Audibleで聴きました・・「冤罪」への復讐譚 復讐部分が荒唐無稽すぎ
日本の死因究明制度を調べたことがあって、日本の警察・検察・裁判の暗部というか、冤罪作りやすい体質は重々感じていて、その部分は、わりとよく書けている。
警察や検察ってそういうもんだよね、という認識に基づいて法規制でそれをどうにかしようというアメリカのやり方(もちろんBLM見ても、うまくいっているわけではないが)は例えば、ボッシュ・シリーズでも度々出てくる、捜査に違法な部分があるだけで真犯人を有罪にできなくなるなど(O・J・シンプソン事件など)、かなり厳しい。本書中にたびたびでてきた「一人の無辜の者を有罪にしないために、十人の有罪者を無罪にしてもかまわない」というのが垣間見えるのがアメリカ。
それと対照的な日本の警察・検察は、まあ戦前と変わらないし、国民性もそれを受け入れているのかも・・・というようなことも描かれてはいる。
しかし、復讐譚がかなり荒唐無稽なので日本の冤罪体質そのものもまた作者の荒唐無稽な創作ではないかと思われるのではないだろうか。冤罪→報復をもっとリアリティをもって描いてほしかった。15時間かけて聴いているので・・ちょっと悲しい。