El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

古寺行こう(5)薬師寺 行ってみた

唐招提寺とあわせ一本というところか 隔週刊 古寺行こう(5) 薬師寺 2022年 5/10 号 [雑誌] 小学館 Amazon 「古寺行こう」を手に、古寺に行ってみるシリーズ。今回は奈良は西ノ京「薬師寺」。いつもは修学旅行生でいっぱいな感じだが、コロナのせいで人がいな…

アルツハイマー征服

征服にはほど遠く、タイトルやカバー絵が。患者や家族に本書を買わせようというのが透けて見える。 アルツハイマー征服 作者:下山 進 KADOKAWA Amazon アルツハイマー病の治療薬開発の歴史を年代ごと研究者ごとに並べてくれている。前半はエーザイがドネペジ…

老後は要領 孤立しないで自立する

中身は相変わらずだが・・・一回は読んでおいても 老後は要領 孤立しないで自立する 作者:和田 秀樹 幻冬舎 Amazon 50歳、60歳、70歳、80歳年代ごとに似たような老後本を書きまくっている和田秀樹先生。一冊だけ立ち読みで読んでみることに。 基本は「働ける…

双調平家物語(8) 乱の巻(承前) 平治の巻

リアリスト藤原信西により歴史が加速 双調平家物語 8 乱の巻(承前) 平治の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 「双調平家物語」は途中で話が膨らんで、第五巻から始まった「保元の巻」だが、「保元の乱」が起こるのは第八巻。 自分の妻(待賢門院)と祖父…

模倣の罠 自由主義の没落

冷戦が終結して共産主義が自由主義に敗北。自由主義ワールドが世界的に広がっていくのか(いわゆる「歴史の終わり」)と思ったが、そうはならなかったのは、現在(いま)を生きる我々がもっとも切実に感じるところ。 一旦は自由主義に向かった中欧・東欧、さ…

文学部唯野教授(単行本+Audible)

Audibleで過去の記憶がよみがえり、最後は本を読む 文学部唯野教授 作者:筒井 康隆 Audible Amazon 聞き放題のAudibleでウォーキングしながら聴いていたら、文学理論の講義の部分が面白くなって書棚の本を取り出して読み返すことになった。 文学部唯野教授 (…

本の雑誌 2022年6月号 結句、西村賢太

西村賢太 追悼号。連載中に死去した西村賢太と坪内祐三について 本の雑誌468号2022年6月号 本の雑誌社 Amazon 西村賢太(1967年7月12日~2022年2月5日)2月の突然の訃報から3か月、本の雑誌6月号は「特集 結句、西村賢太」がほぼ100ページと追悼号。 西村賢太…

安部公房とわたし

時の流れがすべてを恩讐の彼方に 安部公房とわたし (講談社+α文庫) 作者:山口果林 講談社 Amazon ヤマザキマリさんの「壁とともに生きる わたしと『安部公房』」を読んだ流れで、2013年の出版されたころに読んだことのある山口果林「安部公房とわたし」を通…

壁とともに生きる わたしと「安部公房」

いま、安部公房を読み直したいと思えるか? 壁とともに生きる わたしと「安部公房」 (NHK出版新書) 作者:ヤマザキマリ NHK出版 Amazon テルマエ・ロマエのヤマザキマリさんによる安部公房のブックガイド。異色の組み合わせとも思えるが、世界を放浪してき…

双調平家物語(7) 乱の巻

平安末期の「おっさんずラブ」 双調平家物語〈7〉乱の巻 作者:橋本 治 中央公論新社 Amazon 上皇のいる院と帝のいる朝廷。力を持つのが院であるがゆえにルーズな人事が横行し、閑院流藤原氏や六条流藤原氏といった傍流の藤原氏が院の近臣として力を持つ。そ…

EXTRA LIFE なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか

もっと読まれていい、具体的な寿命延長史! EXTRA LIFE なぜ100年間で寿命が54年も延びたのか 作者:スティーブン・ジョンソン 朝日新聞出版 Amazon 寿命の延び(=ゼロ歳の平均余命の延び)は乳幼児死亡率の劇的減少(20%→1-2%)で起こった。20世紀の前半ま…