El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)

アメリカSFから中国「三体」へのカウンター

Audibleで聴きました。

アストロファージに異星人、サイエンス好きにはたまらない。

エネルギーを質量に、質量をエネルギーに変換できる感染性生命体アストロファージの宇宙的パンデミックという設定からして素晴らしい!多くの恒星がアストロファージに感染しエネルギーダウンして恒星系の死滅の危機に。ただ一つ感染が起こっていない恒星にその免疫の秘密を探るため宇宙船ヘイル・メアリー(マリア様おたすけを号)が飛び立つ。やがてクルーが目を覚ますと、同じ目的でやってきた異星人と出会い・・・。

宇宙空間での異星人との遭遇の場面と地上でヘイル・メアリー計画が実行にうつされるまでの場面を交互に行きつ戻りつすることで、宇宙で起こっていることの説明が過去の会話から理解できるなど構成の妙もある。

残念ながら後半の下巻は6月30日配信ということで、ここでいったん宇宙空間から離脱します・・・。

中華SF「三体」が「疑心暗鬼」ベースだとしたらヘイル・メアリーは「良心」ベース。違いもまた楽しめる。