El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

吉原手引草

エンタメ小説かくあるべし

時代劇エンタメはAudibleにぴったりだとあらためて思う。この「吉原手引草」のように直木賞までとった作品は、エンタメであるというだけでなく時代考証がしっかりしているのでその勉強にもなる。いわゆる雑学教養も見につく。というわけで一冊聴き終わるころには江戸の吉原についてかなり詳しくなっている。著者の松井今朝子さんは歌舞伎解説などでテレビでもおみかけする、江戸文化のプロといえばプロなのでさもありなんではあります。

小説の形式は芥川龍之介「藪の中」+アガサ・クリスティ「オリエント急行殺人事件」といったところ。推理物でもありネタバレはよそう。

朝夕、徒歩通勤のお供には時代劇エンタメ小説がいいなあ、としみじみ思う。