El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

三体 II 黒暗森林

面壁者から猜疑連鎖 暗黒の森、そして宇宙に愛はあるか

三体シリーズ II 黒暗森林。Audibleで聴きました。上下で30時間と長丁場だが毎日のウォーキングと電車、そして後半はあまりに面白くて結末に向かって一気に聴いてしまった。

ネタバレにならないように書くと未読の人にはわけわからない感じかも・・

前半は数百年後の三体人の地球襲来にそなえて、地球人の特性である「嘘をついたり、真実をいわずにだんまりを決め込んだり(三体人のコミュニケーション手段では、思考が共有されるためそれができない)する」ことを利用した面壁者作戦が発動。選ばれた面壁者の作戦と挫折の物語が延々と続きやや退屈。主人公ともいうべき、ルオ・ジーの架空の恋が現実化するなどロマンス要素もあり。200年の冬眠でいよいよ、三体文明からの探査機(「水滴」)が地球に近づく時代に突入。

そこから地球側の宇宙艦隊がほぼ全滅する圧巻のシーンを越えて、残った数隻の相互反応によるつぶし合いから「猜疑連鎖」というコンセプトが提示される。「猜疑連鎖」という視点で見ると宇宙は「暗黒の森」であること、そして「宇宙が暗黒の森」であることを逆手にとっての最後の逆転劇。愛がある文明だったから・・・と大団円。

満喫しました。さすが中国!「三国志」や「水滸伝」の国ですよ。