El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

文学部唯野教授(単行本+Audible)

Audibleで過去の記憶がよみがえり、最後は本を読む

聞き放題のAudibleでウォーキングしながら聴いていたら、文学理論の講義の部分が面白くなって書棚の本を取り出して読み返すことになった。

大学文学部ってこんなところ、というスラプスティックなパロディをベースに唯野教授が毎週非常勤講師として他大学で行う文学理論のかなり真面目な講義を組み合わせて、笑いながら文学理論を学べるというしかけ。

1990年の出版なので32年前。意外に色あせていない。唯野は講義の最後にこの先確立したい文学理論として「虚構理論」と言っているが2018年に刊行されたKAWADE夢ムック「文藝別冊 総特集 筒井康隆」に「文学部唯野教授の虚構理論」という講演が収録されている(理論そのものが明確化されているわけではない)。

 筒井康隆氏も米寿だ。作家も読者も歳をとる。昭和58年~60年に刊行された筒井康隆全集全24巻を電子化して持っているのだが、次に読む日が来るのは・・・