El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

死因の人類史

少子化による人口減少こそが未来への希望

<読書中>500ページ弱という大部な本。人類史の流れと死因の変遷、そしてそれがもたらした寿命の延長、その結果としての少子化ーそうした大きな流れをじっくりと読み解く。

  1. 死因と寿命・・・第1部は「死」の総論。そもそも死を記録としてカウントできるようになったのは1952年のロンドンペストあたりから(このときはシェイクスピアの生きていたころで彼の弟妹、子どもがペストで死んでいる)。この時に、感染防御のためにペストで死んだ人間の数を数え始めた(死亡表)。
     次の転機は1662年ジョン・グラントが死因別の生命表(かなり現代の生命表に近い)ものを作り出し、人口統計学や保険数理学の創始者となる。さらに1893年になって死因の分類が国際統一されていわゆる「国際疾病分類(ICD)」となる。
     寿命に関しては、19-20世紀の科学発展により疾病の治療や栄養状態の改善を国内に確立できた地域がどんどん寿命が延びはじめ、特に乳幼児死亡率の低下のため出生率が急減していく(人口転換)。この人口転換の最先端に日本がおり、少子高齢化は寿命に関して先進的であることの裏返し。
  2. 感染症・・・第2部は感染症。農業が始まり集住したことと野生動物の家畜化により動物由来の感染症が爆発的に広がり多くの文明が崩壊してきた。崩壊はしなくても、ローマ帝国に始まり多くの巨大国家の衰退と滅亡はー歴史的には敵対勢力との抗争が原因とされるがー感染症による疲弊が根底にあることがほとんど。ペストー検疫制度、天然痘ー種痘、発疹チフスと腸チフスー害獣・害虫駆除、コレラージョン・スノウの疫学、産褥熱ーセンメルヴェイス、寄生虫と蚊ーパナマ運河、抗生物質、と人類がこうした感染症を克服してきた歴史をたどる。興味深かったのは種痘を確立したジェンナーが英国政府から7億円もの報奨金を得ていたことか。
  3. 人は食べたものによって決まる
    飢饉、人口は飢饉が起こるまで増える。飢饉の原因は、凶作・自然災害
  4. 遺伝
  5. 行為

ナチュラルボーンチキン:金原ひとみ Audible

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中年版「君たちはどう生きるか」 audible original

<Audibleで聴いています>

仕事と動画とご飯のルーティン生活を送る、45歳一人暮らしの労務課勤務・浜野文乃(はまのあやの)。

趣味も友達もなくそれで充足した人生を歩む浜野は、ある日上司の命令で、在宅勤務ばかりで出社しない編集部の平木直理(ひらきなおり)の家へ行くことになるのだったが、その散らかった部屋には、ホストクラブの高額レシートの束と、シャンパングラスに生ハム、そして仕事用のiPadが転がっていて――。金原ひとみが贈る、中年版「君たちはどう生きるか」。

逆ソクラテス Audible

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人生哲学は小学生時代にあり

「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」という5つの中編。どれも、小学生が主人公、あるいは小学生時代を振り返る大人たちが主人公で、テーマは「倫理」。

そこそこ面白いし、さらーっと聴いていてもよくわかり、進む。だからなんだ、という気もするが、半分エンタメで半分倫理、それはそれでよい。

スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険

まあ、私自身は「できている」と・・

自治の領域を持ち、孤独を楽しむ そんな生き方

前半2章は、「哲学の学び方」の話が延々と続くので少々ダルいが・・・その後3章は読めなくもない。ただし引用をつなぎ合わせるような文章の運びは所詮、本物ではなく受け売り、という気がしなくもない。

私なりにまとめ直すと、抑鬱的快楽とは、<娯楽や刺激、おしゃべりで細かく時間を埋め合わせることで「快楽的なダルさ」に浸り、「やわらかい昏睡状態」となり、一抹の安楽を得る>というメンタリティを指しています。

スマホでスキマ時間を埋めて、孤独に自己と向き合うことをやめることで、安楽を得る。まあ、わかりやすい解釈だけど、それはそれでいいんじゃないか?電車や待ち時間を埋めることは。

単にスマホ中毒を糾弾するのではなく、そうしたものに惑溺することで不安や寂しさを埋めようとしている・・・そんな人が多い、という前提だが、ほんとにそうかね?という気もする。作者の世代はそうなのかも。リアリティのある職場ではスマホ使っている暇はないのでは?

著者が提唱するのは「孤独」と向き合うこと、その手段としての「趣味」ーここで趣味というワードはどうもヘンな感じ、むしろ修行のネター例えば楽器、菜園、読書 etc.

それを「自治の領域を持ち、孤独を楽しむ」というのだが、私のまわりにはそれはできている人が多い。世代の差かな。かなりスマホ中毒になっている若者が読めばもっと響くのかも。

ま、最後は人生、自分だけで楽しめればそれにこしたことはない。手前みそではあるが、自分自身は結構できているなネガティブ・ケイパビリティと思った次第。

君のお金は誰のため Audible

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なぜ高評価・・・?

5分の1くらいで「ダメ」とわかるレベルでした。評価が高いということは、そのレベルにあった読者層がいるということで、世の中そんなものかとも。チーズはどこに・・みたいな。

他人の評価を参考にしてイタい目にあうこと増えてませんか?そもそも人は、自分が体験したことを過剰評価しがち(映画に行ったら「つまらなかった」とは思いたくない)ですが、そうした心理的な部分だけでは説明できないことが、Amazonを中心とした「いいね」「高評価」システムにじわじわと広がっているように感じる。

売れることそのものより、高評価を得ることを目標にしたマーケッティングがある。例えば5000円の商品だけど高評価を書き込んでくれれば2000円をAmazonのギフトカードでバックするという仕組み。

この仕組みだと、買って失敗したと思った場合ほど出費を取り戻そうと、人の迷惑かえりみず「ウソ」の高評価を書くことになる。そうして評価システムそのものの信頼性が低下していくわけだ。(この本がそんなマーケティングというわけではありませんが、売りたい物の評価を上げるという手法はAmazonさんだってできるわけで・・・)

成瀬は天下を取りにいく Audible

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さわやか、レベル高い系の青春記!楽しめる

青春もの小説といえば、ヤンキーやバンカラきどりのバイオレンス系だったり難病や記憶喪失とか???ありえないだろうシチュエーション設定で手にとってもみないものが多い中。「成瀬は天下を取りにいく」は、ちょい地方のまじめな高校生の硬派な青春期。まあライトノベルではあるが、Audibleにちょうどいい。

主人公、成瀬あかりの目的を設定してそこにむけてキッチリやっていく(なかなかゴールに到達はしないのだが・・・)キャラが、自分の学生時代を思い出したりしてなつかしい。いや、もっともっと成瀬のようにがんばれたのにな・・・と思ってみたり。ただ、本当の人生はもっとドロドロ、ベタベタしてるからな・・・と揶揄ってみたり。

いやあ、さわやか!次巻必読↓