El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

杉本博司自伝 影老日記

絢爛たる成功者にも見えるが・・・ 杉本博司自伝 影老日記 作者:杉本 博司 新潮社 Amazon 写真をベースにした現代美術家ーそういうくくりでは捉えきれないほど多方面に活躍している杉本博司氏(現在75歳)の自伝、日経に30回にわたって連載した「私の履歴書…

湯布院奇行

いつか、どこかで読んだような 湯布院奇行 作者:燃え殻 Audible Amazon ウェブライター(?)としてだけでなく週刊誌にも連載エッセーを書いている「燃え殻」氏の短編をAudibleで聴いてみた。ナルシスティックで内向きな幻想小説といえばいいのだろうか。 泉…

古寺行こう(31)三井寺 石山寺 行ってみた

淡海の海 夕浪千鳥 汝が鳴けば 心もしぬに 古へおもほゆ 柿本人麻呂 隔週刊 古寺行こう (31) 三井寺・石山寺 2023年 5/23 号 小学館 Amazon 冬になって中止していた「古寺行こう」企画を再開、年間に「古寺行こう」10冊分は出かけてみたいのだが・・・ポスト…

吉原手引草

エンタメ小説かくあるべし 吉原手引草 作者:松井 今朝子 Audible Amazon 時代劇エンタメはAudibleにぴったりだとあらためて思う。この「吉原手引草」のように直木賞までとった作品は、エンタメであるというだけでなく時代考証がしっかりしているのでその勉強…

フォンターネ 山小屋の生活

山小屋暮らし。 フォンターネ 山小屋の生活 (新潮クレスト・ブックス) 作者:パオロ・コニェッティ 新潮社 Amazon 「帰れない山」のパオロ・コニエッティの山小屋エッセイ。このブログのタイトル「ファオンタナの本棚」に通じる「フォンターネ(村の名前)」…

もう一歩 写真が上手くなるコツ

「写真を撮る」ために撮るのではなく、「何かを伝える」ために撮る もう一歩写真が上手くなるコツ カメラは魔法の小箱です (玄光社MOOK) 作者:中井 精也 玄光社 Amazon NHKでおなじみの中井精也さん、なかなかの教え上手! 記録の写真や記念写真の延長ではな…

キッチンミノルの写真教室

男性趣味のABC キッチンミノルの写真教室 (単行本) 作者:キッチンミノル 筑摩書房 Amazon 高齢化してきて次第にスポーツもできなくなってくる男性にとって残るはインドア趣味のABC・・・A=Audio、B=Book、C=Cameraと勝手に想定している。Bookはこのブログ…

帰れない山

山の生活と下界の喧騒と・・・一方だけでは成立しない。 帰れない山 (新潮クレスト・ブックス) 作者:コニェッティ,パオロ 新潮社 Amazon イタリアとはいってもアルプスの南斜面あたりになるとガラリと雰囲気が変わる。トリノ、ミラノといった都会で仕事につ…

ブックガイド(112)ー 医療事故裁判のリアルー

https://uuw.tokyo/book-guide/ ー 医療事故裁判のリアルー 法医学者の使命 「人の死を生かす」ために (岩波新書 新赤版 1890) 作者:吉田 謙一 岩波書店 Amazon 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコ…

オーディオ小僧のいい音おかわり

オーディオの正解は・・・ オーディオ小僧のいい音おかわり ~アナログからSACD、ハイレゾまで、帰ってきたオーディオ小僧~ (CDジャーナルムック) 作者:牧野良幸 音楽出版社 Amazon 現在、自宅デスクで聴くことができる音源は聴いている時間の長い順に「サブ…

コリーニ事件

読みやすいのに深い、それがシーラッハ節 コリーニ事件 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon シーラッハはフォン・シーラッハという名が示すようにドイツ貴族の家柄。しかし、祖父はナチスドイツの大物(ナチ党全国…

「心の病」の脳科学

12の先端研究が「こころの病気」もなんらかの物理的異常に由来することを可視化する 「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか (ブルーバックス) 作者:林(高木)朗子,加藤忠史 講談社 Amazon 国内の12の先端研究を研究者自らが解説する形式な…

キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々

スマホ小説ならぬスマホ日記 品田遊 キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々 作者:品田 遊 Audible Amazon するどい切り口なのは観察眼の故か・・・しかし、気づきすぎる心労はありそうな。膝を打つ(=すごく共感・納得する)意見が多いのだがやはりそ…

禁忌 TABU

境界を行きつ戻りつする感覚 そして「プロフェッショナル」とは!? 禁忌 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon このところ集中して読んでいるシーラッハの作品の中で初めての長編を読む。 正義と悪、生と死、真実と…

罪悪

「犯罪」に続く、シーラッハの「罪悪」 罪悪 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon ちょっとブラックな事件・事件未満をシーラッハのシニカルな表現で楽しむ。弁護士のところに事件としてあらわれてくる前の段階の、…

オーディオ誌あれこれ・・

過去記事でレコードプレーヤーのことを書いて半年・・・ 誕生月ということで(?)、初めての本格的アナログ・ターンテーブル(=レコード・プレーヤー)を導入してみた。オーディオテクニカAT-LP7(上の写真)。なかなかいい。レコードってこんなにいい音だ…