El librero la Fontana

El librero la Fontana・ホンタナ(いずみ)氏の本棚「人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ 」(アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

双調平家物語(7) 乱の巻

平安末期の「おっさんずラブ」 双調平家物語〈7〉乱の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 上皇のいる院と帝のいる朝廷。力を持つのが院であるがゆえにルーズな人事が横行し、閑院流藤原氏や六条流藤原氏といった傍流の藤原氏が院の近臣として力を持つ。そ…

EXTRA LIFE なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか

もっと読まれていい、具体的な寿命延長史! EXTRA LIFE なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか 作者:スティーブン・ジョンソン 朝日新聞出版 Amazon 寿命の延び(=ゼロ歳の平均余命の延び)は乳幼児死亡率の劇的減少(20%→1-2%)で起こった。20世紀の前半ま…

ヒトはなぜ「がん」になるのか 進化が生んだ怪物

「がん遺伝子パネル検査」もしょせんは商業主義・・ ヒトはなぜ「がん」になるのか; 進化が生んだ怪物 作者:キャット・アーニー 河出書房新社 Amazon 著者のキャット・アーニーはイギリスのがん研究基金「キャンサー・リサーチUK」の科学コミュニケーション…

ドイツ・ナショナリズム

エキセントリックな研究者の自己満足!? ドイツ・ナショナリズム-「普遍」対「固有」の二千年史 (中公新書 2666) 作者:今野 元 中央公論新社 Amazon かなり独特のわかりにくい文章で辟易した。結局言いたことは「おわりに」と「後記」に書かれている程度の…

双調平家物語(6) 保元の巻(承前)

暴君・白河帝の長命の末に武者の世へ 双調平家物語〈6〉保元の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 一冊丸々「白河天皇(上皇)」。白河天皇は在位1072-1086、譲位して白河上皇となって院政は1086-1129、やりたい放題の57年間。乱脈という意味では、…

推し、燃ゆ(Audible)

東横キッズになっていくの? 推し、燃ゆ 作者:宇佐見 りん Audible Amazon アイドルファンの応援行動が先鋭化して「おっかけ」なんて呼ばれた時代もあったが、今はそれらを含めたトータルな言葉が「推し」。若い女性のライフスタイルの一部に「推し活動(推…

古寺行こう(1) 法隆寺 行ってみた

小学館「古寺行こう」を片手に法隆寺に行ってみて驚いた 隔週刊 古寺行こう(1) 法隆寺 2022年 3/22 号 [雑誌] 小学館 Amazon 驚きーその1:人が少ない! 金曜日平日だったせいもあるが、今の奈良は観光客がとても少ない。中国からの観光客が戻るまで、奈良…

古寺行こう 全巻予約

全巻予約してしまった・・・ 隔週刊 古寺行こう(1) 法隆寺 2022年 3/22 号 [雑誌] 小学館 Amazon 隔週刊 古寺行こう(2) 東寺 2022年 3/29 号 [雑誌] 小学館 Amazon 隔週刊 古寺行こう(3) 東大寺 2022年 4/12 号 [雑誌] 小学館 Amazon 古寺行こう(4) 興福寺 2…

さみしいネコ

「定年後エッセー」で癒される さみしいネコ【新装版】 作者:早川良一郎 みすず書房 Amazon 定年後の生活と意見や、平凡なサラリーマン(経団連の事務局にお勤めだったようだ)時代のあれこれの思い出を、柔らかに語る随想集。早川氏は1919年生まれで1979年…

エネルギーをめぐる旅 (Audible)

エネルギーから見たサピエンス全史 エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来 作者:古舘恒介 英治出版 Amazon 「エネルギー」版のサピエンス全史。「エネルギー」を軸におくことで、リアリティが高まり、かつ知らなかった内容も多いので、サピエンス…

ボクもたまには がんになる

三谷幸喜の前立腺がん経験記 ボクもたまにはがんになる 作者:三谷 幸喜 幻冬舎 Amazon 「鎌倉殿の13人」の脚本家、三谷幸喜氏の前立腺がん闘病記。といっても、実際にがんを発見し治療していたのは「真田丸」の始めの頃らしいので5年ほど前。この本で、初め…

双調平家物語(5) 父子の巻・保元の巻

驚異の橋本流日本史 奈良時代末期から院政の直前まで 双調平家物語〈5〉父子の巻・保元の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 本巻は、奈良時代末期から平安盛期・藤原時代(摂関政治)の終焉まで。 前半三分の一は、なぜ全盛時代と思われたその時に藤原仲…

メモ 橋本治 日本古典作品一覧

偶然読み始めた「双調平家物語」だが、さらに note の chisato_mrt さんのこの記事がさらに背中を押してくれて、橋本治の日本古典を読む気力がアップ⇑ しかし、道は長い これで古典がよくわかる 古典を読んでみましょう 橋本治の古事記 桃尻語訳 枕草子(全3…

エドワード・ホッパー作品集

寂しいあなたの姿を描くホッパーの世界を届けます。 エドワード・ホッパー作品集 作者:江崎聡子 東京美術 Amazon 家族でファミレスに来て、みんなそれぞれのスマホをのぞき込んでいるような孤独感、それがホッパー。どの絵のどの人物も、その人そのものとい…

「ワーニャ伯父さん」から「ドライブ・マイ・カー」まで

話題のアカデミー賞映画を準備万端で観てみました。 ワーニャ伯父さん ——田園生活の情景 四幕—— 作者:アントン チェーホフ Amazon アメリカのアカデミー賞。話題の邦画「ドライブ・マイ・カー」は作品賞は逃しましたが、国際長編映画賞を受賞しました。 この…

がん検診は、線虫のしごと

直感的には「あやしい」話と思っていたら文春砲に撃たれたが、どうなる がん検診は、線虫のしごと 精度は9割「生物診断」が命を救う (光文社新書) 作者:広津 崇亮 光文社 Amazon 微小な寄生虫である線虫の嗅覚を研究していたという著者の広津氏。線虫の嗅覚…

双調平家物語(4) 栄華の巻3

あー! 奈良時代ってそういうことだったのか! 双調平家物語〈4〉栄花の巻(3) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 奈良時代は「聖武天皇の時代」。天智、天武のあと、娘でもあり妻でもある持統女帝から元明・元正とつなぎの女帝のあとに「聖武天皇(724-749)…

サピエンス全史(Audible)

Audibleで聴きました。全部聞くと24時間! サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福 作者:ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田 裕之 Audible Amazon 24時間かけて聴くのは時間のムダだったかな。活字であればある程度読み飛ばして、もう少しスピーディに行けた…

生命を守るしくみ オートファジー

オートファジー、ブレイクするのかまだよくわからない 生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム (ブルーバックス) 作者:吉森保 講談社 Amazon 2016年、オートファジーでノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典氏、その…

古寺行こう(3) 東大寺 行ってみた

「古寺行こう」を片手に古寺に出かけてみるシリーズ 隔週刊 古寺行こう(3) 東大寺 2022年 4/12 号 [雑誌] 小学館 Amazon 刊行直前に東大寺に行っていたので、その時の印象からこのガイドブックの有用性を考えてみる。 まず東大寺ともなるといつでもすべての…

最悪の予感 パンデミックとの戦い

CDCよ、お前もか! 最悪の予感 パンデミックとの戦い 作者:マイケル ルイス 早川書房 Amazon マイケル・ルイスのパンデミック本。2021年9月に買って積読状態になっていたのだが2022年3月の連休に読んでみた。ワクチン出現以前に書かれたということを割り引い…

嘆きの王冠 ホロウ・クラウン(Blu-ray)

いま問いたい「なぜ国全体が暴君の手に落ちてしまうのか?」 嘆きの王冠 ホロウ・クラウン 【完全版】 Blu-ray BOX ベネディクト・カンバーバッチ Amazon BBCが2012年ロンドン・オリンピックにあわせた文化事業としてシェイクスピアのイギリス王朝史劇をテレ…

続・私の本棚 (12)死因究明制度の「闇」

医師も他人事ではない…日本の死因究明制度が抱える「闇」 還暦過ぎの元外科医ホンタナが、医学知識のアップデートに役立つ一般向け書籍をセレクトし、テーマごとに同世代の医師に紹介するブックレビューのセカンド・シーズン「続私の本棚・還暦すぎたら一般…

悪魔の細菌

超多剤耐性菌 VS ファージ 悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い 作者:ステファニー・ストラスディー,トーマス・パターソン,テレサ・H・バーカー 中央公論新社 Amazon 「パターソン症例」(2016)という感染症分野で有名な症例があるらしいの…

双調平家物語(3) 栄華の巻2

「大化の改新」から藤原不比等の死まで 双調平家物語 (3) 栄花の巻2 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon まだまだ全然平家物語になりません。著者も書いているうちにどんどん深みにはまっていった感じ。しかし、だからこそ「読めばすべてがわかる」日本史物語…

モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか

ワクチンの話はほんの少しだけ・・・ モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル) 作者:田中道昭 集英社 Amazon ビオンテック(ファイザー)のコロナワクチンについて読んだところで、もう一方のモデ…

プーチンとウクライナ (関連レビューなど)

プーチンのウクライナ侵攻については日本のネットニュースではなくDemocracy Now!をGoogle翻訳で読むことをお薦めします。 さて、プーチンについては2021年9月ころから読書テーマになっていました。 この本からティモシー・スナイダーの著作へ。 スナイダー…

物語 ウクライナの歴史

20年前の本書が予測できなかった未来を眼前にして・・ 物語 ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国 (中公新書) 作者:黒川祐次 中央公論新社 Amazon 2002年発刊の「物語 ウクライナの歴史」、プーチンのウクライナ侵攻のせいでだろうか再版されて売れている…

双調平家物語(2) 栄華の巻1(承前)

「継体天皇」から「大化の改新」まで 双調平家物語〈2〉栄花の巻(1)承前 作者:橋本 治 中央公論社 Amazon 平家物語の前提として院政時代があり、院政時代の前提として摂関政治の時代があり、摂関政治の時代の前に藤原氏以前の天皇の時代がある。というわけで…

境界を生きる 性と生のはざまで

DSDを啓蒙する 境界を生きる 性と生のはざまで 作者:毎日新聞「境界を生きる」取材班 毎日新聞社 Amazon 身体的性と精神的性が一致しない性同一性障害については社会的にも大きく取り上げられ、戸籍の変更など法整備もされてきた。LGBTという略語も市民権を…