El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

嫌いなら呼ぶなよ Audible

コロナ禍の困ったチャンたち

綿矢りさ、「インストール」「蹴りたい背中」が2000年前後だったような、最年少でいろいろな文学賞をもらっていたような。常に「今の最先端の若者風俗」を取り上げてくれているように思っていたが、時は流れて、彼女も来年40歳―作風はどんな変化を・・と、4つの短編、

「眼帯のミニーマウス 」・・・整形、プチ整形、ぴえん系

「神田タ(カンダタ)」・・・YouTuber 推し

「嫌いなら呼ぶなよ 」・・・コロナと浮気、ホームパーティで裁判沙汰

「老は害で若も輩」・・・メールでけんか 作家VSライターVS編集者

を聴いてみた。どれも面白い!ネット社会とコロナ禍で、ここまで先鋭化はしていないちょっとゆるいバージョンの出来事なら読者もいくつかは経験あるよね、というようなテーマを「コロナ禍」という特殊状況下で先鋭化させて「イタい (>_<)」レベルのショートストーリーに仕上がっている。

単なる若者のアレコレで突き放して終わりではなく、最後の「老は害で若も輩」では「綿矢りさ」という中年作家が出てきて暴虐のかぎりをつくし「ババァ、死ね!」と言われる自虐なところなど、絶妙なバランス感覚。

引き続き綿矢りさ作品をAudibleで聴いてみたい。