El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

正義の弧(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ最新刊に歳月を感じる

姪の結婚式で石垣島へ。その旅路に読み始め没頭

「BOSCH:ボッシュ」シリーズは第一作「ナイト・ホークス」原著刊行が1992年1月、コナリー35歳、ボッシュは1950年生まれの設定で当時40代前半、訳者の古沢氏は34歳、読者の私は35歳。つまり、作者も訳者も読者もほぼ同年代で少し年上のボッシュの活躍を追いかけてきたわけだ。ボッシュも70代、膝は手術をしたようだし、この巻では白血病であることもわかった。ボッシュの30年をこの3年でずっと読み続けてきたことになる。ついに未読のボッシュはなくなってしまった。

ここ最近は、DNAを中心とした新しい捜査方法で古い未解決事件が解決するというパターンが多いが、そんなケースでも結局はボッシュの(そしてバラードの)勘や正義感なしでは物語は動いていかないわけで、結局は「人」なんだなと、あらためて思う。