El librero la Fontana / ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Amazon Review

江之浦奇譚

オレはオレの奇譚を編みたい 江之浦奇譚 作者:杉本 博司 岩波書店 Amazon 杉本博司氏が小田原から真鶴にかけての海を見下ろす丘陵に広大な土地を買い、四半世紀をかけて彼の美的感覚や数寄趣味にマッチするさまざまのモノ(大は建築物から小は花入れまで)を…

ヘンな日本美術史

やがてかなしき明治画壇 ヘンな日本美術史 作者:山口 晃 祥伝社 Amazon 鳥獣戯画から雪舟、洛中洛外図、そして明治画壇まで、さすがに画家目線の分析・解説は面白いし目からうろこが満載。それでもすずしろ日記ほどには楽しく読めないのは、文章のせいかな・…

絶頂美術館

裸が描きたかったんだね、みんな 絶頂美術館―名画に隠されたエロス (新潮文庫) 作者:文彦, 西岡 新潮社 Amazon カバネル「ヴィーナスの誕生」のように、印象派以前のギリシャ・ローマ神話に題材をとった裸体画は、19世紀でも画面の女性が裸でいることの明確…

生物はなぜ死ぬのか

利己的に生まれ、公共的に(利他的に)死ぬべし 生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書) 作者:小林武彦 発売日: 2021/04/14 メディア: Kindle版 あまり難しくなく読めて、「おわりに」に書かれている「生物は利己的に偶然生まれ、公共的に死んでいくのです」と…

あなたもきっと依存症

ちょっと総花的な依存症入門書 あなたもきっと依存症 「快と不安」の病 (文春新書) 作者:原田 隆之 発売日: 2021/03/18 メディア: Kindle版 文系・社会学系の立場から依存症にアプローチして書かれた入門書。 三部構成で第一部は快感回路や脳内報酬系など依…

国宝 下 花道篇

たしかにAudibleで聴いた方がずっと楽しめる 国宝 下 花道篇 作者:吉田 修一 発売日: 2019/12/13 メディア: Audible版 長崎のヤクザの息子が歌舞伎の女形として人間国宝(と同時に・・・)になる約50年のストーリーなので長い。Audibleでも上下で20時間近く…

サルガッソーの広い海

「ジェイン・エア」120年後のオマージュ サルガッソーの広い海 (ジーン・リース・コレクション) 作者:ジーン リース メディア: 単行本 1847年に出版された「ジェイン・エア」(シャーロット・ブロンテ)では、主役のジェインが家庭教師を勤めていたロチェス…

第三の嘘 (悪童日記第3部)

記憶のコラージュ 第三の嘘 (ハヤカワepi文庫) 作者:アゴタ・クリストフ 発売日: 2006/06/01 メディア: 文庫 「悪童日記」「ふたりの証拠」と物語を入れ子状態にし、何が真実かわからない・・ところに追い込まれて第三部「第三の嘘」へ入る。 これまでに起こ…

ふたりの証拠(悪童日記第2部)

常にそれまでを包含していく不思議な物語(ネタバレ少し) ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫) 作者:アゴタ クリストフ 発売日: 2001/11/01 メディア: 文庫 悪童日記で逃げたクラウスと残ったリュカ。そのリュカの戦後の物語が25歳(マティアスの死)の時点まで…

悪童日記

人生いたることろブラッド・ランドあり 悪童日記 作者:アゴタ クリストフ 発売日: 2014/09/30 メディア: Kindle版 ヒトラーとスターリンの二つの狂気の波が行ったり来たりして夥しい悲劇が起こった地域ブラッド・ランド(いわゆる東部戦線地域)を生きる子供…

自閉症遺伝子

そんなものはない 自閉症遺伝子 - 見つからない遺伝子をめぐって 作者:ベルトラン・ジョルダン 発売日: 2013/10/09 メディア: 単行本 バイオベンチャーが誇大なことを言って資金を集めながらもそれに見合った商品を生み出せない。しかし、社会は誇大広告に乗…

LGBTとハラスメント

性的マイノリティの理解には LGBTよりもSOGI LGBTとハラスメント (集英社新書) 作者:神谷悠一,松岡宗嗣 発売日: 2020/08/21 メディア: Kindle版 ここ10年くらいの間にLGBTというワードが急にポピュラーになり、差別をなくそうという運動が活発になり、一…

ジェネリック それは新薬と同じなのか

一冊でわかる現代薬剤の政治経済史 ジェネリック――それは新薬と同じなのか 作者:ジェレミー・A・グリーン 発売日: 2018/03/15 メディア: Kindle版 20世紀になるくらいから化学・工学の発達によって工業的に合成された薬剤が治療薬として使われるようになっ…

ジョージ・オーウェル 「人間らしさ」への讃歌

「1984」の世界をひた走る中国 ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌 (岩波新書) 作者:川端 康雄 発売日: 2020/07/18 メディア: 新書 「動物農場」「1984」を書いたオーウェルの簡潔にして要を得た評伝。大英帝国の時代からスペイン内戦、ナチスド…

ジャズ批評 2021年 03 月号

Amazon Music HDのAIが先回り ジャズ批評 2021年 03 月号 [雑誌] 発売日: 2021/02/25 メディア: 雑誌 毎年3月号のMy Best Jazz Album ランキングを参考にしてサブスクで聴く音楽を選んでいるのだが、そんなことを繰り返しているとAmazon Musicのおすすめ選曲…

晩年のカント

いずこも同じ秋の夕暮れ 晩年のカント (講談社現代新書) 作者:中島義道 発売日: 2021/01/20 メディア: Kindle版 科学の時代に生まれた私にとって、カントの認識論は、頭の中がくるりとひっくり返るような経験ではありました。74歳になった哲学者中島義道氏が…

イギリスの歴史が2時間でわかる本

わかる! イギリスの歴史が2時間でわかる本 (KAWADE夢文庫) 発売日: 2012/04/17 メディア: 文庫 シェイクスピアの史劇をBBCがドラマ化した「ホロウ・クラウン 嘆きの王冠」シリーズを楽しむために予備知識として読んでみた。プランタジネット朝・ランカスタ…

医療探偵「総合診療医」

結局は知識量 医療探偵「総合診療医」~原因不明の症状を読み解く~ (光文社新書) 作者:山中 克郎 発売日: 2016/08/12 メディア: Kindle版 問診の基本、診察の基本はとうぜんあるとして、プロブレム・リストを正しくつくり、候補疾患リストを正しくつくり、…

余生と厭世

老後は経験しないとわからない 余生と厭世 作者:アネ・カトリーネ・ボーマン 発売日: 2020/06/18 メディア: 単行本 沈鬱な詩のような作品。人生に休止符を想定できるのか?という観点。終止符は死であるとして、休止符は引退、隠居?引退後の人生が長いので…

人生、しょせん運不運

古山高麗雄氏の絶筆 人生、しょせん運不運 作者:古山 高麗雄 発売日: 2004/04/21 メディア: 単行本 「断作戦」「龍陵会戦」「フーコン戦記」、古山高麗雄の戦記三部作に共通するのは、それを書いている「現在」と戦われている「過去」の戦争が交錯して描かれ…

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済

「タンザニアのおけるインフォーマル経済」がメイン 「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~ (光文社新書) 作者:小川 さやか 発売日: 2016/08/12 メディア: Kindle版 「はじめに」「プロローグ」で思い切りLiving for Today・・・今を生きると…

ノマド 漂流する高齢労働者たち

日本でも車上生活ノマドは増えてるのでは? ノマド 漂流する高齢労働者たち 作者:ジェシカ ブルーダー 発売日: 2020/11/10 メディア: Kindle版 ワーキャンパー(Work-Camper)とは、定住する家を失いキャンピングカーで移動しながら季節労働や某巨大ネットシ…

新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実

新型コロナ本の真打! 新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 (日経プレミアシリーズ) 作者:峰宗太郎,山中浩之 発売日: 2020/12/09 メディア: Kindle版 「新型コロナ」本・・・うんざりですか?たしかに書店をのぞくとコロナ本があふれていますが、逆…

だらしない夫じゃなくて 依存症でした

ストロング缶に手を伸ばす、あなたはもう依存症! だらしない夫じゃなくて依存症でした 作者:三森 みさ 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 テレワークでホームステイのせいなのか缶やビンのゴミ出し日の朝、歩いていると毎回のように大量の缶酎ハイや缶…

追読人間臨終図巻(1)

これはこれでアリ・・ただし原作は読んでから 追読人間臨終図巻 I 作者:山田風太郎,サメマチオ 発売日: 2019/04/25 メディア: Kindle版 40代くらいに読んだかな「人間臨終図巻」。この漫画は言わば「『人間臨終図巻』を読む」を漫画で描いたもの。「人間臨終…

熱源

樺太というブラッド・ランド 【第162回 直木賞受賞作】熱源 (文春e-book) 作者:川越 宗一 発売日: 2019/08/28 メディア: Kindle版 Audibleで聴きました。一回一時間のウォーキングのあいだ聴いて10回=10時間くらい。樺太(サハリン)の領有の変遷は日本史・…

暴君 シェイクスピアの政治学

二重構造の現代政治批判 暴君――シェイクスピアの政治学 (岩波新書) 作者:スティーブン・グリーンブラット 発売日: 2020/09/19 メディア: 新書 アメリカのシェークスピア研究者グリーンブラットが、シェイクスピアの歴史劇が当時のイングランド(=エリザベス…

RCT大全

RCTでEvidence! RCT大全――ランダム化比較試験は世界をどう変えたのか 作者:アンドリュー・リー 発売日: 2020/09/16 メディア: Kindle版 RCT=Randamized Control Test(ランダム化比較試験)。ある病気を治療するのに治療法Aと治療法Bのどちらがより有効かと…

工学部ヒラノ教授の徘徊老人日記

まだまだ続くヒラノ教授の長い長い老後 工学部ヒラノ教授の徘徊老人日記 作者:今野浩 発売日: 2020/03/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) 1940年生まれのヒラノ教授こと今野さんは御年80歳。ヒラノ教授シリーズは理系人生の大先輩として半分くらいは読ん…

Z世代~若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?

上から目線のZ世代論 Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか? (光文社新書) 作者:原田 曜平 発売日: 2020/11/17 メディア: 新書 ゆとり世代(1987~1995生まれ)の後は「Z世代」(1996~生まれ)と呼ぶらしい。アメリカで冷戦期のX世代・冷戦崩壊…