El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

双調平家物語(7) 乱の巻

平安末期の「おっさんずラブ」

上皇のいる院と帝のいる朝廷。力を持つのが院であるがゆえにルーズな人事が横行し、閑院流藤原氏や六条流藤原氏といった傍流の藤原氏が院の近臣として力を持つ。その頂点が六条流藤原得子(=美福門院)なのだが、そうなるまでの原動力としての閑院流や六条流の男たちの「男色」合戦がリアルに描かれる。

朝廷側の権力を握る摂関家藤原氏もまた、忠通と頼長兄弟のライバル関係に美福門院や鳥羽院さらにはあっという間に譲位した崇徳院との思惑がからまって、もはやすべてが調整不能な利害の衝突直前。

そんな中でも男色、ほんとうに盛んなんですね「おっさんずラブ」。後半半分は「おっさんずラブ」だらけ。堅物そうな頼長の〇〇ハラめいた「おっさんずラブ」、3P「おっさんずラブ」、親子どんぶり「おっさんずラブ」。

摂関政治からの脱却に一役買った「院政」だが、良王が続出するというわけもなく、継代していくと矛盾とほころびが目立つようになり、いよいよ激突の次巻へ。