El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

移動と階級 Audible

もっと移動したーい! 移動と階級: 講談社現代新書 作者:伊藤 将人 Audible Amazon 少し、文章が硬くて頭に入ってこない部分はある。<Audibleで聴いています>

macOS Tahoe パーフェクトマニュアル

人生最後のMacintosh!? macOS Tahoe パーフェクトマニュアル 作者:井村 克也 ソーテック社 Amazon 人生最後の、という枕詞で浪費しているかもしれない・・・ 今年はiPhoneやAppleWatchのリニューアルの年。その上、経費予算を遣いきれていない大人の事情もあ…

荒涼館(1)

2025年の大もの読書 荒涼館 一 (岩波文庫) 作者:ディケンズ 岩波書店 Amazon 秋から冬に向かい、少し落ち着いて古典の長編を読んでみようと思い、今回選んだのがディケンズの「Bleak House」日本語タイトルは「荒涼館」。岩波文庫で1冊500ページ超×4冊。19世…

70代は神様から与えられた特別な時間 Audible

確かに、最近そう思う 80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間 作者:林 真理子 Audible Amazon 70歳が近づいてみると、ここから80までは何となく人生楽しめそうな気がする。親は死に子は独立し、仕事はやってもやらなくて…

ゴッホのあしあと

女性のガンバリなかりせば・・・ ゴッホのあしあと (幻冬舎文庫) 作者:原田マハ 幻冬舎 Amazon 人生で何度目かの「ゴッホ展」が地元神戸で。市立博物館はキャパや動線がいまいちなので、こんな大型展はきびしいものがある。ゴッホ展で毎回思うのは、狂気の進…

ババヤガの夜

うーん、そこまで評価が高い理由が??? ババヤガの夜 (河出文庫) 作者:王谷晶 河出書房新社 Amazon 一気読みできる長さと展開で、名前に関わる叙述トリックがあって混乱させられる。ただし、ジェンダーやシスターフッド的なものを感じるほどのことなのか?…

Gemini 最強のAI仕事術

AI

11月からGeminiもProヴァージョンに! Gemini 最強のAI仕事術 AI仕事術シリーズ 作者:池田朋弘 芸術新聞社 Amazon 今のAIの使い分けは、メインはChatGPT(C)、サブとしてGemini(G)なのだが、作業のやり取り部分はGoogle Workspaceなので、Geminiで完結す…

爺の流儀

自分が爺になると、なんだか爺本が読みたくなくなってきた 爺の流儀 (ワニブックスPLUS新書) 作者:嵐山 光三郎 ワニブックス Amazon 団塊世代が70歳~80歳になってきて、爺本もかなり高齢域のものが増えてきた。嵐山光三郎は15歳年長の83歳<読書中>

BUTTER

世界中で読まれている! 読むべきは日本のオヤジかも BUTTER(新潮文庫) 作者:柚木麻子 新潮社 Amazon あの木嶋佳苗の人物像をテーマにしながらも、いくつもの人間関係を重奏的に重ね合わせ、そして破綻がなく、未来へとつながるかなり名作。世界中で読まれ…

ついでにジェントルメン Audible

いい話が多い・・・でも「BUTTER」の後では物足りない ついでにジェントルメン 作者:柚木 麻子 Audible Amazon Audibleで30分から1時間半の中短編が7作。どれも面白いし、いい話も多い。だけどなぁ、「BUTTER」の強烈な印象のあとではちょっとかすむかな。し…

あいにくあんたのためじゃない Audible

かなり好き!ポップでドライで、グッとくる あいにくあんたのためじゃない 作者:柚木 麻子 Audible Amazon 評判の「Butter」をKindleで読んでいるが、その文体の独特のリズムをAudibleで味わいたいと聴いてみた。朗読が上手なこともあるが、ポップでドライで…

ハヤブサを盗んだ男

鷹狩り・・・ ハヤブサを盗んだ男――野鳥闇取引に隠されたドラマ 作者:ジョシュア・ハマー 紀伊國屋書店 Amazon 鷹狩=鷹やハヤブサなどの猛禽をハンターとして使ってウサギなどの獲物をとる、日本の殿様だけかと思ったら、アラブの王様もやってるんだ。で、…

ブックガイド(141)―名医もヤブ医者もいらない時代?―

AIに看取られる日 2035年の「医療と介護」 AIに看取られる日 2035年の「医療と介護」 (朝日新書) 作者:奥 真也 朝日新聞出版 Amazon 「気楽に読めて、査定力もアップする本を!」というコンセプトのブックガイド、今回のテーマはAIと医療。AIに診てもらう日…

かれが最後に書いた本

行動力のある読書人を目指さねば・・と思えてくる かれが最後に書いた本 作者:津野海太郎 新潮社 Amazon 津野海太郎の書いた本とのつきあいも長い。1938年生なので80代も半ばか・・・彼の「歩くひとりもの」をバイブル化して読んでいたのは(Amazonでの購入…

祝!ノーベル賞 坂口志文先生

坂口先生!4年前の予言的中です。 免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか (ブルーバックス) 作者:坂口志文,塚﨑朝子 講談社 Amazon 2021年6月に紹介した「制御性T細胞とは何か」の著者、坂口先生が2025年ノーベル医学生理学賞を受賞しました!レビューの中で…

書くインタビュー 4

2017~2019 直木賞受賞をはさんでのあれこれ 書くインタビュー 4 (小学館文庫) 作者:佐藤正午 小学館 Amazon 作家生活34年で直木賞・・・って、ちょっとヘンじゃないか?と思うんだけど、事実は小説より奇なり。佐藤正午が佐世保に閉じこもって授賞式にも代…

なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万なのか?

個人レベルでの強欲資本主義との決別! なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか? 異端の経営学者と学ぶ「そこそこ起業」 (集英社ノンフィクション) 作者:高橋勅徳 集英社 Amazon マネー関係の実用本みたいなタイトルと表紙絵だが、副題は「異…

事の次第 Audible

Audibleの欠点が露呈・・ 事の次第: (小学館) 作者:佐藤 正午 Audible Amazon 7つの短編かと思って聴いていたら、複雑にからませた連作だった。それに気づいた時にはすでに伏線を忘れてしまっている、たぶんあのあたりが伏線だったのかなあ、と思うけどは…

思考実験大全

基礎的な哲学・倫理学の用語が身につく! 思考実験大全 作者:岡本裕一朗 イースト・プレス Amazon <読書中>

書くインタビュー 3

鳩撃から「月の満ち欠け」まで 書くインタビュー (3) (小学館文庫 さ 4-9) 作者:佐藤 正午 小学館 Amazon 「きらら」2015年7月号~2017年2月号に掲載された「ロングインタビュー 小説のつくり方」を改題し、まとめた文庫オリジナル。 ひねくれた皮肉屋(そう…

書くインタビュー 2

そう言いたいのは、よくわかる 書くインタビュー 2 (小学館文庫) 作者:佐藤正午,東根ユミ 小学館 Amazon 書くインタビューの第2巻。2011年3月の「鳩の撃退法」の構想段階のインタビューから始まり、執筆期間中のインタビューの中断(3年!)を経て、2014年8…

松田聖子と中森明菜

80年代という同時代・・・ 松田聖子と中森明菜 1980年代に起きたアイドル革命 (朝日新書) 作者:中川右介 朝日新聞出版 Amazon 1980年代、私は23歳から32歳。人生で一番忙しい時期だったかも。明菜が2年連続のレコード大賞(その当時はすごい賞だ…

きみは誤解している Audible

Audibleでも佐藤正午 きみは誤解している: (小学館) 作者:佐藤 正午 Audible Amazon 競輪短編集・・・危険なのは「競輪」をやってみたくなる(もちろん乗るのではなく車券を買うほう)こと必定なこと。どれだけ競輪に没入したらこれだけの競輪小説を書ける…

眠れるアンナ・O

精神医療ミステリー 眠れるアンナ・O(新潮文庫) 作者:マシュー・ブレイク 新潮社 Amazon 「二転三転では終わらない」とあるが、いったいどうなっていくのか・・・暑さを忘れて読もうと、読み始めたのは半月前。なんせ文庫で680ページもあって、半分ほどま…

誤読と暴走の日本思想

長年の私の思いが書かれていた! 誤読と暴走の日本思想~西周、福沢諭吉から東浩紀、落合陽一まで~ (光文社新書) 作者:鈴木 隆美 光文社 Amazon 日本人の考え方の根底の部分で、そもそも欧米の思想とずれているところは確実にある。いろんな業界でも、急に…

横道世之介 Audible

圧倒的聴きやすさ(読みやすさ) 横道世之介 作者:吉田 修一 Audible Amazon 映画のヒットで文庫本の「国宝」もバカ売れの吉田修一。「パークライフ」で芥川賞をとったころには純文学・哲学系の作家さんと思っていたが、読まれるものを書くという才能なんだ…

ブックガイド(140)-「入院」も千変万化!ー

https://uuw.tokyo/book-guide/ 高齢者が急性期病院に殺されないために知っておくべきこと 作者:武久 洋三 幻冬舎 Amazon 「気楽に読めて、査定力もアップする本を!」というコンセプトのブックガイド、今回はやや重たいタイトルの本をご紹介。その名も『高…

老いを読む 老いを書く

敬老の日・・・ 老いを読む 老いを書く (講談社現代新書) 作者:酒井順子 講談社 Amazon 自分も、いつの間にか歳をとって、なんだか社会から「老人認定」されるみたいなことが起こる。住んでいる神戸市では、すでに65歳になってから市立の博物館や美術館がタ…

書くインタビュー 1

2時間で一気読み!これは面白い 書くインタビュー 1 (小学館文庫) 作者:佐藤正午,伊藤ことこ,東根ユミ 小学館 Amazon 佐藤正午の創作のヒミツが少しずつわかる・・かも。 一応、形式上は女性ライターがメールで佐藤正午にインタビューして、それに佐藤正午…

働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている

「努力」も「自己実現」も幻想だ! 働かないおじさんは資本主義を生き延びる術(すべ)を知っている (光文社新書) 作者:侍留 啓介 光文社 Amazon という、オビの惹句こそが「幻想だ!」 資本主義の歴史あたりはまあまあ。なぜ我々が今、強欲資本主義の世界で…