El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉

日本史はここで終わり・・・ここから先は世界史の一部になっていくのかな

 近現代史シリーズの最終巻、2008年に発行されているので2001年の9・11あたりまでの出来事。3・11はまだ起こっていない。著者がわたしと同じ1957年生であり、かなり同時代意識をもって読めた。小1で東京オリンピック、中1で大阪万博、社会人1年目にディズニーランド開業と、高度成長時代の最後尾に滑り込んだ世代。

高度経済成長があまりにも「イイ」体験だったゆえに、そこから離れられなくなったのか、その後バブルの崩壊まで(いや・・いまでさえ?)(無意識のうちに)経済成長前提の経済政策になっていることがよくわかる。

また、次第に世界全体が政治から経済で動くようになり変化のスピードが増して、計画時点での前提が数年で壊れていくのに計画を修正できないで泥沼に・・ということを繰り返してきたということも。

一方で、混迷する政治と経済に翻弄される人々の暮らしぶりを、著者は社会学者らしく豊かさ・家族・地域生活・環境破壊などきっちりと記録していく。

1990年ころからは、冷戦の終結・グローバル経済・ネット社会という具合に世界自体が大変動していくので日本の近現代史としてまとめることはどだい無理になってきました。このあとの歴史はすでに単独の国の歴史ではありえないのかも。