El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ(いずみ)氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Book Review

新・私の本棚 (5)理系研究者の人生終盤は? 医師が読み解く「老後のヒント」

https://membersmedia.m3.com/articles/7061 65歳すぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのサード・シーズン「新私の本棚・65歳超えて一般書で最新医学」の…

クライマーズ・ハイ (Audible)

悲しい思い出 クライマーズ・ハイ 作者:横山 秀夫 Audible Amazon 1985年、医者にはなったけれど大学院生でもあった私は4月から初めての東京暮らしをしていた。生活費は病院の当直バイトで稼がなくてはならない身分だったのでお盆の時期は稼ぎ時で、8月12日…

双調平家物語(14) 治承の巻(承前)・源氏の巻

清盛の被害妄想が平家没落を加速する1180年(治承4年) 双調平家物語〈14〉治承の巻2(承前) 源氏の巻 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 以仁王・源頼政の打倒平家の旗揚げ(治承4年 1180年5月)。しかし、三井寺と叡山と興福寺それぞれの宗教勢…

現代カタストロフ論

50年たつと過去の過ちを忘れてしまうだけ 現代カタストロフ論: 経済と生命の周期を解き明かす (岩波新書 新赤版 1953) 作者:金子 勝,児玉 龍彦 岩波書店 Amazon カタストロフ理論は1970年代~80年代に小さなブームがあったが、結局のところこの本がそうであ…

ヴァロットン 黒と白

8年ぶり2度目のヴァロットン展に行く前に ヴァロットン ――黒と白 (単行本) 作者:三菱一号館美術館 筑摩書房 Amazon 展覧会の図録も普通の出版社が出す時代になったのか、丸の内の三菱一号館美術館で開催中の「ヴァロットン 黒と白」展の図録が筑摩書房から…

忘れる脳力

記憶と忘却のメカニズムーけっこうためになる! 忘れる脳力 脳寿命を伸ばすにはどんどん忘れなさい (朝日新書) 作者:岩立 康男 朝日新聞出版 Amazon 怪しい脳科学本と思ってしまいそうなタイトルだが、千葉大の脳外科の教授で脳の基礎研究の実績も十分な岩立…

ブックガイド(108)ージェネリックとインドー

ージェネリックとインドー https://uuw.tokyo/book-guide/ ジェネリック医薬品の不都合な真実 世界的ムーブメントが引き起こした功罪 作者:Katherine Eban 翔泳社 Amazon 新年明けましておめでとうございます。今年もブックガイドをよろしくお願いします。気…

ルポ 副反応疑い死ーワクチン政策と薬害を問い直す

コロナワクチンの副反応死は「17万分の1」 ルポ 副反応疑い死 ――ワクチン政策と薬害を問いなおす (ちくま新書 1701) 作者:山岡 淳一郎 筑摩書房 Amazon 新型コロナウイルスワクチンによる副反応は接種部位の痛み・発熱など多彩だが。いったいどれくらい…

破局 Audible

「内面のない男」の話 破局 作者:遠野 遥 Audible Amazon Audibleで聴きました。平成生まれの作家による初の芥川賞受賞という作品(2020)。 主人公・陽介は慶応の4年生でラグビー部で鍛え上げた肉体をもち、勉強もそこそこでき、同級生の彼女・麻衣子がいて…

本心

2040年の日本のリアルが感じられる 本心 作者:平野啓一郎 コルク Amazon 2022年に読み続けてきた平野啓一郎、彼の目下のところの最新長編「本心」(2021年5月刊行)を元旦から一気読み。平野啓一郎は2022は三島由紀夫の長大な評論にかかりきりだったようなの…

パーソナル トップ10レビュー(2022)

2022年は、世界的には、コロナ禍3年目・ロシアのウクライナ侵略で、なんとなく明確な未来像が描けないままに過ぎていく。5月に65歳になり「日々老化」という感じ。通勤回数がリモートワークで激減したままのため電車読書ができないかわりに、ウォーキング時…

なりすまし(レビューその2)

「なりすまし」はさらに深い「アメリカ精神医療史」 なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験 亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ 作者:スザンナ・キャハラン 亜紀書房 Amazon さて、レビューその1を前提に「なりすまし」そのもののレビュ…

なりすまし(レビューその1)

著者自身を知り、映画も見て、複合的に取り組むべき傑作 なりすまし――正気と狂気を揺るがす、精神病院潜入実験 亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ 作者:スザンナ・キャハラン 亜紀書房 Amazon まず著者のスザンナ・キャハランを知らないと面白さがわか…

オーディオ小僧のアナログ放浪記

レコードを聴くのにどこまで投資するのか・・・それが問題! オーディオ小僧のアナログ放浪記 (CDジャーナルムック) 作者:牧野良幸 株式会社シーディージャーナル Amazon 現在、音楽はAmazon Music(HD)とApple Musicの二つのサブスクで充分満足している。…

かたちだけの愛 Audible

誰かを愛しているときの自分を愛せる(肯定できる)時 かたちだけの愛 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon 年末進行で読書時間が取れない中、移動時間は長くなりがちでAudibleへ。「決壊」があまりにつらい話なので一時中断して平野啓一郎の作品では少しは明る…

新・私の本棚 (4)脳は考えるためのものじゃない!?医師が読み解く「脳科学」

https://membersmedia.m3.com/articles/6799#/ 65歳すぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのサード・シーズン「新私の本棚・65歳超えて一般書で最新医学」…

京都不案内

「京都はだれもが苦手」、そこから一歩進むには? 京都不案内 作者:森 まゆみ 世界思想社 Amazon せっかく関西に住んでいるのだからと、定期的に京都や奈良にでかけて寺を巡ったりしている。奈良は友人が住んでいたり、馴染みの呑み屋ができたりしたのだが、…

ブックガイド(107)ー横浜で死にたくない!-

ー横浜で死にたくない!- https://uuw.tokyo/book-guide/ 死体格差 異状死17万人の衝撃 作者:山田 敏弘 新潮社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトのブックガイドです。第107回目の…

決壊(上)Audible

聴き続けたいけど、聴き続けたくない・・・ 決壊(上) 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon Audibleで聴きました。上巻だけで15時間。かなり重い小説。主人公A(東大卒・国会図書館勤務)とその恋人や家族の物語と、主人公B(鳥取の中学3年生男子)の物語。二…

健康診断のホント 週刊ダイヤモンド2020年4/4号

かなり正鵠を得ている・・・週刊誌侮れず 週刊ダイヤモンド 2020年4/4号 [雑誌] 作者:ダイヤモンド社 ダイヤモンド社 Amazon 「がん遺伝子パネル検査」の失敗・凋落について調べていて資料として読んでみた。週刊誌あなどれず。もちろん各パートのライター…

がんは裏切る細胞である 進化生物学から治療戦略へ

目からウロコ! 進化生物学者が「がん」を語ると腑に落ちることばかり がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ 作者:アシーナ・アクティピス みすず書房 Amazon 進化生物学者が「がん」について考えると現在の治療(特に「がん遺伝子パネル検査」…

超ミニマル主義

参考になる軽量化がないわけではないが・・・浅くYouTube的 超ミニマル主義 作者:四角 大輔 ダイヤモンド社 Amazon やけに自分自身の成功譚を謳うのでなんとも信用できない感じなのだが・・・一通りは読んでみた。ITガジェットやPCなどの具体的な軽量化・手…

すごいトシヨリBOOK

やや独善的? エンドポイント理論は応用できる! すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる (毎日新聞出版) 作者:池内 紀 毎日新聞出版(インプレス) Amazon 正しいのかはわからないが次のような立場 群れるのをやめて一人ひとりが過去を背負い、一人…

小田嶋隆のコラムの向こう側

小田嶋氏の死後出版のコラム集 小田嶋隆のコラムの向こう側 作者:小田嶋隆 ミシマ社 Amazon コロナ禍やウクライナ危機の中で病死(2022年6月24日死去 享年65歳)した小田嶋隆氏が日経電子版に連載していた「ア・ピース・オブ・警句」2020年5月1日~2022年4月…

ブックガイド(106)-やわらか頭の脳科学-

ーやわらか頭の脳科学ー https://uuw.tokyo/book-guide/ バレット博士の脳科学教室 7½章 作者:リサ・フェルドマン・バレット 紀伊國屋書店 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトのブッ…

どくとるマンボウ青春記

松本旅行にちなんで読んでみたが、中高時代に熱心に読んだ理由は? どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫) 作者:杜夫, 北 新潮社 Amazon 信州旅行最終日。帰路につくまでの時間に旧制松本高校の校舎などが残っている「あがたの森」というところに行ってみた。中…

新・私の本棚 (3)女性起業家に騙された!医療ベンチャー詐欺を医師が読み解く

65歳すぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのサード・シーズン「新私の本棚・65歳超えて一般書で最新医学」の第3回。 今回のテーマは「医療・医学がらみのF…

台湾、ローカル線、そして荷風

また一人、老境の先人を見出す 台湾、ローカル線、そして荷風 作者:川本 三郎 平凡社 Amazon この週末読んでいるのは川本三郎さん。 永井荷風の評論やエッセイをちらっと読んだことはあったが、最近出た「ひとり遊びぞ我はまされる」のタイトルで魅かれて、…

双調平家物語(13) 治承の巻2

官打ち! 清盛、出世と没落のメカニズム 双調平家物語13 治承の巻2 (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 鹿ケ谷の陰謀露見(治承元年 1177)から以仁王の令旨(治承4年 1180)まで。穏健派で都の法皇・貴族と福原の平清盛の調整役だった平重盛の…

悪いがん治療

抗体医薬が巻き起こした「がん薬物治療」の混乱 悪いがん治療 作者:ヴィナイヤク・プラサード 晶文社 Amazon がん薬物治療の政策的な混迷をさまざまな視点から描いて非常に有益、ただし内容が高度なので医師以外の読者が理解することはかなり難しそう・・・…