El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

興亡の世界史 オスマン帝国500年の平和

民族自決ではない帝国があった

 (岩波新書の日本史シリーズがもう少しで読了するので講談社「興亡の世界史」をよんでいくことに)


新スルタンが決まると、スルタンの兄弟とその一族はみな殺される。内紛を防ぐためとはいえ、これはこれで苛烈な制度。そのためにスルタンがきまるまでがもめるという逆説。日本のように、兄弟と子供で王権が不安定になるのとどちらがいいのか。

割引の前払いで徴税権を購入して儲けながら地方のボスとなる、なんてのは日本の守護・地頭にも通じるのでは。

なんだかんだ言いながら、民族自決ではなく、民族を超えたルールで国が500年続いた、民族自決ではこうはならなかっただろう。20世紀になってバルカンや中東に民族自決ナショナリズムがおこったときオスマン帝国も崩壊していく。そして500年間に混住がすすんでいたバルカンと中東は現代にいたるまで折り合わない民族自決を持て余して紛争が続く。