El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

正体

Audibleで聴きました・・・20時間

正体

正体

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冤罪・・・小説のネタとしてはかなり古臭くなってきたが、それをどう料理するのかが作家の手腕。「決壊」はその点みごとだったが、まあそれと比べるのは酷というものか。

この「正体」では、冤罪で死刑判決を受けた青年の逃亡過程がロードムービー風に「オリンピックに向けての底辺労働者ドヤ街」「ネットライター」「ネットさらしとスノボ旅館」「新興宗教と特殊詐欺」「認知症と介護施設」と場所とテーマを替えながら延々と続く。まあ、エンタメと思えばそれもしかたないか。このレベルの方がAudibleで聴くには適しているかも。後に何かが残るわけではないが・・・。