El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

奴隷船の世界史

新書とは思えない重厚なしあがりに感服 奴隷船の世界史 (岩波新書) 作者:正博, 布留川 発売日: 2019/08/23 メディア: 新書 史実・データ・エピソード・引用・挿絵・著者の意見、すべてがうまく配合されて黒人奴隷史の知識を得るには一般人には必要十分の一冊…

進化のからくり

フィールドワークと予算 進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語 (ブルーバックス) 作者:千葉聡 発売日: 2020/02/13 メディア: Kindle版 NHKの特番「東京ロストワールド 秘島探検の全記録」で千葉先生の活躍ぶり(かなりきつそうでしたが・・)を拝見し…

怪帝ナポレオン三世

パリの今がある 怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史 (講談社学術文庫) 作者:鹿島 茂 発売日: 2010/10/13 メディア: 文庫 普通選挙こそが独裁者を生む、というポピュリズムの原型ここにあり。クーデターは義弟モルニー、経済面はエミール・ペレール、都市開発は…

ゴッドドクター 徳田虎雄

比類なき医療群像劇 ゴッドドクター 徳田虎雄 (小学館文庫) 作者:淳一郎, 山岡 発売日: 2020/01/07 メディア: 文庫 徳田虎雄、徳田ファミリー、徳洲会ー栄枯盛衰のドラマの源泉は徳田の異様なパワーによるものだと思っていた。しかし、本書を読めばそれは徳…

アメリカ合衆国史② 南北戦争の時代

米国史の分水嶺、そして矛盾の大国 南北戦争の時代 19世紀 (岩波新書) 作者:嘉之, 貴堂 発売日: 2019/07/20 メディア: 新書 建国以来の歴史が南北戦争に流れ込み、現代に通じるアメリカ史のすべてが南北戦争から流れ出る・・というほど大きく変わった。北部…

ブックガイド(64)コロナウイルス騒ぎの中で

――コロナウイルス騒ぎの中で―― 「感染症パニック」を防げ!~リスク・コミュニケーション入門~ (光文社新書) 作者:岩田 健太郎 発売日: 2014/12/12 メディア: Kindle版 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。…

科学出版の彼我の差 UP2019年6月号

東京大学出版会の広報紙「UP」の2019年6月号に「科学出版の彼我の差」(塚谷裕一) が掲載されていました。これは、塚谷氏が讀賣新聞の書評欄を担当する読書委員を二年間経験して論じたもの。 日本の科学啓蒙書は欧米のそれとくらべて 内容の重複が多い 逆に…

アメリカ合衆国史① 植民地から建国へ

世界システム論ー大西洋史をベースにしたところが新しい 植民地から建国へ 19世紀初頭まで (岩波新書) 作者:光弘, 和田 発売日: 2019/04/20 メディア: 新書 川北稔先生の直弟子である和田光弘さんが著者であり、お得意の世界システム論をベースにしてアメリ…

「感染症パニック」を防げ!

COVID-19騒ぎで読んでみた。あれもこれも過ぎて逆に感染症リスク・コミュニケーションが伝わりにくい 「感染症パニック」を防げ!~リスク・コミュニケーション入門~ (光文社新書) 作者:岩田 健太郎 発売日: 2014/12/12 メディア: Kindle版 感染症のプロら…

Review (予定): メディア・バイアスの正体を明かす

メディア・バイアスの正体を明かす (エネルギーフォーラム新書) 作者:正美, 小島 発売日: 2019/02/01 メディア: 新書

人間通になる読書術

内容だけ読みたいのであれば・・ 人間通になる読書術―賢者の毒を飲め、愚者の蜜を吐け 作者:松原 正 メディア: 単行本 松原正全集第一巻にも収載されています。もともとミニコミ誌「月曜評論」に連載(昭和55年ー57年)された書評(+人生論)からセレクトし…

私の本棚(5)じつは微生物学の最先端がスゴイ

還暦すぎのドクターが出会った一般向けの医学読み物の数々 還暦すぎの元外科医ホンタナです。手術はとうの昔に引退し、医師としての引退も近づいてきました。外来に追われ、手術に追われ、その日暮らしの30数年。気がつくと医師とは言え、自分の専門分野以外…

ブックガイド(63)医療ディストピア

――医療ディストピア―― 限界病院 作者:十義, 久間 発売日: 2019/05/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています、査定歴22年の自称査…

昼夜日記

生前刊行された最後の日記 昼夜日記 作者:坪内 祐三 発売日: 2018/10/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) 2016年7月までの記録。2020年1月13日死去。2014年の映画「酒中日記」の頃のことなども書かれている。その後の日記はいずれ本の雑誌社から出るのだろ…

会計と犯罪

ゴーンは、わざと逃がしたんだろうか、やっぱり・・ 会計と犯罪――郵便不正から日産ゴーン事件まで 作者:細野 祐二 発売日: 2019/05/30 メディア: 単行本 本書の大部分は郵便不正事件に関して書かれており、実際この事件は大阪地検特捜部の大失態だっただけに…

限界病院

こんなに地方政治に首をつっこむ医者はいない 限界病院 作者:十義, 久間 発売日: 2019/05/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) いや、いるのかもしれないが、私は知らない。地方の医療崩壊のステップはどこもこんなものだとは思うが、医師がここまで関わっ…