El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

プロジェクト・ヘイル・メアリー(下)

良い人すぎる、良い異星人すぎる でもそれでいい

猛暑の中、プロジェクト・ヘイル・メアリー(PHM)を聴き終えた。甘すぎるとも言える異星人との友情物語。主人公グレースがヘイル・メアリー号に乗る(乗せられる)までの過去のエピソードと、タウセチで異星人ロッキーに出会い相互理解を深め、数々の困難を乗り越えて太陽を食いつくすアストロファージの天敵、タウメーバ(タウセチのアメーバ)を見出す現在のエピソードをうまくからめながら終局へ。

天文学や天体物理、異星人との交流という認知科学、そして最後は細胞工学的になり、アストロファージをコントロールしやすい形質を持つように継代培養しそれにも成功!

グレースとロッキーはそれぞれ飼育したアストロファージとタウメーバを手にそれぞれの母星に向かうのだが・・・(あとはネタバレせずにおきます)。

それにしてもみんなが善人で前向き。中華SF「三体」世界の対極にある。現実世界は「三体」的なのか、「PHM」的なのか?プーチンや習近平を見る限りでは「暗黒森林」の世界だと嘆くべきなのか。

実写映画化にぴったりなのはPHM、三体はアニメ向きか。