El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

橋本治で古典を読む

窯変源氏物語 全14巻まとめ

2023年6月から7カ月かけて12月29日、全14巻を読了。この長さはやはり必要。紫の上、明石の上、女三宮、宇治三姉妹とくに浮舟と女の人生をつなぎ、そこに身勝手な男たちがからむ、そんな物語。 宇治十帖以降をモチーフにした↓も面白い。

窯変源氏物語(14)ついに完読!

(51)浮舟・(52)蜻蛉・(53)手習・(54)夢浮橋 窯変 源氏物語〈14〉 浮舟二 蜻蛉 手習 夢浮橋 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon ついに最終巻へ。ここまで読んで感じるのは「源氏物語」とは平安の(一見)男社会を生き抜く女たちの物語だということ…

窯変源氏物語(13)

㊾寄生・㊿東屋・(51)浮舟1 窯変 源氏物語〈13〉 寄生 東屋 浮舟 1 一 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon やっと第13巻へ。あと2冊。源氏の孫世代の恋愛模様の後半、宇治の姉妹のさらに異腹の妹・浮舟が最後のヒロインとして登場。しかし、源氏…

窯変源氏物語(12)

㊼椎本・㊽総角・㊾早蕨 窯変源氏物語〈12〉 (中公文庫) 椎本 総角 早蕨 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 宇治十帖、何とも煮え切らない感じの物語でかなりイライラしながら読むことになる。 ㊼椎本(しいがもと)・・宇治に隠棲する八の宮の美人姉妹を巡…

窯変源氏物語(11)

いよいよ源氏後の源氏物語へ 〇雲隠・㊷匂宮・㊸紅梅・㊹竹河・㊺橋姫 窯変 源氏物語〈11〉 雲隠 匂宮 紅梅 竹河 橋姫 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 源氏物語においては、源氏の死をあらわすタイトルだけで中身のない帖が「雲隠」だが・・・…

窯変源氏物語(10)

㊲横笛・㊳鈴虫・㊴夕霧・㊵御法・㊶幻 窯変 源氏物語〈10〉横笛・鈴虫・夕霧・御法・幻 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 第二世代、柏木が死に、実直な夕霧が物語をすすめる。そして皆、それなりに歳をとり紫の上の死、そして源氏の死へと続く…

窯変源氏物語(9)

㉟若菜(下)・㊱柏木 窯変 源氏物語〈9〉 若菜下 柏木 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 残り6冊。ぎりぎり今年のうちに読み終えそう。全体の分水嶺といえる「若菜」(上・下)。 ㉟若菜(下)・・圧巻の女性たちによる雅楽セッション。読み応…

窯変源氏物語(8)

㉛真木柱・㉜梅枝・㉝藤裏葉・㉞若菜(上) 窯変 源氏物語〈8〉 真木柱 梅枝 藤裏葉 若菜上 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 「真木柱」までで「玉鬘十帖」が終わり、「梅枝」で明石の上が入内、「藤裏葉」で夕霧と雲居の雁が結婚・・・と懸案…

窯変源氏物語(7)

㉔胡蝶・㉕蛍・㉖常夏・㉗篝火・㉘野分・㉙行幸・㉚藤袴 窯変 源氏物語〈7〉 胡蝶 螢 常夏 篝火 野分 行幸 藤袴 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 玉鬘十帖うちの三番目から九番目まで。美女・玉鬘を中心にうごめく男たちも次第に光源氏世代から…

窯変源氏物語(6)

⑳朝顔・㉑乙女・㉒玉鬘・㉓初音 窯変 源氏物語〈6〉 朝顔 乙女 玉鬘 初音 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 冷泉帝に実の父親が源氏であることを知られた、そこまでのプロセスそしてそこからの展開がシェイクスピアもびっくりの心理劇だった「薄…

窯変源氏物語(5)

⑮蓬生・⑯関屋・⑰絵合・⑱松風・⑲薄雲 窯変 源氏物語〈5〉 蓬生 関屋 絵合 松風 薄雲 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 全体像を俯瞰する。全54帖中、14帖まで読み進んできた窯変源氏物語。㉝藤裏葉までの33帖が「第1部」でそのうち㉒玉鬘~㉛真木…

窯変源氏物語 (4)

⑪花散里・⑫須磨・⑬明石・⑭澪標 窯変 源氏物語〈4〉 花散里 須磨 明石 澪標 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon ⑪花散里(はなちるさと)・・10ページの短いエピソード。都から須磨への場面転換のためか?なにかの伏線か? ⑫須磨(すま)・・桐壺院…

窯変源氏物語 (3)

⑧花宴・⑨葵・⑩賢木 窯変 源氏物語〈3〉 花宴 葵 賢木 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon ⑧花宴(はなのえん)・・ここまで来て源氏物語の構造がかなりわかってくる。天皇と左大臣系藤原氏と右大臣系藤原氏の3血統の間での勢力争いが基本にある。…

窯変 源氏物語(2)

⑤若紫・⑥末摘花・⑦紅葉賀 窯変 源氏物語〈2〉 若紫 末摘花 紅葉賀 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon ⑤若紫・・光源氏18歳。祈祷を受けに出かけた寺で偶然見かけた少女9歳(後の紫の上)に一目ぼれ、当然周りからは警戒される。それでもじわじわ…

窯変 源氏物語(1)

「本書は紫式部の書いたという王朝の物語『源氏物語』に想を得て、新たに書き上げた、原作に極力忠実であろうとする一つの創作(フィクション)、一つの個人的な解釈である」(橋本治) ①桐壺・②帚木・③空蝉・④夕顔 窯変 源氏物語〈1〉 (中公文庫) 作者:橋本…

窯変源氏物語 企画スタート

2023年の大長編は「窯変源氏物語」! 「源氏物語」ー原文でも谷崎純一郎訳でも挑戦しましたが「挫折」。「桐壺」「帚木」ときて「空蝉」あたりでギブすることが多い。おりしも、来年の大河ドラマは「光る君へ」、吉高由里子さんが紫式部を演じるということで…

双調平家物語 全15巻まとめ

2022年2月~2023年2月 日本史の見方がぐっと深くなりました!

双調平家物語(15) 源氏の巻(承前)・落日の巻・灌頂の巻

ついに全15巻読了・・・去年の2月に読み始めたのでほぼ1年がかり 双調平家物語15 源氏の巻(承前) 落日の巻 (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 500ページ超の第15巻を読み終えた。頼朝の勢力拡大、富士川の戦い、木曽義仲、義経、源平合戦、清…

双調平家物語(14) 治承の巻(承前)・源氏の巻

清盛の被害妄想が平家没落を加速する1180年(治承4年) 双調平家物語〈14〉治承の巻2(承前) 源氏の巻 (中公文庫) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 以仁王・源頼政の打倒平家の旗揚げ(治承4年 1180年5月)。しかし、三井寺と叡山と興福寺それぞれの宗教勢…

双調平家物語(13) 治承の巻2

官打ち! 清盛、出世と没落のメカニズム 双調平家物語13 治承の巻2 (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 鹿ケ谷の陰謀露見(治承元年 1177)から以仁王の令旨(治承4年 1180)まで。穏健派で都の法皇・貴族と福原の平清盛の調整役だった平重盛の…

双調平家物語(12) 治承の巻

平氏 創業者 (清盛)VS 二代目社長(重盛) 双調平家物語12 治承の巻1 (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 平氏政権の創業者・平清盛と二代目社長・平重盛のバトルを軸に平氏政権の最盛期が過ぎていく日々をまるまる一冊で綴る。 苦労人の創業…

双調平家物語(11) 平家の巻(承前)

平清盛、急上昇のその理由(わけ) 双調平家物語11 平家の巻(承前) (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 保元の乱・平治の乱の後、価値観がひっくり返ったのに旧い価値観も引きずられている時代。天皇・上皇・摂関家・周辺藤原家そして平家・・…

双調平家物語(10) 平治の巻(承前)平家の巻

平治の乱の一カ月を描くのに300ページ!ちょっと執着しすぎ? 双調平家物語 (10) 平治の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 平治の乱は平治元年(1159年)12月に始まり、その年のうちにはほぼ決着がつき、翌平治2年(1160年)1月上旬には首謀者・藤…

双調平家物語(9) 平治の巻(承前)

300ページで三年間! 双調平家物語 (9) 平治の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 保元元年(1156年)の保元の乱の終結後から平治元年(1159年)の平治の乱の勃発まで、わずか3年の間の出来事に一冊全部、300ページ超が費やされる。日本史の教科書で…

双調平家物語(8) 乱の巻(承前) 平治の巻

リアリスト藤原信西により歴史が加速 双調平家物語 8 乱の巻(承前) 平治の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 「双調平家物語」は途中で話が膨らんで、第五巻から始まった「保元の巻」だが、「保元の乱」が起こるのは第八巻。 自分の妻(待賢門院)と祖父…

双調平家物語(7) 乱の巻

平安末期の「おっさんずラブ」 双調平家物語〈7〉乱の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 上皇のいる院と帝のいる朝廷。力を持つのが院であるがゆえにルーズな人事が横行し、閑院流藤原氏や六条流藤原氏といった傍流の藤原氏が院の近臣として力を持つ。そ…

双調平家物語(6) 保元の巻(承前)

暴君・白河帝の長命の末に武者の世へ 双調平家物語〈6〉保元の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 一冊丸々「白河天皇(上皇)」。白河天皇は在位1072-1086、譲位して白河上皇となって院政は1086-1129、やりたい放題の57年間。乱脈という意味では、…

双調平家物語(5) 父子の巻・保元の巻

驚異の橋本流日本史 奈良時代末期から院政の直前まで 双調平家物語〈5〉父子の巻・保元の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 本巻は、奈良時代末期から平安盛期・藤原時代(摂関政治)の終焉まで。 前半三分の一は、なぜ全盛時代と思われたその時に藤原仲…

メモ 橋本治 日本古典作品一覧

偶然読み始めた「双調平家物語」だが、さらに note の chisato_mrt さんのこの記事がさらに背中を押してくれて、橋本治の日本古典を読む気力がアップ⇑ しかし、道は長い これで古典がよくわかる 古典を読んでみましょう 橋本治の古事記 桃尻語訳 枕草子(全3…

双調平家物語(4) 栄華の巻3

あー! 奈良時代ってそういうことだったのか! 双調平家物語〈4〉栄花の巻(3) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 奈良時代は「聖武天皇の時代」。天智、天武のあと、娘でもあり妻でもある持統女帝から元明・元正とつなぎの女帝のあとに「聖武天皇(724-749)…