El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Amazon Review

私たちはどんな世界を生きているか

どんな世界を生きてきたか・・しかわからない 私たちはどんな世界を生きているか (講談社現代新書) 作者:西谷 修 講談社 Amazon なるほど、ネット社会や新自由主義やGAFA、それにコロナ禍がのっかって先が見通せない今、その今に至る世界はどういう具合に形…

天使と罪の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(10) 詩人(The Poet)との最後の闘い 天使と罪の街(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 前作「暗く聖なる夜」で警察やFBIという組織を離れながらも協力して事件を解決したボッシュとマッケイレブだっ…

リンパのふしぎ

分子生物学ネイティブではない世代の研究 リンパのふしぎ ――未病の仕組みを解き明かす (ちくま新書) 作者:大橋 俊夫 筑摩書房 Amazon 例えば、血管系を表通りのメインルートとするなら、従業員用(関係者以外禁止)裏ルートがリンパ系という感じかな。タンパ…

暗く聖なる夜(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(9) 娘(マディ)の登場が救いに 暗く聖なる夜(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 前作でロス市警を退職したボッシュが自らかかわった未可決事件を、私人として警察官時代のコネをフル活用して解決する…

プーチンのユートピア

政治家・官僚(含む大統領)≒実業家≒マフィア プーチンのユートピア:21世紀ロシアとプロパガンダ 作者:ピーター・ポマランツェフ,Peter Pomerantsev 慶應義塾大学出版会 Amazon 権力者や監督権限を持った者が、その権限を使ってとにかく自分に利益誘導しよう…

シティ・オブ・ボーンズ

ハリー・ボッシュ シリーズ(8) 一本の骨から始まる哀切のLAエレジー シティ・オブ・ボーンズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:マイクル コナリー 早川書房 Amazon 散歩の犬がくわえてきたきた一本の骨、20年前に埋められた子供。捜査の過程で引き起こされ…

夜より暗き闇(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(7) 読み終えるがのもったいない! 夜より暗き闇(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 後半の法廷シーンあたりからおもしろすぎて読み終えるのがもったいない、そんな気になる。 「ポエット」のマカヴォイ…

わが心臓の痛み(上・下)

心臓移植とシリアル・キラー わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー) 作者:マイクル コナリー 扶桑社 Amazon 「わが心臓の痛み」は、マイクル・コナリーがボッシュ・シリーズNo.5「トランク・ミュージック」とNo.6「エンジェルズ・フライト」の間の1998年…

優雅なeiπ=-1への旅

オイラーの式が一番すっきりわかる 優雅なeiπ=-1への旅―数学的思考の謎を解く 作者:河田 直樹 現代数学社 Amazon 時々、数学本を読みたくなる。いわゆる受験数学を過ぎて、次に面白いのはオイラーの公式「eのiπ乗が-1」だろう。e(自然対数の底、ネイピア数…

美しき免疫の力

ノーベル賞レースでわかる免疫革命 美しき免疫の力 動的システムを解き明かす 作者:ダニエル・M.デイヴィス NHK出版 Amazon 前半の第1部の自然免疫・樹状細胞・サイトカイン・抗TNF-α(レミケード)の開発にかかわるノーベル賞レースと金儲けの話はリアル。…

休み時間の免疫学 第3版

免疫学、学びなおしはまずこの一冊 休み時間の免疫学 第3版 (休み時間シリーズ) 作者:齋藤紀先 講談社 Amazon 免疫学がむずかしい!なぜなら、大学で30年以上前に教わったことと全然違うから。当時は実験室レベルでウェスタンブロッティングだとか細胞融合…

工学部ヒラノ教授の傘寿でも徘徊老人日記

傘寿でも期待を裏切らず 工学部ヒラノ教授の傘寿でも徘徊老人日記 作者:今野浩 青土社 Amazon ヒラノ教授シリーズ、7月に刊行されたばかりの最新刊。毎年刊行されるし、ヒラノ教授も文中で書いているように、同じネタの使いまわしも増えてきたがそこは、ファ…

工学部ヒラノ名誉教授の告白

世代で揺れる学部選び・・・理系出身高齢者の必読書 工学部ヒラノ名誉教授の告白 エンジニアが「物書き」になったワケ 作者:今野浩 青土社 Amazon ヒラノ教授シリーズ最新刊「傘寿でも徘徊老人日記」発売にあわせて、過去分で未読のものを読む。本書は2013年…

アメリカ合衆国史④ グローバル時代のアメリカ

大統領たちのアメリカ グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀 (シリーズ アメリカ合衆国史) 作者:古矢 旬 岩波書店 Amazon 現大統領バイデンから遡ってみよう、トランプーオバマ(2期)―ブッシュJR(2期)ークリントン(2期)ーブッシューレーガン(2…

バーデン・バーデンの夏

ドストエフスキーのギャンブル依存がリアル! バーデン・バーデンの夏 (新潮クレスト・ブックス) 作者:レオニード ツィプキン 新潮社 Amazon スターリン時代のロシア人作家・医師の作者がモスクワからレニングラードにドストエフスキーの旧跡巡りの旅に出か…

工学部ヒラノ教授のウィーン独り暮らしの報酬

今回はちょっとロマンティックだったヒラノ教授 工学部ヒラノ教授のウィーン独り暮らしの報酬 作者:浩, 今野 青土社 Amazon ヒラノ教授こと今野先生、80歳。「・・・ラストメッセージ」「・・・徘徊老人日記」ときて、一点35歳、45年前のウィーンでの研究生…

読む・打つ・書く

理系研究者、徒然なるままに日暮し硯に向かいて 読む・打つ・書く: 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々 作者:三中 信宏 東京大学出版会 Amazon 三中(みなか)先生1958年京都市生まれ。東大農学部出身で進化生物学の研究者。農水省系の独法の研究員・…

がんを瞬時に破壊する光免疫療法

これ一冊でわかる!光免疫療法 がんを瞬時に破壊する光免疫療法 身体にやさしい新治療が医療を変える (光文社新書) 作者:小林 久隆 光文社 Amazon このところ、がんの新しい治療法としてよく耳にする光免疫療法。治療施設も神戸大を皮切りに続々と増えていっ…

狩られる者たち

まだまだ続く「ベリエル&ブローム シリーズ」 狩られる者たち (小学館文庫) 作者:アルネ・ダール 小学館 Amazo ネタバレにならない程度にアルネ・ダールのこのシリーズの骨格を スウェーデン発の警察ミステリー「時計仕掛けの歪んだ罠」で始まった「ベリエ…

吉田初三郎鳥瞰図集

さすが地図の昭文社、見やすい吉田初三郎! 吉田初三郎鳥瞰図集 昭文社 Amazon 日本や戦前の満州・台湾などをデフォルメした鳥瞰図で描き続けた吉田初三郎。多くは横長で新聞の新年号の付録だったり、各観光地が自己紹介のために制作を依頼したらしい。 この…

ダーウィン「種の起源」を漫画で読む

専門家以外は「種の起源」はこの本でOK ダーウィン『種の起源』を漫画で読む 作者:チャールズ・ダーウィン いそっぷ社 Amazon 三部構成で第1部「進化論の誕生」はダーウィンの人となり、「種の起源」書かれる直前までの研究の状況、他の研究者の動向など、…

時計仕掛けの歪んだ罠

スウェーデン、雨、時計、黒い靴下 時計仕掛けの歪んだ罠 (小学館文庫) 作者:ダール,アルネ 小学館 Amazon スウェーデン発の警察ミステリー。とにかく雨が多いんですね10月のスウェーデン。 捜査する側とされる側が交錯したり逆転したり最後は協働したり、そ…

終決者たち(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (11) そこはプリペイド携帯でしょ! 終決者たち(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon Amazon PrimeのBOSCHシリーズが完結し、再度、全シーズン通しで見てしまった。それでも、もっとボッシュの世界に浸…

潮風のむこうには―平生釟三郎と住吉村の人々

旧住吉村住人の必読書 潮風のむこうには―平生釟三郎と住吉村の人々 作者:中森敏博 みるめ書房 Amazon 「住吉村の人々」ってだれ?と思うかもしれないが、現在の地名では兵庫県神戸市東灘区住吉本町・住吉東町・住吉宮町あたり。合併して神戸市東灘区の一部と…

誰がために医師はいる

依存症のむこうにあるもの 誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論 作者:松本俊彦 みすず書房 Amazon 薬物依存症治療の第一人者、松本俊彦氏による精神医学エッセイ。薬物依存治療をメインにしながら、現代の精神医学全体を俯瞰しつつ、出自から現時点…

感染症社会 アフターコロナの生政治

論点と違うところで、日本のコロナ対策に納得してしまった!? 感染症社会: アフターコロナの生政治 作者:美馬 達哉 人文書院 Amazon 生政治(せい・せいじ=Biopolitics)とはミシェル・フーコーが作った概念。本来、立法と行政と司法という枠組みの中で行…

江之浦奇譚

わたしはわたしの奇譚を編みたい 江之浦奇譚 作者:杉本 博司 岩波書店 Amazon 杉本博司氏が小田原から真鶴にかけての海を見下ろす丘陵に広大な土地を買い、四半世紀をかけて彼の美的感覚や数寄趣味にマッチするさまざまのモノ(大は建築物から小は花入れまで…

ヘンな日本美術史

やがてかなしき明治画壇 ヘンな日本美術史 作者:山口 晃 祥伝社 Amazon 鳥獣戯画から雪舟、洛中洛外図、そして明治画壇まで、さすがに画家目線の分析・解説は面白いし目からうろこが満載。それでもすずしろ日記ほどには楽しく読めないのは、文章のせいかな・…

絶頂美術館

裸が描きたかったんだね、みんな 絶頂美術館―名画に隠されたエロス (新潮文庫) 作者:文彦, 西岡 新潮社 Amazon カバネル「ヴィーナスの誕生」のように、印象派以前のギリシャ・ローマ神話に題材をとった裸体画は、19世紀でも画面の女性が裸でいることの明確…

生物はなぜ死ぬのか

利己的に生まれ、公共的に(利他的に)死ぬべし 生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書) 作者:小林武彦 発売日: 2021/04/14 メディア: Kindle版 あまり難しくなく読めて、「おわりに」に書かれている「生物は利己的に偶然生まれ、公共的に死んでいくのです」と…