El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

窯変源氏物語(13)

㊾寄生・㊿東屋・(51)浮舟1

やっと第13巻へ。あと2冊。源氏の孫世代の恋愛模様の後半、宇治の姉妹のさらに異腹の妹・浮舟が最後のヒロインとして登場。しかし、源氏が死んでからここまでは、どうにも煮え切らない薫・姉君・妹君のせいか行ったり来たりのよどんだ展開が延々と続き疲れる。

㊾寄生(やどりぎ)匂宮に嫁ぎ宇治から京へ移った妹君=中の君、薫、匂宮を軸に物語は続く。帝の娘=二の宮を薫の妻に、右の大臣(=夕霧)の娘=六の君を匂宮の妻にという動きがあり、宇治から来たにもかかわらず妻としての立場が弱い中の君の嘆き。いつまでも死んだ姉君=大の君への恋慕から中の君にちょっかいをだす薫は匂宮の子を宿している中の君の寝所に入り込みその香りを残したために疑われる・・などなど、どうにも孫世代の恋愛模様はすっきりしない。そのころ、姉妹君の死んだ父=八の宮が遺していたもう一人の娘=浮舟の存在が明らかになる。皇子でありながら力のなかった故・八の宮の3人の美しい娘、故・大の君、中の君、浮舟、それぞれの生きづらい人生の物語。

㊿東屋(あずまや)・・「宇治・氏・憂し」宇治十帖では、女性の氏(生まれの上下)がとことん問題になる。容姿や心の美しさでもそれを乗り越えることはできない。高貴な男と高貴な女の間に生まれればもちろん高貴。高貴な女から生まれればほとんどの場合が高貴。高貴な男が父でも(たとえ八の宮のように皇子であっても)、母はさまざまであり、この場合子供たちは母の身分でさまざま。

浮舟の母は何とか娘をうまく嫁がせようとするが、薫は相変わらず理念的で動きが遅く、その間に浮舟は傍若無人な匂宮の毒牙に・・・・

①浮舟1・・と、思っていたら薫が押しかけて関係。ところが何だか関係を持ったらあとが冷たい。受領の娘であることを殊更に言い立てて宇治に幽閉するみたいな。身分が下だから遊んでいいという感覚。浮舟が宇治にいることを知った匂宮はエロ心膨らませながら宇治へ。ひどい男たち。

さて、孫世代がとんだセクハラ野郎ぶりを見せながらいよいよ最終巻へ!