割と好きなドライな文体
第166回(2021年下半期)芥川賞受賞作。↓ 経歴や、経歴に関する考え方が面白い。
服役シーンを除けば、自転車や自衛隊など私小説的でもあるのだろう。キレやすい性格と将来不安、いかにも近くにいそうな人物で、キレでは人生を暗転させていくわけだが、刑務所内のささいなことから、なんとなく生きて行く術を学んだようなエンディング。
ささいなことにカッとなったり、人生の理不尽にイラついたり、それは自分にもあるけれど、表面には出さないトレーニングはしてきたし、実際もうこの歳ではさすがにキレることもない(ように思う)。
なんだか、新しい社会状況をこねくり回したプロットの芥川賞作品が多い中では、古典的でドライな文体が気に入った。