El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物

「がん遺伝子パネル検査」もしょせんは商業主義・・ ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物 作者:キャット・アーニー 河出書房新社 Amazon 著者のキャット・アーニーはイギリスのがん研究基金「キャンサー・リサーチUK」の科学コミュニケーション…

ドイツ・ナショナリズム

エキセントリックな研究者の自己満足!? ドイツ・ナショナリズム-「普遍」対「固有」の二千年史 (中公新書 2666) 作者:今野 元 中央公論新社 Amazon かなり独特のわかりにくい文章で辟易した。結局言いたことは「おわりに」と「後記」に書かれている程度の…

双調平家物語(6) 保元の巻(承前)

暴君・白河帝の長命の末に武者の世へ 双調平家物語〈6〉保元の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 一冊丸々「白河天皇(上皇)」。白河天皇は在位1072-1086、譲位して白河上皇となって院政は1086-1129、やりたい放題の57年間。乱脈という意味では、…

推し、燃ゆ(Audible)

東横キッズになっていくの? 推し、燃ゆ 作者:宇佐見 りん Audible Amazon アイドルファンの応援行動が先鋭化して「おっかけ」なんて呼ばれた時代もあったが、今はそれらを含めたトータルな言葉が「推し」。若い女性のライフスタイルの一部に「推し活動(推…

古寺行こう(1) 法隆寺 行ってみた

小学館「古寺行こう」を片手に法隆寺に行ってみて驚いた 隔週刊 古寺行こう(1) 法隆寺 2022年 3/22 号 [雑誌] 小学館 Amazon 驚きーその1:人が少ない! 金曜日平日だったせいもあるが、今の奈良は観光客がとても少ない。中国からの観光客が戻るまで、奈良…

古寺行こう 全巻予約

全巻予約してしまった・・・ 隔週刊 古寺行こう(1) 法隆寺 2022年 3/22 号 [雑誌] 小学館 Amazon 隔週刊 古寺行こう(2) 東寺 2022年 3/29 号 [雑誌] 小学館 Amazon 隔週刊 古寺行こう(3) 東大寺 2022年 4/12 号 [雑誌] 小学館 Amazon 古寺行こう(4) 興福寺 2…

さみしいネコ

「定年後エッセー」で癒される さみしいネコ【新装版】 作者:早川良一郎 みすず書房 Amazon 定年後の生活と意見や、平凡なサラリーマン(経団連の事務局にお勤めだったようだ)時代のあれこれの思い出を、柔らかに語る随想集。早川氏は1919年生まれで1979年…

エネルギーをめぐる旅 (Audible)

エネルギーから見たサピエンス全史 エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来 作者:古舘恒介 英治出版 Amazon 「エネルギー」版のサピエンス全史。「エネルギー」を軸におくことで、リアリティが高まり、かつ知らなかった内容も多いので、サピエンス…

ボクもたまには がんになる

三谷幸喜の前立腺がん経験記 ボクもたまにはがんになる 作者:三谷 幸喜 幻冬舎 Amazon 「鎌倉殿の13人」の脚本家、三谷幸喜氏の前立腺がん闘病記。といっても、実際にがんを発見し治療していたのは「真田丸」の始めの頃らしいので5年ほど前。この本で、初め…

双調平家物語(5) 父子の巻・保元の巻

驚異の橋本流日本史 奈良時代末期から院政の直前まで 双調平家物語〈5〉父子の巻・保元の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 本巻は、奈良時代末期から平安盛期・藤原時代(摂関政治)の終焉まで。 前半三分の一は、なぜ全盛時代と思われたその時に藤原仲…

メモ 橋本治 日本古典作品一覧

偶然読み始めた「双調平家物語」だが、さらに note の chisato_mrt さんのこの記事がさらに背中を押してくれて、橋本治の日本古典を読む気力がアップ⇑ しかし、道は長い これで古典がよくわかる 古典を読んでみましょう 橋本治の古事記 桃尻語訳 枕草子(全3…

エドワード・ホッパー作品集

寂しいあなたの姿を描くホッパーの世界を届けます。 エドワード・ホッパー作品集 作者:江崎聡子 東京美術 Amazon 家族でファミレスに来て、みんなそれぞれのスマホをのぞき込んでいるような孤独感、それがホッパー。どの絵のどの人物も、その人そのものとい…

「ワーニャ伯父さん」から「ドライブ・マイ・カー」まで

話題のアカデミー賞映画を準備万端で観てみました。 ワーニャ伯父さん ——田園生活の情景 四幕—— 作者:アントン チェーホフ Amazon アメリカのアカデミー賞。話題の邦画「ドライブ・マイ・カー」は作品賞は逃しましたが、国際長編映画賞を受賞しました。 この…

がん検診は、線虫のしごと

直感的には「あやしい」話と思っていたら文春砲に撃たれたが、どうなる がん検診は、線虫のしごと 精度は9割「生物診断」が命を救う (光文社新書) 作者:広津 崇亮 光文社 Amazon 微小な寄生虫である線虫の嗅覚を研究していたという著者の広津氏。線虫の嗅覚…