El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

横しぐれ

横しぐれの向こうに消えていくもの 横しぐれ (講談社文芸文庫) 作者:丸谷 才一 発売日: 1989/12/26 メディア: 文庫 過去と自分の間に時間が流れ、雨の向こうに見える景色・人物のように不透明なスクリーンがかかっていき、事実や記憶がすべてがぼんやりと(…

悲素

夏祭りにカレーと言えば・・・ 悲素 作者:帚木 蓬生 発売日: 2015/07/22 メディア: 単行本 和歌山毒物カレー事件が起こったのは1998年7月、もう20年近くになります(ああ、もうこの事件を知らない世代もかなりいるでしょうね)。被疑者・林眞○美は2005年に最…

現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病

免疫チェックポイントって何だ? 現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病 (ブルーバックス) 作者:岸本 忠三,中嶋 彰 発売日: 2016/01/21 メディア: 新書 巷で話題の免疫チェックポイント阻害による抗がん剤「オプジーボ」のことがすっきりわかる一冊です。…

火山のふもとで

建築もまた、諸行無常である 火山のふもとで 作者:松家 仁之 発売日: 2012/09/28 メディア: 単行本 建築物という人生を超えて存在し続けるものを作る人々。その人々にも生老病死が存在する。それぞれの人は、自分の生の時間の中で建築に関わる。自分以前の世…

ブックガイド(10)ワセダクロニクルへの道

——ワセダクロニクルへの道—― 医療者が語る答えなき世界 ──「いのちの守り人」の人類学 (ちくま新書) 作者:磯野真穂 発売日: 2017/06/23 メディア: Kindle版 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新の医学知識をゲットしよう。そんな…

月日の残像

山田太一エッセイコレクションへ 月日の残像 (新潮文庫) 作者:太一, 山田 発売日: 2016/05/28 メディア: 文庫 山田太一の「月日の残像」を読了。軽い気持ちで手に取ったが、なかなか中身の濃いエッセイ集である。著者が数々の読書から抜き書きした部分が熱く…

やちまた

大著は電車で読破! やちまた(上) (中公文庫プレミアム) 作者:足立 巻一 発売日: 2015/03/20 メディア: 文庫 やちまた(下) (中公文庫プレミアム) 作者:足立 巻一 発売日: 2015/03/20 メディア: 文庫 足立巻一 やちまた 読了上下巻で900ページの文庫。こう…

ブックガイド(9)しかし、ほとんどはこの30年のできごと

——しかし、ほとんどはこの30年のできごと—— がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF) 作者:シッダールタ ムカジー 発売日: 2016/06/23 メディア: 文庫 がん‐4000年の歴史‐ 下 (ハヤカワ文庫NF) 作者:シッダールタ ムカジー 発売日: 2016/06/23 メディア: 文…

輝く日の宮

二度目とは思えない・・・ 輝く日の宮 (文芸第一ピース) 作者:丸谷 才一 発売日: 2003/06/10 メディア: 単行本 丸谷才一「輝く日の宮」を読了。一度読んでいるはずだが、ほぼ覚えていない。しかし、小説としては面白いし、教養性も高い。源氏を読みたくなる…