El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ(いずみ)氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2023-01-01から1年間の記事一覧

古寺行こう(31)三井寺 石山寺 行ってみた

近江の古寺もなかなか 隔週刊 古寺行こう (31) 三井寺・石山寺 2023年 5/23 号 小学館 Amazon 冬になって中止していた「古寺行こう」企画、再開。大津でジャズ・ボーカリスト情家みえ(じょうけ・みえ)さんのライブがあったので推し活参加。ついでに古寺に…

吉原手引草

エンタメ小説かくあるべし 吉原手引草 作者:松井 今朝子 Audible Amazon 時代劇エンタメはAudibleにぴったりだとあらためて思う。この「吉原手引草」のように直木賞までとった作品は、エンタメであるというだけでなく時代考証がしっかりしているのでその勉強…

フォンターネ 山小屋の生活

山小屋暮らし。 フォンターネ 山小屋の生活 (新潮クレスト・ブックス) 作者:パオロ・コニェッティ 新潮社 Amazon 「帰れない山」のパオロ・コニエッティの山小屋エッセイ。このブログのタイトル「ファオンタナの本棚」に通じる「フォンターネ(村の名前)」…

もう一歩 写真が上手くなるコツ

NHKでおなじみの中井精也さん、なかなかの教え上手! もう一歩写真が上手くなるコツ カメラは魔法の小箱です (玄光社MOOK) 作者:中井 精也 玄光社 Amazon 記録の写真や記念写真の延長ではない写真の在り方を学ぶ。「写真はそれを通して何かを伝えるもの」そ…

キッチンミノルの写真教室

男性趣味のABC キッチンミノルの写真教室 (単行本) 作者:キッチンミノル 筑摩書房 Amazon 高齢化してきて次第にスポーツもできなくなってくる男性にとって残るはインドア趣味のABC・・・A=Audio、B=Book、C=Cameraと勝手に想定している。Bookはこのブログ…

帰れない山

山の生活と下界の喧騒と・・・一方だけでは成立しない。 帰れない山 (新潮クレスト・ブックス) 作者:コニェッティ,パオロ 新潮社 Amazon イタリアとはいってもアルプスの南斜面あたりになるとガラリと雰囲気が変わる。トリノ、ミラノといった都会で仕事につ…

ブックガイド(112)ー 医療事故裁判のリアルー

https://uuw.tokyo/book-guide/ ー 医療事故裁判のリアルー 法医学者の使命 「人の死を生かす」ために (岩波新書 新赤版 1890) 作者:吉田 謙一 岩波書店 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコ…

オーディオ小僧のいい音おかわり

オーディオの正解は・・・ オーディオ小僧のいい音おかわり ~アナログからSACD、ハイレゾまで、帰ってきたオーディオ小僧~ (CDジャーナルムック) 作者:牧野良幸 音楽出版社 Amazon 現在、自宅デスクで聴くことができる音源は聴いている時間の長い順に「サブ…

コリーニ事件

読みやすいのに深い、それがシーラッハ節 コリーニ事件 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon シーラッハはフォン・シーラッハという名が示すようにドイツ貴族の家柄。しかし、祖父はナチスドイツの大物(ナチ党全国…

「心の病」の脳科学

12の先端研究が「こころの病気」もなんらかの物理的異常に由来することを可視化する 「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか (ブルーバックス) 作者:林(高木)朗子,加藤忠史 講談社 Amazon 国内の12の先端研究を研究者自らが解説する形式な…

キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々

スマホ小説ならぬスマホ日記 品田遊 キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々 作者:品田 遊 Audible Amazon するどい切り口なのは観察眼の故か・・・しかし、気づきすぎる心労はありそうな。膝を打つ(=すごく共感・納得する)意見が多いのだがやはりそ…

禁忌 TABU

境界を行きつ戻りつする感覚 そして「プロフェッショナル」とは!? 禁忌 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon このところ集中して読んでいるシーラッハの作品の中で初めての長編を読む。 正義と悪、生と死、真実と…

罪悪

「犯罪」に続く、シーラッハの犯罪法廷 罪悪 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon <読書中>

オーディオ誌あれこれ・・

過去記事でレコードプレーヤーのことを書いて半年・・・ 誕生月ということで(?)、初めての本格的アナログ・ターンテーブル(=レコード・プレーヤー)を導入してみた。オーディオテクニカAT-LP7(上の写真)。なかなかいい。レコードってこんなにいい音だ…

チ。ー地球の運動についてー

なかなか深い チ。―地球の運動について―(1) (ビッグコミックス) 作者:魚豊 小学館 Amazon 話題の科学哲学漫画「チ。」全8巻。積ん読状態になっていたのでゴールデンウイーク前半、なんとか4月中に読了。 15世紀の話。地動説をめぐって繰り広げられる人間…

ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語

「ダ・ヴィンチ・恐山」=「品田遊」若い才能にクラクラ ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語 作者:品田 遊 Audible Amazon Audibleで聴きましたが・・・文字で読まないと理解しきれない。 聴き始めてすぐにわかる作者の頭が切れる感じ。20代(5月1…

ロング・グッドバイ

「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」 ロング・グッドバイ 作者:レイモンド・チャンドラー,村上 春樹 Audible Amazon 80%は、Audibleで聴きました。最後の100ページは本を読みました。 創作物の内容はともかく、村上春樹の文体は耳障りが良いだろうと…

和解ある老いと死 家族にとっての看取りとは

赤ひげ医療は多死時代に通用するか? 和解ある老いと死―家族にとっての看取りとは 作者:黒岩 卓夫 教育史料出版会 Amazon 新潟の雪深い地区で老人が寿命を迎えて死んでいく、そこに医師としてかかわる著者による、死に向かう12のストーリー。文章が読みやす…

ブックガイド(111)ー 進化生物学者が考えるがん治療戦略ー

https://uuw.tokyo/book-guide/ ー 進化生物学者が考えるがん治療戦略ー がんは裏切る細胞である――進化生物学から治療戦略へ 作者:アシーナ・アクティピス みすず書房 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよ…

犯罪

Kindleにて再読。これは紙の本が欲しくなる 犯罪 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon 最新刊の「珈琲と煙草」に引っ張られて、読んだ記憶があった最初の作品集「犯罪」を探したところKindleの中にあったので再読。…

この世界の問い方

秀逸の現代ロシア論・現代中国論・現代資本主義論 この世界の問い方 普遍的な正義と資本主義の行方 (朝日新書) 作者:大澤 真幸 朝日新聞出版 Amazon 社会学者・大澤真幸(おおさわ・まさち)氏が朝日新聞出版のPR誌「一冊の本」に長期連載している「この世…

珈琲と煙草

観察記録と名付けられたシーラッハの48の断章 珈琲と煙草 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon ドイツの刑事事件弁護士で犯罪小説家でもあるシーラッハの短文集。5~6行のものから10ページ以上のものまで全48編の文章。シーラッハ…

ケルト人の夢

ロジャー・ケイスメントの人生 抑圧に気づくことの悲劇 ケルト人の夢 作者:マリオ バルガス=リョサ 岩波書店 Amazon ロジャー・ケイスメント(1864-1916)は実在の人物、19世紀末の植民地主義の終わりから20世紀初め第一次世界大戦の頃を生きたアイルランド…

ムツゴロウの青春記

訃報 畑正憲氏 1935年〈昭和10年〉4月17日 - 2023年〈令和5年〉4月5日 享年87歳 ムツゴロウの青春記 (文春文庫) 作者:畑 正憲 文藝春秋 Amazon 若い人は知らないか、動物王国の奇矯なおじいさんという認識くらいはあるのかも、あるいは麻雀の強豪? 「ムツゴ…

騎士団長殺し

長い長いライトノベル? 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者:村上 春樹 新潮社 Amazon 騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者:村上 春樹 新潮社 Amazon もうすぐ新作が出るらしいので・・このタイミングで読んではみたものの 第1部「顕れるイデ…

山海記

日本最長路線バスで、災害と死の影を訪ねて 山海記 作者:佐伯 一麦 講談社 Amazon 「Nさんの机で」に引き続き佐伯一麦(さえき・かずみ)の私小説(あるいはドキュメンタリーでもよい)を読んでみた。日本最長路線バスである奈良県大和八木市から和歌山県新…

正体

Audibleで聴きました・・・20時間 正体 作者:染井 為人 Audible Amazon 冤罪・・・小説のネタとしてはかなり古臭くなってきたが、それをどう料理するのかが作家の手腕。「決壊」はその点みごとだったが、まあそれと比べるのは酷というものか。 この「正体」…

Nさんの机で

ホッとする机回りのしみじみエッセー Nさんの机で 作者:佐伯 一麦 田畑書店 Amazon 「石の肺 僕のアスベスト履歴書」だけを読んだことがあって、そういうルポライターなのかと思っていた佐伯一麦(さえき・かずみ)氏は、実は、私小説・純文学作家。なるほど…

新・私の本棚 (6)正しいがん治療とは?「がんゲノム医療」の未来を読み解く

https://membersmedia.m3.com/articles/7503#/ 65歳すぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのサード・シーズン「新私の本棚・65歳超えて一般書で最新医学」…

老年という海をゆく

実際に超高齢者の老人医療をやってみると・・・ 老年という海をゆく 作者:大井 玄 みすず書房 Amazon 実際に超高齢者の老人医療をやってみると、この著者のような老医師の勉強不足を嘆きたくなる。この本の著者は1935年生まれの医師なので88歳くらい。東大を…