三谷幸喜の前立腺がん経験記
「鎌倉殿の13人」の脚本家、三谷幸喜氏の前立腺がん闘病記。といっても、実際にがんを発見し治療していたのは「真田丸」の始めの頃らしいので5年ほど前。この本で、初めてそんな治療を受けていたことを公表したことになる。
実際に手術を担当した慈恵医大の穎川教授との対談形式で軽妙なタッチながらも、前立腺がんの疫学、スクリーニング、診断手技、治療法選択、手術後の変化、その後のフォローアップと順を追ってわかりやすく書かれている。
おそらく多数いるであろう「検診やドックでPSAの値が高くて前立腺がんの精密検査を受けるように言われた」・・という人にはかなり役立つ。
ただし、基本的な構成は10年ほど前に出た頴川先生の「あぁ、愛しの前立腺 男の不安から最先端がん治療まで」と同じであり、今回は患者代表が著名人の三谷氏ということで2匹目のドジョウという感はある。
レーガン元大統領や平成上皇の時もそうだったが「有名人がスクリーニング検査でひっかかってがんの治療を行い治癒した」という出来事が報道されると、そのスクリーニング検査を受ける人が爆発的に増えて、結果として実際にがんを発見される人も増えるのだが、その何倍も偽陽性で侵襲的な検査を受けることになる人も増えるので、両刃の剣でもある。
私の過去記事から引用すると「私(60代男性)の個人的ながん検診方針は、4年ごとに胃カメラと大腸ファイバー、それに肺から上腹部までのCTとPSA検査(これは正常値4以下ですが私は10を超えなければ生検は受けません)で必要十分だと思っています(あくまでも個人の意見です)。無駄な検査や過剰診断をできるだけ減らしながらも早期発見を見逃さないバランス!がん検診も漫然と言われるままに受けていてはいけない。」となる。