El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

Audible

韓国 行き過ぎた資本主義

「無限競争社会」って・・・ 韓国 行き過ぎた資本主義 「無限競争社会」の苦悩: (講談社現代新書) 作者:金 敬哲 Audible Amazon 韓国の人生ってこんなに大変なのか!? 幼児期からの受験勉強→大学に入ってもハードルが高い就職・結局は公務員→50代での定年な…

ゲームの王国 下 <Audible>

確かに傑作、ストーリーも哲学も重層的すぎて・・活字で読みたい。 ゲームの王国 下 作者:小川 哲 Audible Amazon Audibleに聴き入ってしまうおもしろさ。「記憶と人生」「歴史と人生」「人生というゲーム」いろんな切り口で読める。レトリックも巧み。上巻…

ゲームの王国 上 <Audible>

小説でこそ伝わる ポル・ポトのカンボジア ゲームの王国 上 作者:小川 哲 Audible Amazon 「地図と拳」で1月に直木賞を受賞した小川哲の作品からポル・ポト時代のカンボジアを舞台にしたSF(どこがSFなのかは読んでみなけれわからない)をAudibleで聴くこと…

残月記 <Audible>

独特の魅惑される文体・・筆力に感服 残月記 作者:小田 雅久仁 Audible Amazon 月をモチーフの幻想物語3編。 「そして月がふりかえる」・・・不穏な気分にさせる幻想奇譚のままのほうが良かった。幻想小説としての筆力は十分にあるので、カフカ的あるいは内…

隠居すごろく Audible

人生には終わりはあっても 上がりはない 隠居すごろく 作者:西條 奈加 Audible Amazon Audibleで聴きました。あれっ、まるで自分のこと?! 隠居後の人生再発見の物語。実際「定年」を迎えてみるとのんびりしたいという気持ちもある一方で、平均余命の20年間…

プロジェクト・ヘイル・メアリー(下)

良い人すぎる、良い異星人すぎる でもそれでいい プロジェクト・ヘイル・メアリー 下 作者:アンディ・ウィアー,小野田 和子 Audible Amazon 猛暑の中、プロジェクト・ヘイル・メアリー(PHM)を聴き終えた。甘すぎるとも言える異星人との友情物語。主人公グ…

鹿の王 全4巻 Audible

都合のいい脆弱性問題・・・からのギブ・アップ [1巻] 鹿の王 1 作者:上橋 菜穂子 Audible Amazon 6月20日スタート。朝夕の徒歩通勤で聴く。地名や国名や名前がたくさん出てきてAudibleではつらい。アニメ化されているのでそちらのサイトを参考に。 6月28日…

イシューからはじめよ Audible

たまにはビジネス書も聴いてみたい イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 作者:安宅和人 英治出版 Amazon 1月に新しい職場にきて6か月、仕事のほとんどが日々発生するトラブルの問題解決であることがわかってきた。問題解決のプロとしてやり…

プロジェクト・ヘイル・メアリー(上)

アメリカSFから中国「三体」へのカウンター プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 作者:アンディ・ウィアー,小野田 和子 Audible Amazon Audibleで聴きました。 アストロファージに異星人、サイエンス好きにはたまらない。 エネルギーを質量に、質量をエネル…

湯布院奇行

いつか、どこかで読んだような 湯布院奇行 作者:燃え殻 Audible Amazon ウェブライター(?)としてだけでなく週刊誌にも連載エッセーを書いている「燃え殻」氏の短編をAudibleで聴いてみた。ナルシスティックで内向きな幻想小説といえばいいのだろうか。 泉…

吉原手引草

エンタメ小説かくあるべし 吉原手引草 作者:松井 今朝子 Audible Amazon 時代劇エンタメはAudibleにぴったりだとあらためて思う。この「吉原手引草」のように直木賞までとった作品は、エンタメであるというだけでなく時代考証がしっかりしているのでその勉強…

キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々

スマホ小説ならぬスマホ日記 品田遊 キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々 作者:品田 遊 Audible Amazon するどい切り口なのは観察眼の故か・・・しかし、気づきすぎる心労はありそうな。膝を打つ(=すごく共感・納得する)意見が多いのだがやはりそ…

ロング・グッドバイ

「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」 ロング・グッドバイ 作者:レイモンド・チャンドラー,村上 春樹 Audible Amazon 80%は、Audibleで聴きました。最後の100ページは本を読みました。 創作物の内容はともかく、村上春樹の文体は耳障りが良いだろうと…

正体

Audibleで聴きました・・・20時間 正体 作者:染井 為人 Audible Amazon 冤罪・・・小説のネタとしてはかなり古臭くなってきたが、それをどう料理するのかが作家の手腕。「決壊」はその点みごとだったが、まあそれと比べるのは酷というものか。 この「正体」…

クライマーズ・ハイ (Audible)

悲しい思い出 クライマーズ・ハイ 作者:横山 秀夫 Audible Amazon 1985年、医者にはなったけれど大学院生でもあった私は4月から初めての東京暮らしをしていた。生活費は病院の当直バイトで稼がなくてはならない身分だったのでお盆の時期は稼ぎ時で、8月12日…

2022年のAudibleまとめ

こういうレポートがAmazonから届いた。 私がAudibleを聴いていた時間は、年間15,490分=258時間1日あたり43分。これで月1500円がリーズナブルなのかどうかわからない。しかし、今はウォーキング時に必須なものになっているので、まんまとAmazonの戦略に乗っ…

破局 Audible

「内面のない男」の話 破局 作者:遠野 遥 Audible Amazon Audibleで聴きました。平成生まれの作家による初の芥川賞受賞という作品(2020)。 主人公・陽介は慶応の4年生でラグビー部で鍛え上げた肉体をもち、勉強もそこそこでき、同級生の彼女・麻衣子がいて…

かたちだけの愛 Audible

誰かを愛しているときの自分を愛せる(肯定できる)時 かたちだけの愛 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon 年末進行で読書時間が取れない中、移動時間は長くなりがちでAudibleへ。「決壊」があまりにつらい話なので一時中断して平野啓一郎の作品では少しは明る…

決壊(上)Audible

聴き続けたいけど、聴き続けたくない・・・ 決壊(上) 作者:平野 啓一郎 Audible Amazon Audibleで聴きました。上巻だけで15時間。かなり重い小説。主人公A(東大卒・国会図書館勤務)とその恋人や家族の物語と、主人公B(鳥取の中学3年生男子)の物語。二…

線は、僕を描く (Audible)

Audibleで聴きました。水墨画風味のラノベでした・・・残念。 線は、僕を描く 作者:砥上 裕將 Audible Amazon 三体三部作80時間の次のAudibleは水墨画青春記「線は、僕を描く」。聴き始めて知ったのだが、漫画化もされ、映画化もされ、映画はちょうど今、封…

三体III 死神永生 (Audible)

いよいよ三体ワールドの大団円 三体Ⅲ 死神永生 上 作者:劉 慈欣 早川書房 Amazon Audibleで聴きました。 というか、だんだん頭の中で想像することもできない世界観に・・・暗黒森林原理から、攻撃者はその恒星系の次元を下げられるという荒業で一気に世界が…

三体 II 黒暗森林

面壁者から猜疑連鎖 暗黒の森、そして宇宙に愛はあるか 三体 II 黒暗森林 下 作者:劉 慈欣,大森 望、立原透耶、上原かおり、泊 功[訳] Audible Amazon 三体シリーズ II 黒暗森林。Audibleで聴きました。上下で30時間と長丁場だが毎日のウォーキングと電車…

三体

超絶の科学リアリティで繰り広げられる、ディストピア的スペース・オペラ 三体 作者:劉 慈欣,立原 透耶[監修],大森 望,光吉 さくら,ワン チャイ[訳] Audible Amazon Audibleで聴きました(17時間31分)。2019年の発刊以来SF界を驚かし続ける中国版スペー…

世界2.0 メタバースの歩き方と創り方 (Audible)

この本に書かれているレベルであれば・・・メタバースってフェイクっぽい 世界2.0 メタバースの歩き方と創り方 作者:佐藤 航陽 Audible Amazon 著者がメタバース関係の事業やっているということで利益相反ありありで、勝手に盛り上がられてもリアリティがな…

文学部唯野教授(単行本+Audible)

Audibleで過去の記憶がよみがえり、最後は本を読む 文学部唯野教授 作者:筒井 康隆 Audible Amazon 聞き放題のAudibleでウォーキングしながら聴いていたら、文学理論の講義の部分が面白くなって書棚の本を取り出して読み返すことになった。 文学部唯野教授 (…

推し、燃ゆ(Audible)

東横キッズになっていくの? 推し、燃ゆ 作者:宇佐見 りん Audible Amazon アイドルファンの応援行動が先鋭化して「おっかけ」なんて呼ばれた時代もあったが、今はそれらを含めたトータルな言葉が「推し」。若い女性のライフスタイルの一部に「推し活動(推…

エネルギーをめぐる旅 (Audible)

エネルギーから見たサピエンス全史 エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来 作者:古舘恒介 英治出版 Amazon 「エネルギー」版のサピエンス全史。「エネルギー」を軸におくことで、リアリティが高まり、かつ知らなかった内容も多いので、サピエンス…

サピエンス全史(Audible)

Audibleで聴きました。全部聞くと24時間! サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福 作者:ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田 裕之 Audible Amazon 24時間かけて聴くのは時間のムダだったかな。活字であればある程度読み飛ばして、もう少しスピーディに行けた…

コンビニ人間(Audible)

結局、誰もが〇〇人間 コンビニ人間 作者:村田 沙耶香 Audible Amazon Audibleで聴きました。Amazon Audibleが定額聴き放題になったのでサブスクを再開。最初の一冊は2016年 第155回芥川賞作品「コンビニ人間」。大久保佳代子の朗読で3時間43分。ウォーキン…

幻夏

Audibleで聴きました・・「冤罪」への復讐譚 復讐部分が荒唐無稽すぎ 幻夏 作者:太田 愛 Audible Amazon 日本の死因究明制度を調べたことがあって、日本の警察・検察・裁判の暗部というか、冤罪作りやすい体質は重々感じていて、その部分は、わりとよく書け…