El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ(いずみ)氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ルックバック

単純に面白いと思ったが、いろいろ論点がある漫画だった ルックバック (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:藤本タツキ 集英社 Amazon 三連休なのに台風で動けずKindleで漫画をよむ、その① 漫画家を目指す二人の女の子のビルドゥングス・ロマン(成長物語)で…

世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち

日本の膨大な赤字国債財政の破綻に向けて私は何に賭けたらいいのか? 世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫) 作者:マイケル・ルイス 文藝春秋 Amazon 2007年に起こったリーマン・ショックというかサブプライム・ローン債破綻の全貌と、その…

バレット博士の脳科学教室 7½章

解剖学的脳科学とは一線を画す、やわらか頭の脳科学 バレット博士の脳科学教室 7½章 作者:リサ・フェルドマン・バレット 紀伊國屋書店 Amazon 脳科学本といえばニューロンやシナプスの微細構造が云々というパターンや、人工知能とからめて云々というパターン…

ブックガイド(104)―めくるめくRNAワールドへ!―

ブックガイド(104)https://uuw.tokyo/wp-content/uploads/2022/09/bookguide104.pdf 遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎 (ブルーバックス) 作者:中屋敷均 講談社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲット…

2016年の週刊文春

もはや日本の正義を守るのは文春砲しかない! 2016年の週刊文春 作者:柳澤 健 光文社 Amazon 文春でたどる、昭和ー平成史。「田中角栄研究」「日本共産党の研究」「疑惑の銃弾(三浦和義事件)」、オウム真理教に酒鬼薔薇・・・500ページ一気読みだ。本誌「…

新・私の本棚 (1)チャンスの前髪をつかめ!

チャンスの前髪をつかめ! mRNAワクチン開発の全貌 https://membersmedia.m3.com/articles/6040#/ 還暦すぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビュー「私の本棚・…

諦めの価値

大人の「あきらめ」は、本当に大切! 諦めの価値 (朝日新書) 作者:森 博嗣 朝日新聞出版 Amazon 著者は1957年生で同じ歳。名古屋大学工学部の助教授時代に著者の推理小説「すべてはFになる」がヒットした頃には、私はもう実生活が忙しくて読者となることはな…

古寺行こう(7)三十三間堂 行ってみた

まだまだ京都は暑かった・・・にわか雨もあり 隔週刊 古寺行こう(7) 蓮華王院 三十三間堂 2022年 6/7 号 小学館 Amazon 9月にはいり、少し涼しくなったので「古寺行こう」+行ってみた・・を再開。 「古寺行こう」片手に、五度目くらいになるが改めて三十三間…

牧野式高音質生活のすゝめ

マニアじゃなくても参考になる 牧野式高音質生活のすゝめ ~SACDからBlu-ray Audioまで高音質ソフト234レビュー (CDジャーナルムック) 作者:牧野 良幸 音楽出版社 Amazon ごくごく一般的な音楽リスナーに過ぎないけれど、音楽サブスクが高音質化してきて、せ…

三体

超絶の科学リアリティで繰り広げられる、ディストピア的スペース・オペラ 三体 作者:劉 慈欣,立原 透耶[監修],大森 望,光吉 さくら,ワン チャイ[訳] Audible Amazon Audibleで聴きました(17時間31分)。2019年の発刊以来SF界を驚かし続ける中国版スペー…

ブックガイド(103)―「がん」になるから「進化」もできた―

ブックガイド(103) https://uuw.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/bookguide103.pdf ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物 作者:キャット・アーニー 河出書房新社 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲ…

透明な迷宮

カバー絵のムンクのエッチングがいい 透明な迷宮(新潮文庫) 作者:平野啓一郎 新潮社 Amazon 第4期(=後期分人主義)の先鞭をつけた短編集とのこと。全6編。 「透明な迷宮」・・異国の地で監禁され、見世物として「愛し合う」ことを強いられた男女は、帰…

生命知能と人工知能

もうこの手の、脳科学や人工知能や意識についての本は読むべきではない 生命知能と人工知能 AI時代の脳の使い方・育て方 作者:高橋宏知 講談社 Amazon 著者が研究者としてがんばってきたのはよくわかる。全体のまとめとしても悪くはない。こういう研究が何…

日本の包茎 男の体の200年史

メディアのタイアップ記事の影響力! ネット時代にも要注意! 日本の包茎 ――男の体の200年史 (筑摩選書) 作者:澁谷知美 筑摩書房 Amazon 包茎治療は医師の数とパラレル。太平洋戦争末期の医師濫造で戦後に医師があふれた。その医師がかせぐためにあみ出した…

生きて、食べて、眠る部屋があって、ひとりになる時間があればそれでじゅうぶん 泡 作者:松家 仁之 集英社 Amazon 適応障害(?)ぽい、不登校男子高校生「薫」が、紀伊半島のどこか(たぶん白浜温泉)でジャズバー(&喫茶)をやっている大叔父「兼定」のと…

双調平家物語(11) 平家の巻(承前)

平清盛、急上昇のその理由(わけ) 双調平家物語11 平家の巻(承前) (中公文庫) 作者:橋本治 中央公論新社 Amazon 保元の乱・平治の乱の後、価値観がひっくり返ったのに旧い価値観も引きずられている時代。天皇・上皇・摂関家・周辺藤原家そして平家・・…

第三次大戦はもう始まっている

やっと日本でもロシアよりの論評が・・・トップ・ガン虚し 第三次世界大戦はもう始まっている (文春新書) 作者:エマニュエル・トッド 文藝春秋 Amazon 半分くらいの日本人も、現在のウクライナの膠着状態やロシア経済がガタつかないことを見て当初の「ロシア…

生命科学的思考

セラノス事件的うさん臭さ ビジネスと人生の「見え方」が一変する 生命科学的思考 (NewsPicksパブリッシング) 作者:高橋祥子 ニューズピックス Amazon ジーンクエストという民間遺伝子解析サービスを起業した京都大学農学部を10年前に卒業した女性が著者。遺…

空白を満たしなさい

分人主義小説の真骨頂 空白を満たしなさい(上) 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon 空白を満たしなさい(下) 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon Audibleで聴きました(上下で17時間)。聴いている途中で、NHKでドラマ化され放映されたがやはり原作のほうが深い。…

自分がおじいさんになるということ

2040年問題に向けて粛々と歳を重ねる 自分がおじいさんになるということ 作者:勢古 浩爾 草思社 Amazon 10年先行老人、勢古浩爾氏の最新老後エッセー集。この手の定年本、定年後本、老後本は買わないと思っていてもつい油断すると買ってしまう。たいした内容…

ロボット手術と前立腺がん・ロボット手術と子宮がん

術者としては経験できなかったロボット支援手術の今をまとめておきたい ロボット手術と前立腺がん (祥伝社新書) 作者:大堀 理 祥伝社 Amazon ロボット手術と子宮がん (祥伝社新書) 作者:井坂惠一 祥伝社 Amazon 2冊とも祥伝社新書でほぼ同じ体裁、著者の二人…

死にかた論

もっと科学的になってほしい。 死にかた論 (新潮選書) 作者:佐伯 啓思 新潮社 Amazon 発達した脳が「自己」というものを持ったために「死」が「自己の喪失」となってしまった。「自己」が「自己の喪失」を理解できない、納得できない、それはまあ当たり前の…

ある男

過去に翻弄された大人たち、未来を生きようとする子供たち ある男 (コルク) 作者:平野啓一郎 コルク Amazon 「マチネの終わりに」「ある男」「本心」と「分人主義後期三部作」らしい。 「マチネの終わりに」が良かったので期待したが、他人どうしが戸籍を交…

古寺行こう(4)興福寺 行ってみた

国宝館のガラスケース無しの距離感は近い! 隔週刊 古寺行こう(4) 興福寺 2022年 4/26 号 [雑誌] 小学館 Amazon 毎月のように奈良に行っているので当然、興福寺周辺を歩いている。国宝館は面積比の国宝の数が多い、つまり国宝密度がやたら高い。今回、久しぶ…

君の顔では泣けない

一気に読ませる、入れ替わり人生論・カフカ的 君の顔では泣けない (角川書店単行本) 作者:君嶋 彼方 KADOKAWA Amazon 映画「転校生」でひとつのジャンル化した「男女の入れ替わり」というモチーフだが、入れ替わった男女(坂下陸・水村まなみ)がもとに戻れ…

ブックガイド(102)―長寿への人類史―

ブックガイド(102) https://uuw.tokyo/book-guide/ EXTRA LIFE なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか 作者:スティーブン・ジョンソン 朝日新聞出版 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプ…

ツボちゃんの話 夫・坪内祐三

女たちに描かれる坪内祐三(去る者は日日に疎し・・・) ツボちゃんの話: 夫・坪内祐三 作者:佐久間 文子 新潮社 Amazon 2020年1月に病死した坪内祐三との生活を妻である佐久間文子が一冊の本にしたもの。坪内祐三の伝記と言ってもよく、これまで出版されて…

ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか 生物の死4つの仮説

なぜ死ぬのかに関する4つの仮説(やや冗長) ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか (新潮選書) 作者:更科 功 新潮社 Amazon ①自然淘汰的死亡説・・・自然淘汰を繰り返すためには世代ごとの死滅が必要。ある世代の100分の1が次の世代となり99%は淘汰されるとすると死…

マンガでわかるジャズ

あれっ!?、ジャズって同世代だったのか マンガでわかるジャズ: 歴史からミュージシャン、専門用語などを楽しく解説! 作者:山本 加奈子 誠文堂新光社 Amazon マイルス・ディヴィスが1926年生まれの1991年没。1926年は昭和元年、ということはマイルス・デ…

私とは何か 「個人」から「分人」へ

『マチネの終わりに』の蒔野と洋子の愛とはなんだったのか?その相手といるときの自分、について考える。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 講談社 Amazon 大仰な哲学書のようなタイトル。しかし内容は、「自己」「他者…