なかったわけ、…

詰むや、詰まざるや  森・西武 VS 野村・ヤクルトの2年間

プロ野球「文章+YouTube」 名勝負の新しい楽しみ方 詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間 作者:長谷川晶一 インプレス Amazon プロ野球日本シリーズ、森・西武 VS 野村・ヤクルト。1992年は4勝3敗で西武、1993年は4勝3敗でヤクルト。名勝負…

認知バイアス 心に潜むふしぎな働き

愚かさにもわけがある 認知バイアス 心に潜むふしぎな働き (ブルーバックス) 作者:鈴木宏昭 講談社 Amazon 一時期、認知バイアスにもとづいた「行動経済学」本がブームになり本ブログでもいくつか紹介した。本書を、なんで今頃、それもブルーバックスで「認…

エマニュエル・トッドの思考地図

トッドの著作はフォローしておくべき、ただし新書は買うとこまでいかない エマニュエル・トッドの思考地図 作者:エマニュエル・トッド 筑摩書房 Amazon 1976年に歴史人口学・歴史統計学的な切り口でソ連の崩壊を予言したトッド(「最後の転落」)は、同様な…

保守主義とは何か

「進歩主義」の時代の終わりに 保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで (中公新書) 作者:宇野重規 中央公論新社 Amazon 「今日と同じでない明日」、そんな時代があった。そんな時代は大きな変革・革命・戦争で始まる。フランス革命、ロシア革命、…

超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」

タイトルとは違って、感染症医の奮闘と努力のドキュメンタリー 超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」 作者:マット・マッカーシー 光文社 Amazon 著者のマット・マッカーシーはプロ野球マイナーリーグの経験もある医師。感染症医としての著者マットが抗菌薬…

鎌倉殿と執権北条氏

2022大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか (NHK出版新書) 作者:坂井 孝一 NHK出版 Amazon 2021年の大河ドラマは見なかったが、2022年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。源平合戦ー鎌倉幕府ー北条氏の覇権ー承久…

世界で一番売れている薬

創薬もスリリングだ! 世界で一番売れている薬: 遠藤章とスタチン創薬 (小学館新書) 作者:喜美子, 山内 小学館 Amazon 日本が世界に誇る創薬はいくつかあるが、まさに「世界で一番売れている薬」であるコレステロールを下げる薬、スタチン(メバロチンやビタ…

女帝 小池百合子

逆に小池百合子の上昇志向をほめたい 女帝 小池百合子 (文春e-book) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon 著者はまあ、小池百合子をまさに無茶苦茶にこきおろしているわけだが、逆に、言ってみれば裸一貫から、さまざまな武器を駆使して、国会議員になり大臣にな…

宝島

Audibleで聴きました。約40日のウォーキング期間(録音時間18時間22分)。 宝島 作者:真藤 順丈 Audible Studios Amazon 終戦(1945)から返還(1972)くらいまでの沖縄を舞台に、そのころの沖縄はこうだっただろうなというフィクション。書いたのは沖縄人で…

皮膚の秘密

皮膚のことを一通り知るには良い、ただし著者は美容系?かも 皮膚の秘密 最大の臓器が、身体と心の内を映し出す 作者:ヤエルアドラー ソシム Amazon 皮膚科というのは他科の医師にとってとっつきにくいところがある。本書の著者はドイツではマスコミにもよく…

金閣を焼かなければならぬ

頻発する動機不明の事件の背後には精神疾患を考えるべき 金閣を焼かなければならぬ 作者:内海健 河出書房新社 Amazon 1950年鹿苑寺金閣に火をつけて焼失させた見習僧、「林養賢」。その金閣焼亡事件を1956年に小説「金閣寺」として書き、作家としての名声を…

僕は偽薬を売ることにした

意外とマジメなプラセボ論だが思い込みも強い 僕は偽薬を売ることにした 作者:水口直樹 国書刊行会 Amazon タイトルとヘタウマなイラストでまともな本ではないのかもと思って読みだしたが二つの点で有益。 まず第一に、1,2章におけるプラセボの歴史をふまえ…

花粉症と人類

あくまでも花粉症の文化人類学(医学的ではまったくありません) 花粉症と人類 (岩波新書 新赤版 1869) 作者:小塩 海平 岩波書店 Amazon この本によれば、日本で花粉症がポピュラーになったのは1980年代とかなり新しい(今となってはそうでもないか!?)。1…

BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相

これが「魔性の女」ということ? BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相 (集英社学芸単行本) 作者:ジョン・キャリールー 集英社 Amazon セラノス事件・・・とにかく上昇志向の強い女性起業家が「指先採血で採取した数滴の血液から8…

アメリカの病

コロナ禍の中、重病になった著者の怒りで ちょっと冷静ではない? アメリカの病:パンデミックが暴く自由と連帯の危機 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon これまでTimothy Snyderの本をいくつか読んできた。東ヨーロッパ…

脳を司る「脳」

脱・ニューロン中心主義 脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス) 作者:毛内拡 講談社 Amazon 脳の働きは、ニューロンが担っている――この「ニューロン中心主義」の常識が覆されようとしている、というテーマの本。 確か…

霧中の読書

私を読書に駆り立てる・・・ 霧中の読書 作者:荒川 洋治 みすず書房 Amazon 詩人、荒川洋治さんがみすず書房から出している読書エッセイを最初に読んだのは「忘れられる過去」で2004年2月読了と書き込んでいる。以来「夜のある町で」「世に出ないことば」「…

真鍮の評決(上・下)

ボッシュの弟がリンカーン弁護士 真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ・シリーズのマイクル・コナリーのもう一つのシリーズ「リンカーン弁護士」の2作目(1作目は映画は見たが未読)にボッシ…

一九八四年

Audibleで聴きました。 一九八四年〔新訳版〕 作者:ジョージ オーウェル,高橋 和久 発売日: 2019/04/19 メディア: Audible版 5月にAmaozn Audibleでダウンロードしていたもの。夏が過ぎてウォーキングしやすい季節になったので9月から今日まで歩きながら聴き…

死角 オーバールック

ハリー・ボッシュ シリーズ(13) 死角 オーバールック (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ハリー・ボッシュ シリーズ、13作目はアップテンポ。訳者解説にもあるようにNYタイムズ・マガジンに1回3000語という制約で16回の連載で完結した…

自由なき世界(下)

これこそが2010-2015の世界史 自由なき世界 下:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon 上巻でウクライナに侵攻したロシアだが巧みな情報戦略で国際的にも何が何やらわからない状態…

民主主義とは何か

ファイティングポーズをとれ!と言いたい 民主主義とは何か (講談社現代新書) 作者:宇野重規 講談社 Amazon 民主主義と代議制、民主主義と自由、そうした論点を明らかにしつつ民主主義の歴史を丁寧に教えてくれる。 そして最後に「平等化のメカニズムは停滞…

自由なき世界(上)

プーチンのロシアが目指すファシズム社会 自由なき世界 上:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon プーチンがロシアの大統領になって、それまでの共産主義 VS 資本主義では理解でき…