カバー絵のムンクのエッチングがいい
第4期(=後期分人主義)の先鞭をつけた短編集とのこと。全6編。
「透明な迷宮」・・異国の地で監禁され、見世物として「愛し合う」ことを強いられた男女は、帰国後、その記憶を「本当の愛」で上書きしようと懸命に求め合う。意外な結末は、双子の片割れを妻に持つ身としては複雑な感じ。
「Re:依田氏からの依頼」・・震災後の時間感覚のずれを土台に「時間間隔」を描き不思議な味わい。
「family affair」・・北九州でいかにもありそうな小事件を北九州弁(筑豊弁?)でユーモラスかつスリリングに。あの遊覧船から拳銃すてるのは難しそう。
他に「消えた蜜蜂」「ハワイに捜しに来た男」「火色の琥珀」、すべてちょっとアブな感覚で生きる主人公たち。