El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Kindle

ババヤガの夜

うーん、そこまで評価が高い理由が??? ババヤガの夜 (河出文庫) 作者:王谷晶 河出書房新社 Amazon 一気読みできる長さと展開で、名前に関わる叙述トリックがあって混乱させられる。ただし、ジェンダーやシスターフッド的なものを感じるほどのことなのか?…

BUTTER

世界中で読まれている! 読むべきは日本のオヤジかも BUTTER(新潮文庫) 作者:柚木麻子 新潮社 Amazon あの木嶋佳苗の人物像をテーマにしながらも、いくつもの人間関係を重奏的に重ね合わせ、そして破綻がなく、未来へとつながるかなり名作。世界中で読まれ…

働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている

「努力」も「自己実現」も幻想だ! 働かないおじさんは資本主義を生き延びる術(すべ)を知っている (光文社新書) 作者:侍留 啓介 光文社 Amazon という、オビの惹句こそが「幻想だ!」 資本主義の歴史あたりはまあまあ。なぜ我々が今、強欲資本主義の世界で…

「5」

かならず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ 5 (角川文庫) 作者:佐藤 正午 KADOKAWA Amazon 読み終わった。そして、最後は「かならず冷めるもののことをスープと呼び愛と呼ぶ」と書くと、単純な愛情の劣化をテーマにした話か、と思うかもしれない。ま…

放蕩記

放蕩記 (光文社文庫) 作者:佐藤 正午 光文社 Amazon

運は遺伝する

「親ガチャ」の本質は「遺伝ガチャ」 当たり前が、公言できるようになってきた・・・ 運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書) 作者:橘 玲,安藤 寿康 NHK出版 Amazon 「親ガチャ」という言葉があって、親の職業や収入によって子どもの…

俺は100歳まで生きると決めた

若大将シリーズで育ったんだよ 俺は100歳まで生きると決めた (新潮新書 1038) 作者:加山 雄三 新潮社 Amazon 小学生の頃、夏休み・冬休み・春休み、それぞれ一度は映画館にいって「若大将シリーズ」を観ていた。そのくらいヒットした。だから、その後、加山…

<世界史>の哲学 スタート

全日本人が読んでおくべき! 〈世界史〉の哲学3 東洋篇 (講談社文芸文庫 お-Z 4) 作者:大澤 真幸 講談社 Amazon 「<世界史>の哲学」って何?、という問いに備えて解説。なぜ2024年の世界はこうなっているのか、もっと具体的には、なぜ世界は近代以降、西ヨ…

母の待つ里

やはり上手い、浅田次郎 アラカン世代にはたまらない 母の待つ里(新潮文庫) 作者:浅田次郎 新潮社 Amazon NHKのドラマ全4話のうち1,2話をみて待ちかねてKindleで読む。ドラマもかなりいいし、9/21,28に再放送もあるのでお楽しみに。

世界史の誕生

「歴史」の歴史、というメタな本 世界史の誕生 ――モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫) 作者:岡田英弘 筑摩書房 Amazon (Kindle Scribeでの第一弾読書。確かに読みやすいがメモ機能はそこまで使わないかな。) 著者の岡田氏はモンゴル史が専門のようだが、そ…

アメリカ彦蔵

ある研究会の機関紙への投稿原稿を兼ねているので長文です・・・ アメリカ彦蔵 (新潮文庫) 作者:昭, 吉村 新潮社 Amazon 1851年、運命の交差点 彦蔵が漂流して救助されサンフランシスコに到達したのは1851年の暮れから1852年にかけてのできごと。万次郎が10…

Kindle Scribe

老いては大画面で・・・ Kindle Scribe キンドル スクライブ (16GB) 10.2インチディスプレイ Kindle史上初の手書き入力機能搭載 スタンダードペン付き Amazon Amazon 以前から、食指をのばしていた大型KindleのKindle Scribeが期間限定で9000円ディスカウン…

クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門

WorkFlowy、使ってる? クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門 (OnDeck Books(NextPublishing)) 作者:彩郎 インプレスR&D Amazon WorkFlowyと言っても知らない人にとっては???かも。実は、20年以上にわたってWorkFlowyで日記を書いています。いわゆるO…

Kindle出版の時給 Audible

新NISA、HowTo本からこちらへ・・・著者の思うつぼ!? Kindle出版の時給: 副業の時給。考えたこと、ありますか? キンドル出版戦略大全 作者:浅見 陽輔 Amazon 新NISAのHow To本をAudibleで聴いてみると、その著者は銀行員で副業的にKindle出版をやり、試行…

新編 閑な老人

尾崎一雄と意外な接点があった 新編-閑な老人 (中公文庫 お 33-3) 作者:尾崎 一雄 中央公論新社 Amazon コロナ禍で中断していた東京出張に3年ぶりに行ってきた。某学会での特別講演(とはいっても30分という短いもの)を依頼され、ここのところその準備、特…

「ワーニャ伯父さん」から「ドライブ・マイ・カー」まで

話題のアカデミー賞映画を準備万端で観てみました。 ワーニャ伯父さん ——田園生活の情景 四幕—— 作者:アントン チェーホフ Amazon アメリカのアカデミー賞。話題の邦画「ドライブ・マイ・カー」は作品賞は逃しましたが、国際長編映画賞を受賞しました。 この…

夜の靴・上海

もうこのあたりの小説はKindleのほうが読める 夜の靴 ——木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 作者:横光 利一 発売日: 2012/10/04 メディア: Kindle版 「来る日も来る日も同じことを繰り返している農業という労働。しかし、仔細に見ていると少しずつ労働…

旅愁

Kindleで横光利一を読む一週間に 旅愁 作者:横光 利一 発売日: 2012/09/13 メディア: Kindle版 「旅愁」(Kindle本)。大部なものなのだろうがKindle本でこの長編を読みおえた。ヨーロッパ・ソビエト・日本・日本の中の郷里、タイトル通り「旅の愁い」は様々…