El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Amazon Review

超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」

タイトルとは違って、感染症医の奮闘と努力のドキュメンタリー 超耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」 作者:マット・マッカーシー 光文社 Amazon 著者のマット・マッカーシーはプロ野球マイナーリーグの経験もある医師。感染症医としての著者マットが抗菌薬…

鎌倉殿と執権北条氏

2022大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 鎌倉殿と執権北条氏 義時はいかに朝廷を乗り越えたか (NHK出版新書) 作者:坂井 孝一 NHK出版 Amazon 2021年の大河ドラマは見なかったが、2022年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。源平合戦ー鎌倉幕府ー北条氏の覇権ー承久…

世界で一番売れている薬

創薬もスリリングだ! 世界で一番売れている薬: 遠藤章とスタチン創薬 (小学館新書) 作者:喜美子, 山内 小学館 Amazon 日本が世界に誇る創薬はいくつかあるが、まさに「世界で一番売れている薬」であるコレステロールを下げる薬、スタチン(メバロチンやビタ…

女帝 小池百合子

逆に小池百合子の上昇志向をほめたい 女帝 小池百合子 (文春e-book) 作者:石井 妙子 文藝春秋 Amazon 著者はまあ、小池百合子をまさに無茶苦茶にこきおろしているわけだが、逆に、言ってみれば裸一貫から、さまざまな武器を駆使して、国会議員になり大臣にな…

宝島

Audibleで聴きました。約40日のウォーキング期間(録音時間18時間22分)。 宝島 作者:真藤 順丈 Audible Studios Amazon 終戦(1945)から返還(1972)くらいまでの沖縄を舞台に、そのころの沖縄はこうだっただろうなというフィクション。書いたのは沖縄人で…

皮膚の秘密

皮膚のことを一通り知るには良い、ただし著者は美容系?かも 皮膚の秘密 最大の臓器が、身体と心の内を映し出す 作者:ヤエルアドラー ソシム Amazon 皮膚科というのは他科の医師にとってとっつきにくいところがある。本書の著者はドイツではマスコミにもよく…

金閣を焼かなければならぬ

頻発する動機不明の事件の背後には精神疾患を考えるべき 金閣を焼かなければならぬ 作者:内海健 河出書房新社 Amazon 1950年鹿苑寺金閣に火をつけて焼失させた見習僧、「林養賢」。その金閣焼亡事件を1956年に小説「金閣寺」として書き、作家としての名声を…

僕は偽薬を売ることにした

意外とマジメなプラセボ論だが思い込みも強い 僕は偽薬を売ることにした 作者:水口直樹 国書刊行会 Amazon タイトルとヘタウマなイラストでまともな本ではないのかもと思って読みだしたが二つの点で有益。 まず第一に、1,2章におけるプラセボの歴史をふまえ…

花粉症と人類

あくまでも花粉症の文化人類学(医学的ではまったくありません) 花粉症と人類 (岩波新書 新赤版 1869) 作者:小塩 海平 岩波書店 Amazon この本によれば、日本で花粉症がポピュラーになったのは1980年代とかなり新しい(今となってはそうでもないか!?)。1…

BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相

これが「魔性の女」ということ? BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相 (集英社学芸単行本) 作者:ジョン・キャリールー 集英社 Amazon セラノス事件・・・とにかく上昇志向の強い女性起業家が「指先採血で採取した数滴の血液から8…

アメリカの病

コロナ禍の中、重病になった著者の怒りで ちょっと冷静ではない? アメリカの病:パンデミックが暴く自由と連帯の危機 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon これまでTimothy Snyderの本をいくつか読んできた。東ヨーロッパ…

脳を司る「脳」

脱・ニューロン中心主義 脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス) 作者:毛内拡 講談社 Amazon 脳の働きは、ニューロンが担っている――この「ニューロン中心主義」の常識が覆されようとしている、というテーマの本。 確か…

霧中の読書

私を読書に駆り立てる・・・ 霧中の読書 作者:荒川 洋治 みすず書房 Amazon 詩人、荒川洋治さんがみすず書房から出している読書エッセイを最初に読んだのは「忘れられる過去」で2004年2月読了と書き込んでいる。以来「夜のある町で」「世に出ないことば」「…

真鍮の評決(上・下)

ボッシュの弟がリンカーン弁護士 真鍮の評決 リンカーン弁護士 (上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ボッシュ・シリーズのマイクル・コナリーのもう一つのシリーズ「リンカーン弁護士」の2作目(1作目は映画は見たが未読)にボッシ…

一九八四年

Audibleで聴きました。 一九八四年〔新訳版〕 作者:ジョージ オーウェル,高橋 和久 発売日: 2019/04/19 メディア: Audible版 5月にAmaozn Audibleでダウンロードしていたもの。夏が過ぎてウォーキングしやすい季節になったので9月から今日まで歩きながら聴き…

死角 オーバールック

ハリー・ボッシュ シリーズ(13) 死角 オーバールック (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon ハリー・ボッシュ シリーズ、13作目はアップテンポ。訳者解説にもあるようにNYタイムズ・マガジンに1回3000語という制約で16回の連載で完結した…

自由なき世界(下)

これこそが2010-2015の世界史 自由なき世界 下:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon 上巻でウクライナに侵攻したロシアだが巧みな情報戦略で国際的にも何が何やらわからない状態…

民主主義とは何か

ファイティングポーズをとれ!と言いたい 民主主義とは何か (講談社現代新書) 作者:宇野重規 講談社 Amazon 民主主義と代議制、民主主義と自由、そうした論点を明らかにしつつ民主主義の歴史を丁寧に教えてくれる。 そして最後に「平等化のメカニズムは停滞…

自由なき世界(上)

プーチンのロシアが目指すファシズム社会 自由なき世界 上:フェイクデモクラシーと新たなファシズム 作者:ティモシー・スナイダー,Timothy Snyder 慶應義塾大学出版会 Amazon プーチンがロシアの大統領になって、それまでの共産主義 VS 資本主義では理解でき…

名画で読み解く ロマノフ家 12の物語

ロシア的、なんでもあり 名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書) 作者:中野 京子 光文社 Amazon 現代ロシア=プーチンのロシアのことを調べていて、ロシアらしさとは何なのか、ぼんわりわかったような気がしたので、それを確認するためにざっくり…

私たちはどんな世界を生きているか

どんな世界を生きてきたか・・しかわからない 私たちはどんな世界を生きているか (講談社現代新書) 作者:西谷 修 講談社 Amazon なるほど、ネット社会や新自由主義やGAFA、それにコロナ禍がのっかって先が見通せない今、その今に至る世界はどういう具合に形…

天使と罪の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(10) 詩人(The Poet)との最後の闘い 天使と罪の街(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 前作「暗く聖なる夜」で警察やFBIという組織を離れながらも協力して事件を解決したボッシュとマッケイレブだっ…

リンパのふしぎ

分子生物学ネイティブではない世代の研究 リンパのふしぎ ――未病の仕組みを解き明かす (ちくま新書) 作者:大橋 俊夫 筑摩書房 Amazon 例えば、血管系を表通りのメインルートとするなら、従業員用(関係者以外禁止)裏ルートがリンパ系という感じかな。タンパ…

暗く聖なる夜(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(9) 娘(マディ)の登場が救いに 暗く聖なる夜(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 前作でロス市警を退職したボッシュが自らかかわった未解決事件を、私人として警察官時代のコネをフル活用して解決する…

プーチンのユートピア

政治家・官僚(含む大統領)≒実業家≒マフィア プーチンのユートピア:21世紀ロシアとプロパガンダ 作者:ピーター・ポマランツェフ,Peter Pomerantsev 慶應義塾大学出版会 Amazon 権力者や監督権限を持った者が、その権限を使ってとにかく自分に利益誘導しよう…

シティ・オブ・ボーンズ

ハリー・ボッシュ シリーズ(8) 一本の骨から始まる哀切のLAエレジー シティ・オブ・ボーンズ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:マイクル コナリー 早川書房 Amazon 散歩の犬がくわえてきたきた一本の骨、20年前に埋められた子供。捜査の過程で引き起こされ…

夜より暗き闇(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(7) 読み終えるがのもったいない! 夜より暗き闇(上) (講談社文庫) 作者:マイクル・コナリー 講談社 Amazon 後半の法廷シーンあたりからおもしろすぎて読み終えるのがもったいない、そんな気になる。 「ポエット」のマカヴォイ…

わが心臓の痛み(上・下)

心臓移植とシリアル・キラー わが心臓の痛み〈上〉 (扶桑社ミステリー) 作者:マイクル コナリー 扶桑社 Amazon 「わが心臓の痛み」は、マイクル・コナリーがボッシュ・シリーズNo.5「トランク・ミュージック」とNo.6「エンジェルズ・フライト」の間の1998年…

優雅なeiπ=-1への旅

オイラーの式が一番すっきりわかる 優雅なeiπ=-1への旅―数学的思考の謎を解く 作者:河田 直樹 現代数学社 Amazon 時々、数学本を読みたくなる。いわゆる受験数学を過ぎて、次に面白いのはオイラーの公式「eのiπ乗が-1」だろう。e(自然対数の底、ネイピア数…

美しき免疫の力

ノーベル賞レースでわかる免疫革命 美しき免疫の力 動的システムを解き明かす 作者:ダニエル・M.デイヴィス NHK出版 Amazon 前半の第1部の自然免疫・樹状細胞・サイトカイン・抗TNF-α(レミケード)の開発にかかわるノーベル賞レースと金儲けの話はリアル。…