El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Amazon Review

ダーウィンの呪い

「進化論」がいかにたやすく優生学に堕落するか・・ ダーウィンの呪い (講談社現代新書) 作者:千葉聡 講談社 Amazon <読書中>「ダーウィンの呪い」というタイトルだが、「進化論」がいかにたやすく優生学的危険思想に転化してきたか、という黒歴史本。そも…

パッキパキ北京

綿矢りさ熱が昂じて、買ってしまったけれど パッキパキ北京 (集英社文芸単行本) 作者:綿矢りさ 集英社 Amazon 「綿矢りさ熱」が昂じて買ってしまったが、も少しハチャメチャを期待していただけに少し残念。綿矢りさ自身の北京滞在記をちょっとヤンキーに色付…

疲労とはなにか

ノーベル賞級の発見・・・というけれど、どうなの 疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス) 作者:近藤一博 講談社 Amazon この本の内容について検索すると「ノーベル賞級の発見」と絶賛するものもあるが、それら絶賛は、この著者周辺…

地霊を訪ねる もうひとつの日本近代史

大人の遠足・・・やっと読了 地霊を訪ねる ――もうひとつの日本近代史 (単行本) 作者:猪木 武徳 筑摩書房 Amazon まず装丁(川瀬巴水の版画)がいい! プラクティカルな経済学者・猪木武徳先生がPR誌「ちくま」に連載していた「地霊を訪ねる」シリーズが27回…

異常(アノマリー)

引き込まれ、解体され、消滅させられる・・・そんな読書の悦楽! 異常【アノマリー】 作者:エルヴェ ル テリエ 早川書房 Amazon こんな小説に出会えてハッピー、と思える仕上がり。3つのパートに分かれている。以下、第2部以降のレビューにはネタバレあり(…

地図と拳

まぼろしの満州にまぼろしの都市を・・・少し長すぎ 地図と拳 (集英社文芸単行本) 作者:小川哲 集英社 Amazon 夏の終わりに買った小川哲氏の直木賞受賞作「地図と拳」。Audible版「ゲームの王国」で惚れこんだ才能のその後を読む予定であったが、積読状態が…

嫌いなら呼ぶなよ Audible

コロナ禍の困ったチャンたち 嫌いなら呼ぶなよ 作者:綿矢 りさ Audible Amazon 綿矢りさ、「インストール」「蹴りたい背中」が2000年前後だったような、最年少でいろいろな文学賞をもらっていたような。常に「今の最先端の若者風俗」を取り上げてくれている…

安楽死が合法の国で起こっていること

感情論としてはわかるが、高齢者問題は別の議論が必要 安楽死が合法の国で起こっていること (ちくま新書) 作者:児玉真美 筑摩書房 Amazon 冒頭に相模原の障がい者施設での大量殺害事件が取り上げられていて、いきなりセンセーショナルなゾーンへ議論を運ばれ…

Kindle出版の時給 Audible

新NISA、HowTo本からこちらへ・・・著者の思うつぼ!? Kindle出版の時給: 副業の時給。考えたこと、ありますか? キンドル出版戦略大全 作者:浅見 陽輔 Amazon 新NISAのHow To本をAudibleで聴いてみると、その著者は銀行員で副業的にKindle出版をやり、試行…

滅ぼす 下

タイトル「anéantir」は「滅ぼす」ではなく「帰無」(無に帰る)と訳したい 滅ぼす 下 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon 「滅ぼす anéantir」下巻を九州・久留米への旅の中でKindleで一気に読み終えた。けっこう怒涛の展開だ。人間が「無に…

メタ認知

著者と私のメタ認知は違ってるみたい メタ認知 あなたの頭はもっとよくなる (中公新書ラクレ) 作者:三宮真智子 中央公論新社 Amazon 例えば、あるアイドルについて友達と語り合うとして、そのアイドルのことを「かっこいい」とか「趣味じゃない」とかダイレ…

滅ぼす 上

ウェルベック最新作 上巻はイントロ 滅ぼす 上 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon 数年後のフランスを舞台に、財務大臣ブリュノの補佐官ポールが主人公。その妻プリュダンスとの関係悪化と修復、父エドゥアールの脳梗塞と植物状態と後妻マド…

微笑む人

好きだなあ・・・こういうメタ小説 微笑む人 (実業之日本社文庫) 作者:貫井 徳郎 実業之日本社 Amazon Audibleで聴いていたがまあまあ面白くて先を急いで紙の本で読んだところが・・・思いもよらないエンディング。人を喰ったような・・・とも言えるが、こん…

中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国:清末~中華民国

清末 中華民国 中国の歴史10 ラストエンペラーと近代中国 清末 中華民国 (講談社学術文庫) 作者:菊池 秀明 講談社 Amazon 前半は、清 vs 太平天国や義和団の乱。特徴はある程度成功するとすぐに内部分裂を引き起こすこと。その後は清朝内部の改革派(洋務派…

アマゾン五〇〇年 植民と開発をめぐる相剋

知らないことだらけ!これはすごい アマゾン五〇〇年 植民と開発をめぐる相剋 (岩波新書 新赤版 1985) 作者:丸山 浩明 岩波書店 Amazon 専門分野ではないのに、なぜだか個人的に興味を持っているテーマがいくつかあって、関連書が出るとついつい手に取ってし…

大還暦

中身は乏しい・・・かな 大還暦 ――人生に年齢の「壁」はない (ちくま新書 1747) 作者:島田 裕巳 筑摩書房 Amazon 還暦2回目の120歳を大還暦というらしい。「大還暦」や「死生観A」「死生観B」のTermが面白いと思って読み始めたが、中身は薄かった。 平均…

間宮家の皮膚科医

皮膚科医三代のフィクション+皮疹の診かた 間宮家の皮膚科医 作者:戸倉新樹 南江堂 Amazon 不思議な構成の本。著者は浜松医大や産業医大で皮膚科教授をつとめた皮膚科医・戸倉新樹(とくら・よしき)先生。文学青年でもあったのだろう戸倉先生が書いたフィク…

なぜヒトだけが老いるのか

途中から精神訓話に・・・残念! なぜヒトだけが老いるのか (講談社現代新書) 作者:小林武彦 講談社 Amazon 半分くらいまではとても面白い。 多くの動物には「老後」はない、「老い」が始まったらすぐに死ぬ。 「老い」は具体的には「幹細胞の老化(=遺伝子…

増えるものたちの進化生物学

進化をゲーム理論的にとらえると・・・意外に哲学的! 増えるものたちの進化生物学 (ちくまプリマー新書) 作者:市橋伯一 筑摩書房 Amazon 章ごとにまとめると次のように.. 原始地球で生まれた「増えて遺伝するもの」が進化していった果てが人間を含む生物。…

残月記 <Audible>

独特の魅惑される文体・・筆力に感服 残月記 作者:小田 雅久仁 Audible Amazon 月をモチーフの幻想物語3編。 「そして月がふりかえる」・・・不穏な気分にさせる幻想奇譚のままのほうが良かった。幻想小説としての筆力は十分にあるので、カフカ的あるいは内…

ハイチ革命の世界史

目から鱗!歴史の常識を覆す事実にあふれていて一気読み! ハイチ革命の世界史: 奴隷たちがきりひらいた近代 (岩波新書 新赤版 1984) 作者:浜 忠雄 岩波書店 Amazon キューバの東にあるエスパニョーラ島、東半分がドミニカ共和国(元スペイン領)で西半分が…

客観性の落とし穴

客観性重視 と 個別性重視 それは対立軸ではないのでは? 客観性の落とし穴 (ちくまプリマー新書) 作者:村上靖彦 筑摩書房 Amazon 学力判定に偏差値が取り入れられたのが1957年(私の生まれた年)、evidence-based-medicineという考え方が出てきたのが1994年…

中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東VS鄧小平

中華人民共和国という専制帝国 中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平 (講談社学術文庫) 作者:天児 慧 講談社 Amazon 現在に近いものを語ることの難しさは確かにある。本書は、2004年に単行本として刊行されたものを2021年に文庫化するに際して新たに1章…

ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図

売れるならなんでもする「やくざ」も「製薬メーカー」も同根 ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図 (講談社+α新書) 作者:瀬戸晴海 講談社 Amazon ナルコス(=ドラッグ)とはウイルスに感染させるようなもの。「中毒者にすることでドラッグニ…

90歳までに使い切る お金の賢い減らし方

無内容・・・柳の下のドジョウ本 90歳までに使い切る お金の賢い減らし方 (光文社新書) 作者:大江 英樹 光文社 Amazon 「Die with Zero」以上のことは書いていない。そもそも半分までは「資産の形成法」についての常識レベルのことしか書かれていない。後半…

隠居すごろく Audible

人生には終わりはあっても 上がりはない 隠居すごろく 作者:西條 奈加 Audible Amazon Audibleで聴きました。あれっ、まるで自分のこと?! 隠居後の人生再発見の物語。実際「定年」を迎えてみるとのんびりしたいという気持ちもある一方で、平均余命の20年間…

DIE WITH ZERO ゼロで死ぬ。

死ぬ前に資産が尽きないようにしながら生きているうちに使い切るメソッド DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール 作者:ビル・パーキンス ダイヤモンド社 Amazon 若者には資産状況に関わらず参考になるだろう。しかし中年以降ではある程度の成功…

睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本

現時点では原理的にはラメルテオンがいいのかなあ・・・? 睡眠専門医がまじめに考える睡眠薬の本 作者:河合 真 丸善出版 Amazon 医師向けに書かれているが睡眠のメカニズム部分がよりわかりやすいのでレビューしてみる。ただし著者は「睡眠薬はあくまでも対…

プロジェクト・ヘイル・メアリー(下)

良い人すぎる、良い異星人すぎる でもそれでいい プロジェクト・ヘイル・メアリー 下 作者:アンディ・ウィアー,小野田 和子 Audible Amazon 猛暑の中、プロジェクト・ヘイル・メアリー(PHM)を聴き終えた。甘すぎるとも言える異星人との友情物語。主人公グ…

時計遺伝子

体内時計研究の一代記 時計遺伝子 からだの中の「時間」の正体 (ブルーバックス) 作者:岡村均 講談社 Amazon 「睡眠の科学」で睡眠そのもののメカニズムや意義はかなりわかった。では朝目が覚めて夜眠くなる、そうしたリズムはどうやって作り出されているの…