El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ある男

過去に翻弄された大人たち、未来を生きようとする子供たち 

「マチネの終わりに」「ある男」「本心」と「分人主義後期三部作」らしい。

「マチネの終わりに」が良かったので期待したが、他人どうしが戸籍を交換して生きるというややエキセントリックなやり方がメインにあるためどうしても自分の方に引き寄せられないままエンディングまで行ってしまった。

読書家で文学的な才能がありそうな長男(悠人)が救いとなり、全体としては「過去に翻弄された大人たち、未来を生きようとする子供たち」ということになるのだが、全体として分人主義がどう関わってくるのかクリアでない。

読み込みがたりないのだろうか?アイデンティティに拘るがゆえに、負のアイデンティティから抜け出そうとする人々。うーん、まだ今のところよくまとまらない。

20240302追記 映画化されたものを観た。