El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

認知症のブレインサイエンスとケア

無責任なトンデモ医療本

副題の「アルツハイマー認知症は抗ウイルス薬で予防できるー」に惹かれて読んでみたが、エビデンスのはっきりしない引用ばかりで、アルツハイマー病ウイルス説という異端の説をあたかも周知の事実のように振りまくのは、まあ老害(著者は80代後半)。

それ以外の部分はまともなことが書いてあるが、そこには新奇なことは何もないので、まあ老医師の趣味的な書き物のレベル。図書館本でよかった・・・ま、予想はしてたけど。エビデンス無視で本を書くのは昔はあったかもしれないが、今はちょっと検索すればエビデンスはいくらでもある(下記)。

著者や私の世代は現役中に、子宮がんの原因がHPVであり、胃がんの原因がピロリ菌とであるというコペ転を経験したので、多くの疾患が感染やそれに対する免疫反応の結果起こるという話が心に響く世代であるのは間違いない。なんとなく怪しい話にものってしまいそうになる。