習近平の中国を作り上げたもの
「シリーズ中国の歴史」最終巻は清から現代まで。このシリーズの前に時代は前後するが「シリーズ中国近現代史 全6巻」が出ているので、この巻では清の最盛期あたりまでの後はぐっと縮んでまさに今の習近平の中国に繋げている。というのも現代中国領は清の最大版図が基礎になっているから。
ヌルハチ、ホンタイジが建てた「清」。日本に置き換えて考えれば、アイヌが政権奪ったようなもの。なぜかこういう漢人以外の王朝のほうがうまくいくように思える。というよりは、王朝かわれど漢人社会はほとんど変わらないということか。いわゆる官と民がばらばらなのが今に続く中国の特徴。
「地方実地の実情に通じない中央が、くりかえし一方的に権力を行使し、画一的な政策を強行して、各地に多大な混乱と弊害を招いていた」・・・と、ここだけ読めばまるで毛沢東の時代だが、明代末期のこと。そこに満州族がきて、あまり地方実地に口出しせず漢人社会をうまくコントロール。康熙ー雍正ー乾隆とまともな皇帝が連続したこともあって支配領域も広がる。時代的には始まりも終わりも日本の江戸時代の50年ほど後、なので終わりは帝国主義の近代にかかってしまう。
帝国主義や日本の侵略への対抗が国としての統一感を作りあげ、内モンゴルやチベットも領土化され現在にいたる。中国=国の真ん中あたり程度の意味だったのが、広大な領土そのものが「中国」ということになってしまった。