「どんでん返し」というよりは「じわりとひっくり返される」快感
「どんでん返し」小説の代表みたいに言われる「イニシエーション・ラブ」を読んでみた。どんでん返しとはいかないものの、じんわりひっくり返されて、意外に爽やかな読後感。雨の日曜日の昼下がりの二時間、楽しめました。
文庫のカバーには
甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説ーと思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。
とある。描かれる80年代の世界とそこでの男女関係はまさに自分が生きてきた時代で、まるで自分のことが書かれているような気になる。最後から二行目というよりも、最後の見開き二ページで、確かに読み手の勝手読みがひっくり返されて、さらに確かに、その勝手読みをただすためにもう一度ページをめくり確認作業、仕掛けがわかればまったく違った物語になりますね。
身勝手な男の話だと思っていたら、(ネタバレにつき伏字)に替わる。でも、そうなっても、ああそんなこともあったかもーそんな時代でしたか80年代。