El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

生命知能と人工知能

もうこの手の、脳科学や人工知能や意識についての本は読むべきではない

著者が研究者としてがんばってきたのはよくわかる。全体のまとめとしても悪くはない。こういう研究が何かの役に立つ日が来るのかもしれない。そこは認めたい。

しかし、しかしだ・・・この手の人工知能と実際の人間の知能や意識の問題を扱った本は、もう本当に似たり寄ったりで、夏休みに一日かけて読んだのに読み終わって徒労感が強い。もうこの手の本を買うのはやめよう。

結局、機械学習による人工知能が新しいコンピューター科学として結果を出したのは将棋や囲碁でよくわかった。本書に出てくるリザバー計算もかなり有効な気がする。

ただし、一老人の意見としては、生命知能や意識の問題にコンピューター科学を持ち込んであれこれ研究しても、成果が出る日は遠いと思う。巷に跋扈する「脳科学者」が実のあることを成し遂げたという話は聞いたことがない。こんなことに前途有望な理系の研究者を巻き込まないでくれ・・と思う。

ああ、しかし書棚にまだ「脳は世界をどう見ているのか」という本が未読のまま並んでいる・・・苦しい。