El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2020-01-01から1年間の記事一覧

シリーズ中国の歴史 ① 中華の成立 唐代まで

行政改革メインでたどる中原の中国史 中華の成立: 唐代まで (岩波新書) 作者:信一郎, 渡辺 発売日: 2019/11/21 メディア: 新書 4千年前の黄河中流域農耕社会の成立から8世紀半ば唐帝国の崩壊の始まり(=安史の乱)まで3千年のいわゆる中原の歴史。ただし、…

牧水の恋

宮崎県人のテゲテゲ感 牧水の恋 作者:万智, 俵 発売日: 2018/08/29 メディア: 単行本 牧水は郷土の歌人であり高校の先輩。酒で43歳で死ぬのだが、なぜそこまで飲んべだったのか?県民性と言われるとつらい。その原因に「かなわぬ恋」を据えてみたのが俵万智…

レコード・コレクターズ 2020年6月号

「松原みき」の頃を想う レコード・コレクターズ 2020年 6月号 発売日: 2020/05/15 メディア: 雑誌 大学の学園祭で「松原みき」とデビューしたばかりの「松田聖子」に出会った頃、それがわたしの70年代の終わり。つい懐かしくて音楽雑誌に70年代特集があると…

私の本棚(9)還暦医師も他人事でない認知症を巡る3冊

還暦すぎのドクターに薦めたい―「記憶と認知症」をめぐる本 本連載は、還暦すぎの元外科医ホンタナが良質な「一般人向けの医学もの書籍」を読むことで、医学・医療の今にキャッチ・アップしていきたい、そしてそれを同世代の医師と共有したい!という思いか…

ブックガイド(71)働き方改革の前に知りたい

――働き方改革の前に知りたい―― 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書) 作者:小熊英二 発売日: 2019/07/17 メディア: Kindle版 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプ…

これからはソファーに寝ころんで

「まえがきにかえて」がすごくいい! これからはソファーに寝ころんで 作者:岡崎武志 発売日: 2019/05/30 メディア: 単行本 「これからはソファーに寝ころんで」というタイトルとカバー絵から62歳のたゆたう読書と音楽の生活が私小説風につづられるのかと思…

生命はデジタルでできている

分子生物学をデジタルの眼でみれば 生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像 (ブルーバックス) 作者:田口善弘 発売日: 2020/05/20 メディア: Kindle版 遺伝情報の保存庫DNAから特定のRNAが読みだされる。RNAの核酸3文字からなるコードをアミノ…

患者になった名医たちの選択

玉石混交・・・ 患者になった名医たちの選択 (朝日新書) 作者:塚崎 朝子 発売日: 2020/03/13 メディア: Kindle版 2020年5月29日 興味深いのはLGBTの松永先生とアルコール依存症の河本先生。こういう主観の部分が大きい状態は、その病気(?)を自分事として…

日本社会のしくみ

日本の雇用慣行形成史としてわかりやすい。 日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書) 作者:小熊 英二 発売日: 2019/07/17 メディア: 新書 2020年5月27日 日本の働き方、外国(アメリカ・ドイツ)の働き方の違いから説きはじめ明治維…

ドクター・ホンタナの薬剤師の本棚(2)

免疫学が好き!苦手が得意になる3冊 薬剤師のみなさん、こんにちは!ドクター・ホンタナ(Fontana)です。薬剤師が読んで楽しめ、なおかつ仕事にも役立つ、そんな本を紹介するコラムの第2回は題して「免疫学が好き!」。私にとっても苦手分野だった免疫学を…

ブックガイド(70)アビガンはここにきく

――アビガンはここにきく―― カラー図解 分子レベルで見た薬の働き なぜ効くのか? どのように病気を治すのか? (ブルーバックス) 作者:平山 令明 発売日: 2020/02/13 メディア: 新書 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲット…

私の本棚(8)コロナ禍の今読みたいウイルス本

還暦すぎのドクターが薦める医学読み物3選 さあ次のテーマに取り掛かろうというところで、ちょうど新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)のパンデミックが発生し、7都府県(2020年4月10日時点)に緊急事態宣言が発令されました。私の住まいは宣言地域…

陸奥宗光-「日本外交の祖」の生涯

ショック・ドクトリンの人、陸奥宗光 陸奥宗光-「日本外交の祖」の生涯 (中公新書) 作者:佐々木 雄一 発売日: 2018/10/19 メディア: 新書 小説とはちがい脚色なく事実を書いているため波乱万丈の面白さはないけれど、外交ヒーローとしてではなく職業としての…

ブックガイド(69)Stay Homeでウイルス・パニック小説

――Stay Homeでウイルス・パニック小説を―― 夏の災厄 (角川文庫) 作者:篠田 節子 発売日: 2015/02/25 メディア: 文庫 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、新年度で…

ジャズ批評 2020年 03 月号

サブスク・リスナーの友。 Stay Homeを快適に! ジャズ批評 2020年 03 月号 [雑誌] 発売日: 2020/02/25 メディア: 雑誌 ここ数年3月号は買うようにしている。とにかくたくさんのタイトルが挙げられているので順にAmazon Music HDで検索しては聴いてみる。か…

おしゃべりな糖

まさに、甘いだけが糖(鎖)じゃない! おしゃべりな糖 (岩波科学ライブラリー) 作者:笠井 献一 発売日: 2019/12/07 メディア: 単行本 「糖鎖(とうさ)」。グルコースのような糖がくさり状につながったもののこと。この糖鎖、例えば血液型は赤血球の膜に存…

夏の災厄

Stay Homeにウイルス・パニック小説を 夏の災厄 (角川文庫) 作者:篠田 節子 発売日: 2015/02/25 メディア: 文庫 場所の設定は西多摩のあたり、夜間救急診療所や保健所が最初の舞台になります。医療者と保健所のお役所仕事のせめぎあいなど冒頭からCOVID-19の…

ブックガイド(68)認知症への思いの男女差

――認知症への思いの男女差―― ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言 作者:長谷川 和夫,猪熊 律子 発売日: 2019/12/27 メディア: 単行本 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知…

ドクター・ホンタナの薬剤師の本棚(1)

https://pharmacist.m3.com/column/fontana/1419 薬剤師の現在地を知る3冊 薬剤師のみなさんこんにちは!ドクター・ホンタナ(Fontana)です。外科医として30年以上を過ごし、数年前に一線を退きました。根っからの本好きで臨床を離れたいまも一般書、専門書…

私の本棚(7)神の手に赤ひげ…時代を駆けた医師人生

還暦すぎのドクターが薦める医学読み物3選 本連載は、還暦すぎの元外科医ホンタナが良質な「一般人向けの医学もの書籍」を読むことで、医学・医療の今にキャッチ・アップしていきたい、そしてそれを同世代の医師と共有したい!という思いから始めたブックレ…

ブックガイド(67)熱量あふれる医師人生

――熱量あふれる医師人生―― ゴッドドクター 徳田虎雄 (小学館文庫) 作者:淳一郎, 山岡 発売日: 2020/01/07 メディア: 文庫 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、新…

大災厄の後に大発展あり(引用)

(ちょっといい話なので、そのまま引用) https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71191?page=5 新型コロナ感染症も、亡くなられた方々や大きな影響を受けている方々にはお悔やみとお見舞いを申し上げるほかないが、より巨視的に見れば、この感染騒ぎを乗り越…

アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり

「薬剤師っていらなくない?」で始まる薬剤師マンガ アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり コミック 1-4巻セット 作者:荒井ママレ,富野浩充 発売日: 2020/04/20 メディア: コミック 2020年4月から石原さとみさん主演でドラマ化されます(の予定がCOVID-…

ボクはやっと認知症のことがわかった

結局、認知症は老化の一形態であり疾病化するべきではなかった、ということなんじゃないのかな ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言 作者:長谷川 和夫,猪熊 律子 発売日: 2019/12/27 メディア: 単行本 …

スマホ依存から脳を守る

「子どものスマホ依存」から脳を守る スマホ依存から脳を守る (朝日新書) 作者:中山 秀紀 発売日: 2020/02/13 メディア: Kindle版 スマホ依存は子供よりも大人のほうが問題じゃないのかなあ。あれだけ時間費やしてSNSやってたら人間としての成長や生産性はだ…

新型インフルエンザ―世界がふるえる日

山本太郎先生(れいわ新撰組とは無関係)の感染症三部作は読んでおくべき 新型インフルエンザ 世界がふるえる日 (岩波新書) 作者:山本 太郎 発売日: 2015/01/22 メディア: Kindle版 2006年発刊の本でインフルエンザがメインのように見えるが感染症すべてに共…

アメリカ合衆国史③ 20世紀アメリカの夢

あくまでもアメリカ内政史 20世紀アメリカの夢: 世紀転換期から1970年代 (岩波新書) 作者:耕太郎, 中野 発売日: 2019/10/19 メディア: 新書 遅れてきた移民や黒人、女性が社会の構成員として認められ内部的に成熟していく過程がよくわかる。内政に詳しい一方…

ブックガイド(66)パンデミックで年度末

――パンデミックで年度末―― 感染症と文明――共生への道 (岩波新書) 作者:山本 太郎 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、査定歴2…

感染症と文明――共生への道

ウイルスとの共生、いまこそ目指せ 感染症と文明――共生への道 (岩波新書) 作者:山本 太郎 発売日: 2011/06/22 メディア: 新書 2011年ですから10年近く前、SARS騒ぎのあと震災の頃に出た本ですが今回のCOVID-19にも通じるところ多く読み直してみました。 この…

アダルト・ピアノ

中高年こそピアノを趣味に アダルト・ピアノ―おじさん、ジャズにいどむ (PHP新書) 作者:章一, 井上 メディア: 新書 もちろん井上先生のように40くらいで始めるのもいいが、定年後に始めたという人も最近よくきく。カシオやヤマハの電気ピアノ(+ヘッドフォン…