El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

日本の包茎 男の体の200年史

メディアのタイアップ記事の影響力! ネット時代にも要注意!

包茎治療は医師の数とパラレル。太平洋戦争末期の医師濫造で戦後に医師があふれた。その医師がかせぐためにあみ出したのが「仮性包茎の医療化」と「妊娠中絶の合法化」。

「仮性包茎の医療化」の手口は1980年代の男性誌にあふれた広告もだが、それより恐ろしいのは美容整形医から金銭の提供をうけて作られた「タイ・アップ記事」。今でいえば、バズらせたということ。

日本人の過半が仮性包茎であり、病気でもなんでもないのに、それをタイ・アップ記事が「治療が必要な病気」「恥ずかしいこと」に仕立て上げていった。

仮性包茎の医療化は急速に陳腐化していったが、タイアップ記事というメカニズムは、ネット時代では物品紹介系のYouTuberがやっていることと同じなので注意が必要。

日本の自由診療医療とはそもそもこのあたりが源泉なので、病気を疑ったり、病気になったりしたときに安易にググって自由診療に走るのはやはり危険。

包茎そのものより、そうした医療経済活動のメカニズムを学ぶ本。決して面白い本ではない。