El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

古寺行こう(31)三井寺 石山寺 行ってみた

淡海の海 夕浪千鳥 汝が鳴けば 心もしぬに 古へおもほゆ 柿本人麻呂

冬になって中止していた「古寺行こう」企画を再開、年間に「古寺行こう」10冊分は出かけてみたいのだが・・・ポスト・コロナで古寺の観光客も激増してきたことを考えると、特に京都など出かけるのがおっくうになってしまうという要素もある。どうなることか。

今回は滋賀県。大津でジャズ・ボーカリスト情家みえ(じょうけ・みえ)さんのライブがあったので推し活参加。ついでに古寺に。京都・大阪・神戸が都市圏となった現在は奈良・和歌山・滋賀・三重は関西周辺部のようにも思えるが、いずこも日本史上では大きな役割をになった時期もあり、その歴史の遺構としての寺社は多い。

三井寺は比叡山延暦寺と近いがゆえに仲が悪いの典型で延暦寺と三井寺の対立関係が院政時代や源平時代の日本を動かしたこともある。石山寺は紫式部がこもって源氏物語の一部を執筆していたという話もあり、来年の大河ドラマに向けて少しだけ盛り上がっていた。

京阪電車で行ったり来たりしながら、あまり人出の多くない滋賀県の寺を巡るのはなかなかいいものだ。そういえば白洲正子氏に「近江山河抄」という紀行本があり読みかけであったことに気づく。

文字通り石の山の上に建つ石山寺