El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2016年の週刊文春

もはや日本の正義を守るのは文春砲しかない!

文春でたどる、昭和ー平成史。「田中角栄研究」「日本共産党の研究」「疑惑の銃弾(三浦和義事件)」、オウム真理教に酒鬼薔薇・・・500ページ一気読みだ。本誌「文藝春秋」とスクープ誌「週刊文春」、特に「週刊文春」を舞台に繰り広げられるスクープ合戦と名物編集長(特に花田紀凱と新谷学)。「エンマ」「マルコポーロ」と現れては消えていった雑誌たち。もう本当に盛だくさん。

序章+全七章+最終章。第七章がタイトルにもなった「二〇一六年の『週刊文春』」。ベッキーのゲス不倫に甘利大臣の汚職辞任あたりから「文春砲」と呼ばれるようになり、安倍一強内閣によるやりたい放題にも適宜砲撃を加え続ける。ああ、あれもあったし、これもあったと膝を打つ。

そして最終章では「文春オンライン」と電子化への試行錯誤。思わず「文春オンライン」をブックマークしてしまった。芸能人のスキャンダルでは「やりすぎじゃないの?」と思うこともあるが、何に対しても真実をえぐるというその姿勢が「文春砲」のクォリティを維持しているのだろう。

事件事件でせわしない日々を生きてきたことを文春とともに振り返る。文春オンラインも要チェックだ。