小説でこそ伝わる ポル・ポトのカンボジア
「地図と拳」で1月に直木賞を受賞した小川哲の作品からポル・ポト時代のカンボジアを舞台にしたSF(どこがSFなのかは読んでみなけれわからない)をAudibleで聴くことに。聴くだけではカンボジア人の名前が覚えにくい・・・
上巻終了。とにかく悲惨なポル・ポト時代のカンボジアの自国民大虐殺。映画「キリング・フィールド」などでその悲惨だったことはわかっていたが、なぜそんなことになったのか、そのメカニズムはよくわからず、ポル・ポト自身がヒトラーのような悪魔的な人物だったのだろうと思っていた。
ところが、この本はそうでないことを教えてくれる。クメール・ルージュの上層部は現場を見ずに夢物語ばかり押し付ける。現場は上が怖いので良い報告ばかりする。そんな日本の組織でもよくあるような事の積み重ねの上にあの虐殺がおこった。ポル・ポトという、浅薄で先見の明が無くて自己中という日本にも山ほどいるような、平凡な悪人がなにかの拍子に権力を手にしたために起こった悲劇。
上巻のラストではまだまだ虐殺進行中だが、どうやってこれがSFになっていくのか?見当もつかないまま下巻へ!