El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2020-01-01から1年間の記事一覧

生物はウイルスが進化させた

読みづらい 生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像 (ブルーバックス) 作者:武村政春 発売日: 2017/04/28 メディア: Kindle版 細胞核がウイルス由来である可能性や、ウイルスによる細胞間における遺伝子の水平移動が進化に関わっている…

ドクター・ホンタナの薬剤師の本棚(5)

薬剤師のみなさん、こんにちは!ドクター・ホンタナ(Fontana)です。「薬剤師が読んで楽しめ仕事にも役立つ」そんな本を紹介するコラムの第5回、テーマは「抗生物質」。人類がペニシリン、ストレプトマイシンを発見し、そのおかげで細菌感染症を制圧できる…

ブックガイド(76)――脱「おじさん」社会――

――脱「おじさん」社会―― 持続可能な魂の利用 作者:松田青子 発売日: 2020/05/20 メディア: Kindle版 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、査定歴23年の自称査定職…

私の本棚 (11)「士業の浮沈」医師の働き方を占う3冊

還暦すぎのドクターに薦めたい医業の今、そして未来を考えるための3冊 本連載は、還暦すぎの元外科医ホンタナが良質な「一般人向けの医学関連書籍」を読むことで、医学・医療の今にキャッチ・アップしていきたい、そしてそれを同世代の医師と共有したい!と…

持続可能な魂の利用

「おじさん」も読んで学びたい 持続可能な魂の利用 作者:松田青子 発売日: 2020/05/20 メディア: Kindle版 この国から「おじさん」が消える・・・という帯にどっきり。おじさん、いやじいさん(?)が読んでみた。 女性の目からみて自分も含めて「おじさん」…

ブックガイド(75)―回帰する精神医療・こころ→脳→こころ―

―回帰する精神医療・こころ→脳→こころ― オープンダイアローグがひらく精神医療 作者:斎藤 環 発売日: 2019/07/09 メディア: 単行本 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしてい…

シン・ゴジラ (Amazon Prime)

シン・コロナ シン・ゴジラ 発売日: 2017/03/22 メディア: Prime Video シン・ゴジラ的世界を新型コロナ・ウイルスが作り出した。いったん収まったように見えても変異してパワーアップで第2波、第3波・・・。硬直した政治、危機意識が低い民衆。ライフ・ウイ…

シリーズ中国の歴史 ② 江南の発展: 南宋まで

「中国人らしさとは何か」にまで踏み込んだ歴史書!蒙を開く一冊。 江南の発展: 南宋まで (岩波新書) 作者:充拓, 丸橋 発売日: 2020/01/23 メディア: 新書 広大な国土のため統一王朝になればなるほど緩やかにしか統治できないし、武断では統治できない。最初…

嘘と孤独とテクノロジー 知の巨人に聞く

ボストンの知識人村で暮らすということ 嘘と孤独とテクノロジー 知の巨人に聞く (インターナショナル新書) 作者:吉成 真由美 発売日: 2020/04/07 メディア: 新書 インタビュアー・吉成真由美・・ノーベル賞受賞の利根川進氏の妻。65歳。ハーバードやMIT系の…

或る少女の死まで

金沢で読み犀川を渡る 或る少女の死まで 他二篇 (岩波文庫) 作者:犀星, 室生 発売日: 2003/11/14 メディア: 文庫 金沢の文学館を巡る旅の途上で読む。奥付には2004年に読んだと自分で書いているが全く記憶にない。往路のサンダーバードで泉鏡花「春昼・春昼…

春昼・春昼後刻

眼に見えない、語られない そこが鏡花 春昼(しゅんちゅう);春昼後刻(しゅんちゅうごこく) (岩波文庫) 作者:泉 鏡花 発売日: 1987/04/16 メディア: 文庫 能登、和倉温泉への旅の途上、特急サンダーバードの車上にて読む。こうしたたゆとうとした時間で読むの…

世界哲学史 (3)

神がもたらした超越と普遍 世界哲学史3 ──中世I 超越と普遍に向けて (ちくま新書) 作者:伊藤邦武,山内志朗,中島隆博,納富信留 発売日: 2020/03/20 メディア: Kindle版 哲学のシロウトが第3巻まで読んで思うのは、「歴史の裏側に哲学あり」ということ。歴史…

ブックガイド(74)情報学の眼で生命を見る

――情報学の眼で生命を見る―― 生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像 (ブルーバックス) 作者:田口善弘 発売日: 2020/05/20 メディア: Kindle版 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコン…

ドクター・ホンタナの薬剤師の本棚(4)

薬剤師のみなさん、こんにちは!ドクター・ホンタナ(Fontana)です。薬剤師が読んで楽しめ、なおかつ仕事にも役立つ、そんな本を紹介するコラムの第四回。今回のテーマは「日本の創薬」。次々と現れる新薬、その中には世の中をかえてしまうようなものもあり…

ガンより怖い薬剤耐性菌

浅く盛り込みすぎ ガンより怖い薬剤耐性菌 (集英社新書) 作者:三瀬 勝利,山内 一也 集英社 Amazon タイトルの薬剤耐性菌の話は半分弱。あとは腸内細菌の攪乱あたりは抗菌薬とつながるが、後半は単なる感染症ネタの羅列になっている。80代(?)と思われる著…

世界哲学史(2)

難解でも読み続けることで見えてくるものがありそう 世界哲学史2 (ちくま新書) 発売日: 2020/02/06 メディア: 新書 シロウトにとっては難しい、あるいは、なんでそこまで議論するのかよくわからないレベルの話が多い。もはや「わからなくても読み続ける」こ…

小田嶋隆 ザ、コラム

好きだけど、やがてさみしきコラム道。 ザ、コラム 作者:小田嶋隆 発売日: 2016/10/25 メディア: 単行本(ソフトカバー) その成り立ちからして結局は使い古されていくのかコラム。アル中みたいな永続的テーマのコラムはいつまでたってもリアリティがあるが…

もうダメかも――死ぬ確率の統計学

日本では通用しない話が多すぎる もうダメかも――死ぬ確率の統計学 作者:マイケル・ブラストランド,デイヴィッド・シュピーゲルハルター 発売日: 2020/05/15 メディア: Kindle版 人間の一生をとりまくリスクを「統計という数字」と「リアルな出来事」という2…

私の本棚 (10)コロナ禍の今こそエイズ史を振り返る3冊

還暦すぎのドクターに薦めたい―「エイズ・ドキュメンタリー」3冊 本連載は、還暦すぎの元外科医ホンタナが良質な「一般人向けの医学もの書籍」を読むことで、医学・医療の今にキャッチ・アップしていきたい、そしてそれを同世代の医師と共有したい!という思…

小田嶋隆のコラム道

「ヒラメキ」は自前で! 小田嶋隆のコラム道 作者:小田嶋 隆 発売日: 2012/05/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「わが心はICにあらず」の頃、雑誌で読んでいた小田嶋隆氏、いつの間にかコラム名人になっていた。名人指南のコラム道はさすがに面白い。「…

ブックガイド(73)世界を席巻する反ワクチン運動!

――世界を席巻する反ワクチン運動!―― 反ワクチン運動の真実: 死に至る選択 作者:ポール オフィット 発売日: 2018/05/08 メディア: 単行本 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイド…

世界哲学史 (1)

我もまたミリンダ! 一周回って、諸行無常? 世界哲学史1 ──古代I 知恵から愛知へ (ちくま新書) 作者:伊藤邦武,山内志朗,中島隆博,納富信留 発売日: 2020/01/17 メディア: Kindle版 いい歳になってきたのでじっくり学んでみようかとこのシリーズに挑戦。 …

大阪弁ブンガク論

自意識過剰の大阪弁 K氏の大阪弁ブンガク論 作者:江弘毅 発売日: 2018/06/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) ことさらに大阪弁、大阪弁て言わんでも、取り上げた小説は素直に読めば素直におもしろい。大阪弁に自意識過剰になって、なんだか不自然で、自分…

時間とテクノロジー

「まとめサイト」のような本。 時間とテクノロジー 作者:佐々木俊尚 発売日: 2019/12/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) 巻末にたくさんの参考文献・資料が挙げられているが、それらの「おまとめ」をつないだ本。What's New? と言ってるうちに終わってし…

ドクター・ホンタナの薬剤師の本棚(3)

薬剤師のみなさん、こんにちは!ドクター・ホンタナ(Fontana)です。「薬剤師が読んで楽しめ仕事にも役立つ」そんな本を紹介するコラムの第3回は「こころの薬とDSM」。精神医療は平成年間に大きく変わり、処方される薬も様変わりしました。パニック障害・発…

リスクの正体

一編が4ページでは何が言いたいのか伝わらない リスクの正体――不安の時代を生き抜くために (岩波新書) 作者:神里 達博 発売日: 2020/06/20 メディア: 単行本 はしがきが8ページあり、ここを読んだときには期待があった。COVID-19や地震をからめて重厚なリス…

世界史の針が巻き戻るとき

「世界は存在しない」というのは日本では自明の理・・・と明記あり 世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか (PHP新書) 作者:マルクス・ガブリエル 発売日: 2020/02/15 メディア: Kindle版 「なぜ世界は存在しないのか」のエッセン…

ブックガイド(72)甘いだけが糖(鎖)じゃない!

――甘いだけが糖(鎖)じゃない!―― おしゃべりな糖 (岩波科学ライブラリー) 作者:笠井 献一 発売日: 2019/12/07 メディア: 単行本 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしてお…

なぜなぜ世界は存在しないのか

日本人には・・当たり前なのでピンとこない? なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ) 作者:マルクス・ガブリエル 発売日: 2018/01/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 一神教世界に育ち、カントやヘーゲル、ポストモダンと学んだであろう著者が到達…

それでも読書はやめられない

この本の影には、それなりの努力が見える それでも読書はやめられない: 本読みの極意は「守・破・離」にあり (NHK出版新書) 作者:浩爾, 勢古 発売日: 2020/03/10 メディア: 単行本 特定のジャンルの本を読んでは、バッサバッサと切り捨てる(一部賞賛もあり…