El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Book Review

死体格差 異状死17万人の衝撃

最近動向を踏まえた日本の死因究明制度分析 死体格差 異状死17万人の衝撃 作者:山田 敏弘 新潮社 Amazon 「日本の死因究明制度がいかにダメか」という本はこれまで何冊も書かれているがその多くは、その当事者の一人である法医学医師(多くは大学の法医学教…

超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」

タイトルとは違って、感染症医の奮闘と努力のドキュメンタリー 超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」 作者:マット・マッカーシー 光文社 Amazon 著者のマット・マッカーシーはプロ野球マイナーリーグの経験もある医師。感染症医としての著者マットが抗菌薬…

鎌倉殿と執権北条氏

2022大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか (NHK出版新書) 作者:坂井 孝一 NHK出版 Amazon 2021年の大河ドラマは見なかったが、2022年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。源平合戦ー鎌倉幕府ー北条氏の覇権ー承久…

世界で一番売れている薬

創薬もスリリングだ! 世界で一番売れている薬: 遠藤章とスタチン創薬 (小学館新書) 作者:喜美子, 山内 小学館 Amazon 日本が世界に誇る創薬はいくつかあるが、まさに「世界で一番売れている薬」であるコレステロールを下げる薬、スタチン(メバロチンやビタ…

女帝 小池百合子

逆に小池百合子の上昇志向をほめたい 女帝 小池百合子 (文春e-book) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon 著者はまあ、小池百合子をまさに無茶苦茶にこきおろしているわけだが、逆に、言ってみれば裸一貫から、さまざまな武器を駆使して、国会議員になり大臣にな…

うんちの行方

「うんち」三部作、その2 うんちの行方 (新潮新書) 作者:神舘和典,西川清史 新潮社 Amazon この本のあとがきにもあるのだが、子供の本では漢字ドリルまで「うんち」化しているのに、大人の本でありそうでなかった「うんち」本が、このところ三冊続けて出版…

続・私の本棚 (8)医師も深く関与する「少子化」

還暦過ぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのセカンドシーズン「続私の本棚・還暦すぎたら一般書で最新医学」です。第8回は「人口」、特に「少子化」にフォ…

贖罪の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (18) 2015年 ボッシュ65歳の設定 贖罪の街(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon LADPの定年延長を陰謀で打ち切られたボッシュ。ハーレーのバイクをレストアする静かな日々を送ろうとするが、なにかしっ…

宝島

Audibleで聴きました。約40日のウォーキング期間(録音時間18時間22分)。 宝島 作者:真藤 順丈 Audible Studios Amazon 終戦(1945)から返還(1972)くらいまでの沖縄を舞台に、そのころの沖縄はこうだっただろうなというフィクション。書いたのは沖縄人で…

皮膚の秘密

皮膚のことを一通り知るには良い、ただし著者は美容系?かも 皮膚の秘密 最大の臓器が、身体と心の内を映し出す 作者:ヤエルアドラー ソシム Amazon 皮膚科というのは他科の医師にとってとっつきにくいところがある。本書の著者はドイツではマスコミにもよく…

金閣を焼かなければならぬ

頻発する動機不明の事件の背後には精神疾患を考えるべき 金閣を焼かなければならぬ 作者:内海健 河出書房新社 Amazon 1950年鹿苑寺金閣に火をつけて焼失させた見習僧、「林養賢」。その金閣焼亡事件を1956年に小説「金閣寺」として書き、作家としての名声を…

日本の血脈

「女帝 小池百合子」を読む前に肩慣らしとして 日本の血脈 (文春文庫) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon BAD BLOOD(エリザベス・ホームズの詐欺事件)を読んで、日本のホームズは小池百合子?!ということから「女帝 小池百合子」を読む予定だが、本が届く前…

燃える部屋(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (17) 2014年 ボッシュ64歳の設定 燃える部屋(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ついにボッシュの年齢が読み手である私の実年齢に到達。同じように定年延長制度のおかげで好きな仕事に精を出している…

僕は偽薬を売ることにした

意外とマジメなプラセボ論だが思い込みも強い 僕は偽薬を売ることにした 作者:水口直樹 国書刊行会 Amazon タイトルとヘタウマなイラストでまともな本ではないのかもと思って読みだしたが二つの点で有益。 まず第一に、1,2章におけるプラセボの歴史をふまえ…

ブックガイド(98)―指先採血で世紀の詐欺!―

「新しい検査法」に要注意! BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相 (集英社学芸単行本) 作者:ジョン・キャリールー 集英社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコン…

ブラックボックス(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (16) 2012年 ボッシュ62歳の設定 ブラックボックス(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ62歳は再雇用でLAPDの未解決事件特捜班の刑事。1992年のロサンジェルス暴動から20年目ということで、当…

花粉症と人類

あくまでも花粉症の文化人類学(医学的ではまったくありません) 花粉症と人類 (岩波新書 新赤版 1869) 作者:小塩 海平 岩波書店 Amazon この本によれば、日本で花粉症がポピュラーになったのは1980年代とかなり新しい(今となってはそうでもないか!?)。1…

BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相

これが「魔性の女」ということ? BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相 (集英社学芸単行本) 作者:ジョン・キャリールー 集英社 Amazon セラノス事件・・・とにかく上昇志向の強い女性起業家が「指先採血で採取した数滴の血液から8…

転落の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(15) ボッシュ61歳(2011年) 転落の街(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュも61歳、だんだん私の年齢に近づいてきて、同じような悩み。再雇用やその延長・・自分でも捜査のキレがなくなってき…

アメリカの病

コロナ禍の中、重病になった著者の怒りで ちょっと冷静ではない? アメリカの病:パンデミックが暴く自由と連帯の危機 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon これまでTimothy Snyderの本をいくつか読んできた。東ヨーロッパ…

暴政

文庫本サイズにまとめられた暴政からのがれる道。 暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon しっかりとした自分を持て、ネットに頼りすぎて騙されるな、めんどうくさいが民主的手続きを…

続・私の本棚 (7)「寿命」還暦過ぎて自覚したのは

還暦過ぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのセカンドシーズン「続私の本棚・還暦すぎたら一般書で最新医学」です。 第7回のテーマは「寿命」です。(ちな…

ナイン・ドラゴンズ(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (14) ボッシュ59歳 ナイン・ドラゴンズ(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon LAの中国系住民と蛇頭(?)なのか三合会という裏組織。中国系同士の犯罪といってもLAで起こればLAPDが捜査しなくてはならな…

脳を司る「脳」

脱・ニューロン中心主義 脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス) 作者:毛内拡 講談社 Amazon 脳の働きは、ニューロンが担っている――この「ニューロン中心主義」の常識が覆されようとしている、というテーマの本。 確か…

ブックガイド(97)―死こそが永遠の生―

生物はなぜ死ぬのか 生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書) 作者:小林武彦 講談社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、査定歴24年の自称査定職人ドクター・…

霧中の読書

私を読書に駆り立てる・・・ 霧中の読書 作者:荒川 洋治 みすず書房 Amazon 詩人、荒川洋治さんがみすず書房から出している読書エッセイを最初に読んだのは「忘れられる過去」で2004年2月読了と書き込んでいる。以来「夜のある町で」「世に出ないことば」「…

真鍮の評決(上・下)

ボッシュの弟がリンカーン弁護士 真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ・シリーズのマイクル・コナリーのもう一つのシリーズ「リンカーン弁護士」の2作目(1作目は映画は見たが未読)にボッシ…

一九八四年

Audibleで聴きました。 一九八四年〔新訳版〕 作者:ジョージ オーウェル,高橋 和久 発売日: 2019/04/19 メディア: Audible版 5月にAmaozn Audibleでダウンロードしていたもの。夏が過ぎてウォーキングしやすい季節になったので9月から今日まで歩きながら聴き…

死角 オーバールック

ハリー・ボッシュ シリーズ(13) 死角 オーバールック (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ハリー・ボッシュ シリーズ、13作目はアップテンポ。訳者解説にもあるようにNYタイムズ・マガジンに1回3000語という制約で16回の連載で完結した…

自由なき世界(下)

これこそが2010-2015の世界史 自由なき世界 下:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon 上巻でウクライナに侵攻したロシアだが巧みな情報戦略で国際的にも何が何やらわからない状態…