El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2010-01-01から1年間の記事一覧

文学フシギ帖

10年後に古書で買いました! 文学フシギ帖――日本の文学百年を読む (岩波新書) 作者:池内 紀 発売日: 2010/07/22 メディア: 新書 池内氏のエッセーは新書で出るたびに買ったり図書館で借りたりして読んでいるが、これまでは自分のことを語る旅本だったりして…

幻影の書

幻影の書 (新潮文庫) 作者:ポール オースター 発売日: 2011/09/28 メディア: ペーパーバック 読みごたえあり。エピックでもなく私小説でもなく、かといって哲学書めいたところもなく。

江戸百夢

江戸百夢 近世図像学の楽しみ (ちくま文庫) 作者:田中 優子 発売日: 2010/05/10 メディア: 文庫 なかなか知的。田中優子さんがこういう文章を書く人だとは知らず。アートと文化の交差点、そして江戸時代。自分とそれ程としが離れているやけではないのに、感…

蹴りたい背中

かもめ図書館 なつかしい 蹴りたい背中 (河出文庫) 作者:綿矢 りさ 発売日: 2007/04/05 メディア: ペーパーバック 20101103 かもめ図書館の中庭のベンチで読み始めて一時間で読了。テンポと文章のなめらかさでするすると読めてしまう。ストーリーではなく心…

インストール

食わず嫌いはイケナイ よかった インストール (河出文庫) 作者:綿矢 りさ 発売日: 2005/10/05 メディア: 文庫 「インストール」を借りてきて読んだ。なかなかのもので、これを高校生のときに書いたとは、才能とは恐ろしいもの。さあ、芥川賞の「蹴りたい背中…

そして誰もいなくなった

今回もダメ そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー 発売日: 2010/11/10 メディア: 文庫 クリスティー嫌い。何年かおきにクリスティーブームみたいなものがあり、そのたびに作品を読んでみたりするのだが、だい…

歴史は「べき乗則」で動く

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) 作者:マーク・ブキャナン 発売日: 2009/08/25 メディア: 文庫 かなりおもしろい。「べき乗則」そのものは、あれーっその程度のことか、という感…

雨の日はソファで散歩

死に近づく文章群 雨の日はソファで散歩 (ちくま文庫) 作者:種村 季弘 発売日: 2010/07/07 メディア: 文庫 晩年の文章を集めたものだが、突然なくなったというわけではなく、次第に体調が悪くなって、死に向かって生きている中で、足るを知る的な境地でかか…

格差と希望―誰が損をしているか?

格差と希望―誰が損をしているか? 作者:大竹 文雄 メディア: 単行本 齋藤誠氏の「競争の作法」を読んで経済学者もなかなかおもしろいこと書くなあと思って、人気のある経済学者らしい大竹氏の著書3冊を図書館で借りてみた。うーん、どれも同工異曲という感じ…

競争と公平感

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書) 作者:大竹 文雄 発売日: 2010/03/01 メディア: 新書 同じようなテーマの「競争の作法」を書いた齋藤誠氏とは京大経済の同級生のようだが、今回は「競争の作法」の方がおもしろいと思った。本質は同じよう…

競争の作法 いかに働き、投資するか

競争の作法 いかに働き、投資するか (ちくま新書) 作者:齊藤 誠 発売日: 2010/06/09 メディア: 新書 一気に読めた。タイトルからはわかりにくいが日本の今の閉塞感をマクロ経済からわかりやすく論じたもの。特に、新卒就職難や派遣切りなどの雇用調整の部分…

畸人巡礼 怪人礼讃

省エネ? 畸人巡礼 怪人礼讃 (新 忘れられた日本人Ⅱ) 作者:佐野 眞一 発売日: 2010/07/23 メディア: 単行本 おもしろそうなタイトルの章だけ読めばいいと思う。佐野さんがほかの大部のドキュメンタリーを書くときの取材などで出会った奇人変人怪人についてど…

フリーライダー

フリーライダー あなたの隣のただのり社員 (講談社現代新書) 作者:河合 太介,渡部 幹 発売日: 2010/06/17 メディア: 新書 よくあるタイプの命名本。社会のさまざまな類型からある類型を抜き出して特殊な用語で命名し、あたかもそういう類型が特殊な集団であ…

自立が苦手な人へ

自立が苦手な人へ 福沢諭吉と夏目漱石に学ぶ (講談社現代新書) 作者:長山靖生 発売日: 2018/05/25 メディア: Kindle版 最近の世相を斬る・・・よくある話で新味はないが、著者のボランティア体験などは考えさせるところがある。一方で、サブタイトルに持って…

「婚活」現象の社会学

「婚活」現象の社会学 日本の配偶者選択のいま 作者:山田 昌弘 発売日: 2010/06/11 メディア: 単行本 パラサイトシングル・・などでなんとなく時代に乗った感じの山田昌弘氏が婚活をキーワードにまとめた一冊。基本のテーゼは同じでパラサイトシングル世代の…

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366) 作者:中野 京子 発売日: 2008/08/12 メディア: 新書 姪と京都駅で待ち合わせ、五条の橋近く半兵衛麸という生麩料理のお昼。その後、京博まで歩きハプスブルク展をみる。帰りに京都駅で、中野京子「…