El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

日本の血脈

「女帝 小池百合子」を読む前に肩慣らしとして

BAD BLOOD(エリザベス・ホームズの詐欺事件)を読んで、日本のホームズは小池百合子?!ということから「女帝 小池百合子」を読む予定だが、本が届く前に同じ著者のこの本を読んでみた。かなりきっちりとした調査評伝を書くらしい石井妙子さんが文藝春秋に連載の10本の評伝。

小泉進次郎・香川照之・中島みゆき・堤康次郎・小沢一郎・谷垣禎一・オノヨーコ・小澤征爾・秋篠宮紀子妃・美智子皇后(現皇太后)

血脈というからにはそれなりに書きごたえのある親・祖父母・曽祖父母あたりまで調査できる人物ということでしょうね。やはり性格的に小池百合子のマイナー版という感じの小泉進次郎の血脈が面白いし、さもありなん。香川照之・オノヨーコも興味深い。2011年刊行と10年前の視点であるが、その後2016年に自転車事故で引退することになる谷垣さんはやはり影が薄い評伝。皇室のお二人も10年前とちがうご苦労もあり、無常。

香川照之の章から抜粋「芸のわかる観客がいなくなれば、自然と血脈や、分かりやすい親子物語が優先されていくのか。それは歌舞伎界に限られたことではなく、今の日本社会全体を覆う、ひとつの風潮、あるいは病理のように思える。」