El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

双調平家物語(4) 栄華の巻3

あー! 奈良時代ってそういうことだったのか!

奈良時代は「聖武天皇の時代」。天智、天武のあと、娘でもあり妻でもある持統女帝から元明・元正とつなぎの女帝のあとに「聖武天皇(724-749)」そしてその娘「孝謙(749-758)・称徳天皇(764-770)」で、あとは道鏡事件でぐちゃぐちゃになり桓武天皇が平安京へ。

ということは、奈良時代って聖武天皇を天皇にするまで、天皇になってから、天皇を娘に譲ってから・・・という切り口で考えればすごくよくわかる。天皇になってからは思いつき上司みたいに遷都を繰り返す聖武天皇、行き当たりばったりの女性東宮から孝謙女帝の誕生、大仏建立から、孝謙女帝が称徳女帝になって道鏡事件へと・・・もう何が何やらというなかで、三世一身から墾田永年私財法へと国の形そのものが崩壊していく。

そんなカオスの時代に掉さしたり、過剰適応しようとしたりして滅びていく、藤原広嗣・橘奈良麻呂・・・(と本書はここまで)さらに次巻では、ついには藤原仲麻呂までも・・・と。

いやあ、歴史本よりもはるかによく頭に入る奈良時代史。参りました。

以前に読んだ岩波新書のレビューの浅さに比べると格段に理解が深まった。