知らないことだらけ!これはすごい
専門分野ではないのに、なぜだか個人的に興味を持っているテーマがいくつかあって、関連書が出るとついつい手に取ってしまう。そのテーマの一つに「奴隷制度とラテンアメリカ世界(含ラテンアメリカ文学)」があり・・・
目次を見れば、もう読まずにいられないほど知らないことだらけ。ポイントを下記に列記。
①ポルトガルの時代(16世紀~19世紀前半)
河口はポルトガル領、アンデス山脈近くはスペイン領となったアマゾン。ポルトガル人はスペインとポルトガルが同君連合(同じ君主のもとの別の国)になった期間を利用してアマゾン全域がポルトガルの支配下に。カトリック修道会(主にイエズス会)と入植者の先住民奴隷化をめぐる対立。ヴィエイラ神父の先住民保護ーと、いいながらイエズス会と植民者、両方が先住民労働力を奪い合っていた。過酷な労働や感染症で先住民の数は急減(16~17世紀)。
ボンバル侯爵の専制政治ーアフリカ人奴隷の導入・先住民とポルトガル人の混血の促進・イエズス会の追放ー結果としてのアマゾン全域のポルトガル支配が確定(18世紀)。
ナポレオンによるヨーロッパ支配でポルトガル王家がブラジルに移転。ブラジルの王国化と後継者をめぐる混乱。ブラジル独立派とポルトガル派の大内乱(カバナージェン)→人口減少による労働力不足(19世紀前半)。
②ブラジルのアマゾンへのアメリカの干渉(19世紀)
北アメリカの奴隷解放→解放奴隷をラテンアメリカに移民させようというアメリカの作戦(モーリーやリンカーン)の挫折。南北戦争敗者のアマゾン移住とその失敗→人種混血を受け入れられず。
③ゴムブーム(20世紀初め)
産業革命によるゴム需要で資本(ゴム男爵)も労働者(セリンゲイロ)もアマゾンに殺到。フォードのアマゾン理想郷建設と挫折。イギリスがパラゴムの木を秘密裏にマレーに移植してゴムブームの終焉。。
④日本人移民の歴史(20世紀)そして乱開発の21世紀
このあたりは日本人にはおなじみ。さまざまな悲劇あり。
全体を通して、労働力希薄だがなんとかがんばってブームとなる作物が当たればやっていけるという土地がアマゾン。その労働力がどこから来るか(先住民・ブラジル内の難民・世界からの移住者)?作物(ゴム・コーヒー・ジュート・胡椒など)は何か?というような要素の組み合わせで歴史がすすんでいく。マラリアや黄熱病など人間の病気だけでなく植物の病気も多く、東南アジアやカリブの島にようなプランテーションが成功しにくいという条件もある。また作物のブームは長続きしない。人間の努力を吸い込んで無力化するブラックホールなのかアマゾン。
同じテーマでは下記の本も・・