El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ブックガイド(5)前立腺 長い間ありがとう!?

——前立腺 長い間ありがとう!?——

高齢化やPSAスクリーニングの普及で激増している前立腺がんですが、男性読者のみなさん、あなたはご自分の前立腺・・・意識していますか?前立腺の役目、PSAの働き、正しく理解してますか?つい最近までは、私にとってもどこか遠い前立腺・・泌尿器科出身の先生以外にとっては、また女性のみなさんにはもっと、わけわからないものではないでしょうか。そこで、一般書でわかりやすく情報も豊富な「あぁ、愛しの前立腺」を紹介します。私は今、2時間ほどで読み終わってみて、これまでの人生をともにがんばってきたわが前立腺に「ごくろうさま、これからもよろしく」と語りかけたい気分になりました。何がご苦労様なのかここに書くことははばかられますが、若いころは若いなりに、歳をとってきてからはまたそれなりに、あんなできごと、こんなできごと、前立腺とともに生きてきたんだなぁ、そんな感慨必至です。読めばわかります(男性にかぎりますが)。

本書はいわばシロウトの石原さんという50代コラムニストが前立腺内視鏡手術の第一人者慈恵医大の頴川先生にインタビューするという形式なので、本当に読みやすく、それでいてツボはきちんと押さえられています。PSA検査を受ける心構えなや、基準値がどうやってきめられているのかなどなど。また、前立腺肥大と前立腺がんがまったく無関係というのは恥ずかしながら知りませんでした。査定に生かせそうです。あと、前立腺がんの骨転移巣はほかのがんが破骨的なのとは異なり造骨的なので痛むのだとか。

また、歴史的に、有名人が前立腺がんになったというニュースがあるとPSA検査を受ける人が増えてがんが見つかる数が激増するらしいです。ジュリアーニニューヨーク市長ではアメリカで、今上天皇陛下69歳のときの手術では日本で前立腺がんブームになったそうです。

気になる前立腺手術を受けた後の機能についてもこれ以上の説明はないというくらいわかりやすく書かれています。男性なら皆、そして女性の査定者も、前立腺にもっと愛を・・・。 (by 査定職人 ホンタナDr. Fontana 2017年9月)