El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

変容

「変容」している自分に気づく2度目の「変容」 変容 (岩波文庫) 作者:整, 伊藤 岩波書店 Amazon 短期間ながら北海道(富良野・札幌)を旅行中。移動時間(札幌ー富良野は2時間以上かかる)を利用して北海道出身の作家の作品を読もうということで伊藤整(い…

訃報 小田嶋隆氏 逝く

同い年、65歳のコラムニスト、小田嶋隆氏が亡くなった。「わが心はICにあらず」は昔々月刊ASCIIに連載されていたのではなかったか。80年代、30歳前後から何かと文章を目にしてきたので、同時代人という感覚。まあ、歳が同じなのであたりまえだが。 下記の日…

遺伝子とは何か?

地味なタイトルだが、けっこう新しい! 遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎 (ブルーバックス) 作者:中屋敷均 講談社 Amazon もちろん「遺伝子とはDNAです」なんて単純な話ではない。歴史的な発見の経緯からDNAがあって必要に応じてmRNAが作られmRNAか…

古寺行こう(2)東寺 行ってみた

やはり「古寺行こう」は必携! 隔週刊 古寺行こう(2) 東寺 2022年 3/29 号 [雑誌] 小学館 Amazon 梅雨のさなか、ギリギリ降らない程度で涼しい。「古寺行こう」Vol.2だった東寺に行ってみた。少しずつ人出が増えているがまだまだ大丈夫。 東寺といえば五重塔…

ブックガイド(101)―コロナワクチン・光速の開発力―

アンダーライティングのためのブックガイド(101) 再開しました mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来 作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン 早川書房 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知…

インターセックス

やや陳腐なサスペンス仕立てだが、性分化障害についての理解は深まる インターセックス (集英社文庫) 作者:帚木蓬生 集英社 Amazon 帚木蓬生は医学・医療がらみのサスペンスをいくつか書いているが「インターセックス」もその一つ。インターセックスとは「肉…

ネオウイルス学

ネオウイルス学とは ネオウイルス学 (集英社新書) 作者:岩見 真吾,大場 靖子,川口 寧,佐藤 佳,澤 洋文,鈴木 信弘,高橋 英樹,朝長 啓造,中川 草,長崎 慶三,西浦 博,野田 岳志,古瀬 祐気,堀江 真行,牧野 晶子,松浦 善治,松野 啓太,村田 和義,望月 智弘,渡辺 登…

双調平家物語(10) 平治の巻(承前)平家の巻

平治の乱の一カ月を描くのに300ページ!ちょっと執着しすぎ? 双調平家物語 (10) 平治の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 平治の乱は平治元年(1159年)12月に始まり、その年のうちにはほぼ決着がつき、翌平治2年(1160年)1月上旬には首謀者・藤…

65歳からの京都歩き

何気なく読んで、そうか京都にも通わなくては・・・と気づく 65歳からの京都歩き 作者:永江朗 京阪神Lマガジン Amazon ライター永江朗が京都にセカンドハウスを構え、東京ー京都、二重生活をしていることは知っていた。その永江がエッセイ風に書いた京都ガイ…

世界2.0 メタバースの歩き方と創り方 (Audible)

この本に書かれているレベルであれば・・・メタバースってフェイクっぽい 世界2.0 メタバースの歩き方と創り方 作者:佐藤 航陽 Audible Amazon 著者がメタバース関係の事業やっているということで利益相反ありありで、勝手に盛り上がられてもリアリティがな…

医師が死を語るとき 脳外科医マーシュの自省

患者の死・筆者の死・そして読者としての私の死を巡りながら味わう自伝的エッセイ 医師が死を語るとき――脳外科医マーシュの自省 作者:ヘンリー・マーシュ みすず書房 Amazon 「安楽死が認可されていない場合に私たちが迫られる選択は、すぐに悲惨な死を迎え…

現代思想入門

どんなに生きても満足できる人生はない ってことですね 現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon 人生が変わる哲学・・・うーん、こんなことを職業にしているのか哲学者。 やさしくわかりやすく書かれているので、デリダ、ドゥルーズ、フ…

双調平家物語(9) 平治の巻(承前)

300ページで三年間! 双調平家物語 (9) 平治の巻(承前) 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 保元元年(1156年)の保元の乱の終結後から平治元年(1159年)の平治の乱の勃発まで、わずか3年の間の出来事に一冊全部、300ページ超が費やされる。日本史の教科書で…