わたしはわたしの奇譚を編みたい
杉本博司氏が小田原から真鶴にかけての海を見下ろす丘陵に広大な土地を買い、四半世紀をかけて彼の美的感覚や数寄趣味にマッチするさまざまのモノ(大は建築物から小は花入れまで)を配置していく過程を記録したもの。こうして好きなことにお金をかけられるのは幸せ。
しかし、方丈記や最近はやりの断捨離とは逆方向の生き方でもあり、断捨離系庶民はいささか嫉妬してしまって、「オレにはオレのワビサビの人生があるさ」と反応してしまいます。
まあ、人生をかけてやってきたこと、杉本氏にとっては芸術的生き方、を人生の暮れ方まで追求することの幸福感は伝わってきます。故に、そこの部分は教訓として、誰しも「オレはオレの奇譚を作ろう」と思うべきでしょうね。